日本固有の軽自動車が脱炭素に貢献するかのような絶賛記事をネットで見掛けましたが本当でしょうか。世界に通用しない独自規格は、海外では売れずに失敗確定です。この理由を解説します。
軽自動車が普及の背景
- 普通車に比べて、突出した優遇税制
- 国内速度域なら、ギリギリ耐えられるパワー
- スペース効率を最大限に利用した居住スペース
- まだまだ安い販売価格
日本国内に限って言えば、普通小型車からの移行が進み、爆売れするのは当たり前と言えます。
この結果、台数は右肩上がり
出展:Yahoo
100世帯あたりの台数は、近年、横ばいなものの、保有台数は増え、個人所有も軽自動車で十分とする若者世代や高級・大型車からダウンサイズした高齢世代が増えているのではないでしょうか。
いびつな軽自動車の税制がもたらしたもの
軽自動車ベースの800cc版などの海外向けモデルが爆売れしている事実もありません。
途上国でも市場経済が上向きになり、一定の所得水準になれば、車を求めるニーズは大型化・高級志向になることは、一目瞭然でしょう。
ただし、現時点の低価格車は、現地メーカー、中韓車が席巻しつつあり、日本のコンパクトカーシェアは低迷の一とであると言えます。
日本の特殊税制の産物が生んだスペシャルカーが軽自動車
アジア圏や途上国に軽自動車を持ち込めば売れるとする、意味不明な評論家やネット意見が多いのですが、インドの例を挙げれば、売れません。
途上国内でも所得が増えれば、見向きもされなくなる筆頭です。理由は、サイズが小さいからです。660ccではパワーが足りないからです。
日本のユーザーは安い税金に飛びついているだけ
日本の特殊税制が生んだ軽自動車は「維持費が安いから」という理由で、ニーズがマッチしているに過ぎず、サイズやパワーは、海外ユーザーにとっては全く足りないものです。
※日本のような特殊税制が存在しない海外市場において、軽自動車規格に購入メリットなど一切ありません。
日本メーカー優遇のスペシャル規格
戦後の自動車産業復興を意図して出来た軽自動車規格です。
- 1989年:660ccへ排気量アップ。ターボ車なら日本でも可不足無いパワーを実現
- 1996年:全長が3.4m・全幅1.48m。少人数の移動なら全く狭くないサイズへ
この結果、安い税制と使い勝手の良さが、爆発的な普及に繋がります。
貿易摩擦・不公平税制として海外からの格好のネタとして叩かれ、7200円だった税金は10800円となりました。しかし、ユーザーにとってまだまだ安いことに変わりありません。
海外から見た優遇税制は、見せかけのポーズに留まっています。
日本のCO2排出量減少の理由はHEVではない
日本が、▲23%の図
日本の23%削減理由について、一部評論家やメディアは、日本のハイブリッド車だとする意味不明な意見を記載する記事もありましたが、完全な誤りです。
HEVの貢献度は微々たるもの
以下の図では、99年から09年までのハイリッド車推移は、上記の図にリンクしておらず、一部評論家が「ハイブリッド車アゲ」で、引用している話に全く嚙み合いません。
軽自動車のあるべき姿:まとめ
一部評論家が語るような、軽自動車の海外輸出は、笑い話で終わる結果になります。
海外途上国でも、富裕層が増えれば、高級車に真っ先に飛びつく構図は、どの国でも見られます。
少なくとも過去に途上国に投入した軽自動車(800cc)が爆売れ・延命している流れにはなっていません。
軽自動車は、特殊税制の上に成り立っている現実を理解すべき
保護主義の悪しき典型例とも言える軽自動車の税制です。
ただし、失われた30年の日本を支えてきたのは、この軽自動車なのかもしれません。
「経済低迷>収入減少>軽自動車に流れる構図」
日本の自動車文化は成熟し、セカンドカーだけでなく、メインカーとしてのクルマの優先順位は下がり、軽自動車で満足してしまう状態になったとも言えます。
(これは途上国、先進国とも異なる市場形態です)
軽自動車の存在こそ「Aセグ、Bセグの競争力を弱めた根本原因」
ただし、軽自動車の存在こそ「Aセグ、Bセグの競争力を弱めた根本原因」とも言えます。
軽自動車が存在しなければ、弱体化した日本経済を支えたのは、Aセグ、Bセグのコンパクトカーだった可能性も高いのです。このA/Bセグメントは世界戦略車としてのニーズはあるでしょう。
ガラパゴスな軽自動車アゲなど本末転倒
保護主義の究極的発展形態である軽自動車は、ガラパゴス日本において独自進化を遂げました。
しかし、衝突安全性などで、日本においても時代にマッチしなくなっているのです。
そのような軽自動車を神と崇める評論家の論調は、最終的に日本の自動車文化の衰退を招きます。
軽自動車文化を延命させるのか、文明開化するのが、電動化の流れの中で分岐点に差し掛かっているのが今という「まとめ」になります
コメント