
トヨタ製THS2のストロングハイブリッドを搭載したスバル車が登場しました。
このシステムはダサイのか、失敗するのかを解説します。
スバル・ストロングハイブリッドの特徴
ハイブリッドシステム諸元
- トヨタ製:ストロングハイブリッドシステム(THS2)
- スバル製:トランクアクスル
エンジン諸元
- 排気量:2,498ccc
- 最高出力:118kW/5,600rpm
- 最大トルク:209Nm/4,000-4,400rpm
モーター諸元
- 最高出力:88kW(120ps)
- 最大トルク:270Nm
バッテリー・燃料諸元
- バッテリー容量:1.1kwh
- バッテリータイプ:リチウムイオンバッテリー
- ガソリンタンク容量:63L
加速性能
- 0-100km加速:8.7秒
高過ぎるクロストレックの価格
スバルユーザーは、もともと燃費性能に対して課題な期待などしていません。
よく、評論家がレヴォーグの販売不振理由にハイブリッド車が無い事を掲げていましたが誤りです。
383万3500円~410万8500円
クロストレックというと、CセグメントSUVモデルです。4.5mの全長は、今となってはコンパクトなサイズでしょう。
ただし、2.5Lの排気量は大きすぎです。
カローラクロスが同程度のサイズ感であり、価格は2,900,000 円 ~ 3,459,000 円です。
もはや、2.5L排気量や400万クラスの価格は、設定を完全にミスっているとしか思えず、完全なマーケティングの失敗ですね。
スバルがTHS2採用に至った背景
スバル製マイルドハイブリッド車は発売済。
スバル社内で新HV車(ストロングハイブリッド)開発着手から発売に至るまでの期間は5年だそうです。ゼロベースでの開発を実施し、結果的にトヨタ製THS2を採用したHV車発売となりました。
2030年までに国内で売る新車の7割を燃費改善効果の高い「新HV車」とする計画となります。
メリット
- 開発期間の短縮
- 性能の高いストロングハイブリッドの採用により、スバル車の弱点を大幅改善
- 高い燃費性能の獲得
- 高い静粛性
- モータートルクによる加速性能の向上
- 63Lの大容量タンクと高燃費により、航続距離1000キロ超の性能
デメリット
- 自社開発でなくトヨタ製に頼る点
- 高コスト
2.5Lの排気量を採用した理由
欧州車では、ダウンサイジングターボを「ミラーサイクル化」するのです。
しかし、スバルは、レヴォーグ用1.8Lターボエンジンのミラーサイクル化では効率化が悪いと判断したのでしょう。
国産車では、NAエンジンを「ミラーサイクル化」するため、パワー不足になりがちとなり、どうしても排気量は大きくなります。結果、2.5Lのエンジン採用に至ったと考えます。
プリウスのように燃費に特化した1.8L/2.0Lの採用は、単に燃費特化しただけの性能は、スバル車として好ましくありません。
世界戦略車として、高速域でも4WDカーとしてのパワー不足を補い、レガシィやフォレスターの4WD車への展開をメインに考えると、ストロングHVと2.5L(NA)の組み合わせは妥当でしょう。
世界の電動化規制をクリアできないTHS2
EVの販売不振により、ハイブリッドを採用したトヨタが正しかったという国内メディアの論調は全く正しくありません。
世界のCO2規制が厳しい地域のCO2規制では、2027年にはトヨタヤリスの35km/Lでもクリアが厳しい、圧倒的なハイブリッド車締め出し規制値となっています。
これでは、今回のスバルに搭載した2.5L+THS2でも厳しい規制値をクリアできません。
このあたりは、国内メディアでは一切報道していません。この点を国内メディアが正しく報道していくのかがポイントになります。
市場の声・メディア評価(代表的な意見)
専門メディアの評価
- 「燃費が向上しつつもスバルらしい走りの質感を保てている」といった試乗記事が見られます。試乗記では加速のトルク感や低速での静かさ、エンジン回転数の抑制による上質感を評価する声が多いです。
- 一方で、従来スバル車に期待されてきた“水平対向サウンドや独特のフィーリング”がハイブリッド制御で変わることを懸念する声もあります(好みの問題として言及されることが多い)。
ユーザー(実購入者・検討者)の声
- 燃費改善を歓迎する声:実燃費での改善を報告するユーザーが増え、通勤や長距離走行でメリットを感じるケースが多い。
- 価格とのバランスを指摘する声:S:HEVは機能向上分で車両価格が上がるため、購入判断で価格差を重視する人もいる。
- 従来のマイルドハイブリッド(e-BOXER)との比較で、走りの良さを理由にS:HEVを好むユーザーもいる一方、街乗り中心ならMHEVで十分という意見もある。
- ネット上のレビューでは、「走りが軽快になった」「運転がリニアになった」といった好評価がある一方、WLTCやライバル車との燃費比較を指摘する書き込みも見られる。
メリット(S:HEVを選ぶ理由)
- 燃費向上とCO₂低減:モーター走行領域の拡大で燃料消費が抑えられ、同クラスの従来モデルより燃費が良くなる傾向がある。通勤や長距離でのランニングコスト低減が期待できる。
- 加速フィールと静粛性の改善:モーターアシストにより低速トルクが豊かになり、発進加速が滑らか。エンジン回転が抑えられる場面では静かで快適な走りが得られる。
- スバルらしい走行性能を保持:AWDやシャシー設計は継続して採用されており、オン/オフ問わず安心感のある挙動が魅力。
- ブランド価値の向上:燃費性能の改善は、環境性能に敏感な顧客層や税制面でのメリットを求める層にアピールする。
デメリット・留意点(購入前に知っておくべき点)
- 価格上昇:ストロング化により車両価格が上がるため、同クラスのライバル(トヨタやホンダなど)のハイブリッド車との価格比較が重要。コスト回収は走行距離や燃料価格次第。
- 車重増と整備コスト:バッテリーやモーター追加により車重が増える傾向があり、タイヤ摩耗や消耗品への影響、また整備・補修時の部品コストがマイルドハイブリッドより高くなる可能性がある。
- 好みの問題:サウンドやフィーリングの変化:水平対向エンジンの“味”が薄れると感じるユーザーもいるため、試乗で実際のフィーリングを確かめることが推奨される。
- ライバル比較での燃費差:同クラスのハイブリッド(特にトヨタの強力なハイブリッド群)と比べると、車両特性やAWD設定の違いで一概に“最良”とは言い切れない点がある。比較検討が必要。
5. 購入判断のためのチェックリスト
- 試乗で低速のモーター走行やエンジンの切り替わり(制御のつながり)を必ず確認する。
- 日常の走行パターン(通勤距離・高速主体か街乗りか)を整理し、燃費差がどれだけ効くか見積もる。
- 車両価格差と税制・保険・維持費を3〜5年スパンで比較してトータルコストを計算する。
- 将来の中長期的な整備・バッテリー交換の想定コストを販売店に確認する。
スバル・ストロングハイブリッドはダサイのか:まとめ
スバルのストロングハイブリッドは「燃費改善」と「従来スバルらしい走りの両立」を狙った現実的なアップデートです。燃費と走りのバランスを重視するユーザーには有力な選択肢になりますが、車両価格やライバル車との比較、そして個人の好み(サウンドやフィーリング)を考慮して試乗・比較検討を行うことを強くおすすめします。
現クロストレック層を相手にしていない
当然、価格はトヨタ製THS採用でコストは抑えられているものの、価格アップは避けられず、2.5Lという排気量は、現行クロストレック購入層のターゲット価格帯とは、異なる可能性も高いでしょう。
もともと、新HV車は、排気量2リッター以下や、安価なスバル車を求める層は、お呼びでないのです。
価格は380万を超え、ユーザー不在のマーケティングは、スバル戦略としての失敗でしょう。これがレヴォーグやフォレスターに搭載された時、ユーザーの審判が下ります。
燃費は悪いと諦めていた富裕層のスバルオーナーに日の光
それでも、スバル4WDを好み、より高燃費の車が欲しいか選ぶことさえできなかった旧スバルオーナーにとっては朗報です。当然、購入予算400万越えでも、問題ない富裕層の潜在ニーズは十分あるでしょう。従来のスバル価値観をこのHV2.5Lに当てはめるのは早計と言えます。
ワールドワイドな展開なら、2.5Lの排気量が必要
4WDメインのスバルにおいて、NA1.8・NA2.0Lは、アンダーパワーであり、世界市場をメインにすれば、NA2.5Lのストロングハイブリッドが正解なのです。
スバル製2.5LにTHS2を追加した新エンジンは、ダサくなく、失敗とならずに人気モデルとなるでしょう。スバル車オーナーにおいて、マイルドHV車を購入していた方は、燃費性能を重視しており、新HV車追加は、待望の車となるでしょう。また、従来はターボ車のトップグレード一択だったオーナーにとって、新しい選択肢に悩むところでしょう。
ただし、純トヨタ製2.5LのHV車とのベンチマーク燃費比較にさらされ、数値的には本家に劣る事が確実視されます。この点で、どこまで本家に迫れるのか、注視したいところです。


