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COTYでプレリュードに満点を挙げる審査員とは

査定君
査定君

新プレリュード発売後、ネット上のコメント欄はネガティブ意見が溢れる一方で、日本カーオブザイヤーでは、2位プレリュードという驚く結果となっています。ネット民が驚く状況を解説します。

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はじめに — “高得点だけ”が伝説を保証するわけではない

2025年秋、Honda PRELUDE(以降、新型プレリュード)が約24年ぶりに復活し、多くの注目を集めました。実際、権威ある日本カー・オブ・ザ・イヤー(JCOTY)では、複数の選考委員が“25点満点”という高評価を付けています。だが、ネット上の厳しい声や実車を取り巻く現実を見ると、「25点=将来に残る名車」となる保証は、決して明白ではありません。本稿では、「25点を与えた意見」を参照しつつ、「なぜ10年後、この新プレリュードは名前を残せない可能性が高いか」について論じます。

比較場所の問題点

2025年、今年のイヤーカー選考は混迷を極めた。その理由は試乗コースの袖ヶ浦フォレストレースウエイのフルコースを使用して10台を横並び比較が、一気にその場で時間差なくできた事が、良くも悪くも悩む原因になった。

  • サーキットというユーザーとは無縁の環境での比較を行うことの無意味さ。
  • 運営者側は、ユーザー目線の利用シーンで比較を行うべきでしょう。

COTYの判断基準の1つである「10年経った2035年に2025年を思い出せる」

新プレリュードは、過去のプレリュードが築き上げた歴史を全否定しています。
新プレリュードのメディア記事に対して、ネット民のコメントは否定派が圧倒的多数です。
これらの多くの声に対して、評論家の賛美記事に違和感を覚えるユーザーが多数派である事実を受け止める意識改革が必要ではないでしょうか。

価格・装備面でユーザーが満足しないニッチな車に対して、「評論家の総合評価2位」となることに違和感を覚えます。

JCOTYでプレリュードに25点満点をつけた審査員一覧

第46回 2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー 選考委員別配点表

上記より、引用(敬称略)

  • 石井 昌道
  • 大谷 達也
  • 岡崎 五朗
  • 桂 伸一
  • こもだ きよし
  • 佐藤 久実
  • 島崎 七生人
  • 世良 耕太
  • 谷口 信輝
  • テリー 伊藤
  • 西川 淳
  • 橋本 洋平
  • ピストン 西沢
  • 藤島 知子
  • 松任谷 正隆
  • 松本 英雄
  • まるも 亜希子

25点満点評価のコメントを抜粋

評論家の評価基準は、人それぞれ

売れている車、売れそうな車など数値基準だとセグメントやクラスが限定されてしまうので、人気や販売台数は評価の一要素として、走行性能やデザイン、コンセプトなどを総合的に判断し、今年「もっともインパクトの強かった車」をイヤーカーとして選出しました。

  • 人気や販売台数は一要素というよりも、全無視か。
  • 走りやデザイン一択なら、この選択となるのでしょう。

「2025年はプレリュードの年だったね」なのか

何年か後で振り返ったときに「2025年は○○の年だったね」と振り返るにふさわしいクルマとの基準で選んだ。

○○を当てはめた時、誰もが首を傾げるでしょう。

還暦を迎えた老夫婦が旅先で

元来の”最小ドア枚数”好きが、街中から専用道、ワインディング、そしてミニサーキットでと、最も気分良くドライブできたモデルということでプレリュードを1位に据えた。還暦を迎えた老夫婦が旅先で、例えば北海道の空港から支笏湖を目指して走り出すようなシチュエーションにピッタリな一台だと思う。

価格的な高さから、若者向けデートカーから、いきなり「還暦」となった無茶ぶりなストーリーが泣かせます。

ブランドの価値を次世代に繋げるヒントって

グライダーをテーマに企画したユニークな発想、その実現を支えた技術、走行性能を磨きあげた点にホンダの底力を感じた。先行きが見通せない変革の時代。このクルマにはブランドの価値を次世代に繋げるヒントが備わっていると思う。

旧プレリュードが築き上げたブランド価値を大きく棄損したと思われるので、次世代に繋げるどころか、汚点を残すことに繋がりそうです。

歴史をどう残すか、という気持が勝った

歴史をどう残すか、という気持が勝った

2代目NSX同様、黒歴史に名を残すだけかと思います。

新プレリュードの中身とは

旧プレリュードのアイデンティティを全無視した新プレリュードを賛美することに違和感を感じます。

618万の価格にドン引き

この時点で、友人に紹介する車ではないでしょう。なぜなら、25年前の3倍に近い価格設定であるためです。

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たったの184psのモーターパワーがスポーツカーなのか

タイプRの足回りであれば、「オオカミの足を持ち、プリウスの皮を被った羊」そのものでしょう。

月販300台の目標設定が意味するものとは

予約8倍の提灯なメディア報道にウンザリします。まるでマツダ3やスカイアクティブXの再来かというレベルの提灯報道が凄すぎます。価格と性能のミスマッチ感は、2代目NSXそのものです。

パワーシート無し、手動テールゲートのチープ感丸出し

同一価格帯の他社クーペの存在を全く無視したかのような、装備内容であり、このチープ感満載装備で販売したマーケティングが凄いです。
スペシャリティクーペの名前と価格に見合わない装備です。

S+シフトは所詮ソフトウエアで、どうにでもなる話

モーター駆動に対して、段付きの変速制御を備えるEVがすでに存在します。
単なる電子制御的な味付けを行うことなど、朝飯前に過ぎず、これが後世に語り継がれる仕組みではないでしょう。多段DCT/ATだけでなく、無段変速CVTに対しても電子制御的な味付けをさんざん行ってきたのです。今のとなっては、画期的な発明品装備ではないと考えられます。
疑似サウンドは他社が先行していますし、シリーズハイブリッド車での他社コピーも時間の問題でしょう。(ハードでなくソフトウエアですから)

なぜ“25点=伝説”ではないのか? 3つの現実的な壁

① 高価格がもたらす“裾野の薄さ”

新型プレリュードの価格帯は、相応に高額と報じられており、税込で600万円超という設定が公表されています。これは、スポーツカー好きやブランドのファンにとっては“価値ある買い物”かもしれません。しかし、クーペあるいはスポーティハッチバックというカテゴリは、日常使いやコスパを重視する層からは敬遠されやすく、特に若年層やファーストカー需要がある層には手が届きにくい価格です。

実際、発売直後の受注状況では好調と報じられました。発売1か月で累計受注約2,400台、月販想定の約8倍という“好スタート”です。しかし、その購入層については「主に50代〜60代」という報告もあります。つまり、現在の購買は“ノスタルジー層”と“経済的余裕層”によるものであり、「将来にわたって語り継がれる名車」に必要な“若年層の支持”や“広い裾野”は、現状では得難い可能性が高いのです。

② “体感としての性能不足” — スポーツカーとしての疑問

JCOTYの高評価では、「ハイブリッドながら操る喜び」「Honda S+シフトによる演出」などが挙げられています。先進のハイブリッドシステム「e:HEV」を用いて、「環境性能」と「走りの両立」という理想を目指した設計思想も高く評価されていました。

しかし、評論家評価や販売側の意図だけでなく、ユーザーの“体感”や街乗り/日常使用でのリアルな印象が非常に重要です。現時点で報じられている試乗記などでは、「上質な乗り味」「快適性」「インテリアとデザインの質感」に肯定的評価が多いものの、“かつてのプレリュード”が持っていた“軽快な加速感”や“スポーティなハンドリング”を求める向きには、「物足りなさ」を指摘する声も少なくありません。例えば、「グライダーのような滑らかさ」を目指したという開発コンセプト自体は魅力的ですが、それが“スポーツカー的な重厚さ”や“走りの楽しさ”と同義にはならない可能性があります。

また、ハイブリッドへの回帰と引き換えに、“軽快さ”より“快適性・静粛性”を重視した設計であることから、今後「スポーツカーらしい改造」「チューニング」「ドライビングコミュニティの形成」などが起こりにくいことも懸念されます。これは「時代が過ぎても語り継がれるモデル」になりにくい構造です。

③ “時代と趣味性のズレ” — 若年層に刺さるか?

自動車市場は現在、SUV/クロスオーバー、BEV(電気自動車)、コンパクトカー、あるいは実用重視のハイブリッド/EVが主流となりつつあります。加えて、若年層のクルマ離れや維持費・駐車場事情の悪化、都市部の移動スタイルの変化などが、かつてのような「クーペ文化」の復活を難しくしています。

そんな中で、「中古車市場」「改造文化」「オタク的なクルマ文化」が今後どこまで続くかは不透明です。ましてや、初期の購入層が“50代〜60代”という現実を見ると、この新型プレリュードが「次世代に受け継がれる“伝説”」になるかは極めて怪しいと言えます。若者文化とミスマッチしたままでは、時間とともに記憶の中で薄れていく可能性が高いのです。

「高評価 × 現実」のギャップ — なぜ25点だけでは足りないのか

ここまで挙げたように、「JCOTYでの高評価(25点)」と「長期的な名声を得る可能性」には、重要なズレがあります。
評価は“試乗・短期間の印象”に基づくものであり、時間の経過、ユーザー層の拡大、文化としての受け入れ——これらを経たうえで残る“伝説”かどうかは、また別の話です。

例えば、たとえ多数の評論家が「走りが気持ちいい」「デザインが美しい」と称賛したとしても、実際に長く日常使いされ、愛され、改造され、語り継がれなければ、クルマ史における“名”とはなりにくい。今のところ、この新プレリュードは「好きな人には刺さる」が、「幅広い世代・趣味層に広がる」にはかなりハードルが高いと考えます。

では、何が必要だったか — “名前を残す”ための条件

もし本当に「新プレリュード」という名前を次の世代に残すつもりなら、以下のような戦略が不可欠だったはずです:

  • 価格帯の幅を広げ、“入門版”や“廉価版”を設定 — 若年層や初めてのクーペ購入層も手が届くようにする。
  • マニュアル設定やチューニング対応、改造の自由度を残す — ハイブリッド化を押し進めるだけでなく、スポーツカーらしい“遊び”の余地を残す。
  • 限定モデルや長期アフターサポート、熱心なオーナーコミュニティの育成によって“文化”を醸成 — ただの新車販売ではなく、将来的な“伝説化”を見据える。

結び — “25点”というファンの期待を、現実は軽々と越えない

新型プレリュードは確かに、デザイン、快適性、そして“昔ながらのホンダらしい遊び心”といった面で魅力的です。そして、JCOTYで高得点を得たのも自然でしょう。しかし、評価と継承は別物です。価格設定、購買層の偏り、現代のクルマ文化、そして“体感としてのスポーツカーらしさ”。これらの壁を乗り越えなければ、10年後に「PRELUDE」の名が歴史に残る可能性は、決して高くはありません。