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日本製EVで一充電航続距離「700kmクラブ」は現実的か

査定君
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日本製EV(最新のリーフ・後期bZ4Xなど)を中心に、一充電航続距離700kmの現実性、実走距離の目安、日本での普及状況、妥当な価格帯、本当に使える航続距離を解説します。

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一充電航続距離「700kmクラブ」の意味と現状

700kmクラブ」とは、メーカーが公称する一充電あたりの最大航続距離(WLTP/WLTCなど)が ~700 km レベルある EV を指す俗称です。

長距離走行を重視するユーザーにとって「充電回数を減らせる」「高速道や長距離移動にも対応できる」という魅力があります。一方で、公称値は測定方法や条件に左右されやすく、実走行では環境や使い方で大きく異なるため「あくまで比較指標」と捉えるべきです。

日本製メーカーの現状:航続距離700kmに届いたのか

2025〜2026年時点で日本の代表的なBEV(バッテリーEV)で700 km超を恒常的に達成しているのは、ごく限られた例です。とはいえ、最近登場のモデルが「700kmクラブ」に近づきつつある兆しがあります。

  • トヨタ bZ4X(2026年仕様):更新により、日本国内仕様で「最大航続距離 約746 km」の表記。これにより国内BEVでは最長クラスと報じられています。
  • 日産 リーフ(2026年型):新型リーフはクロスオーバーSUVスタイルに刷新され、2025年秋に発表。納車は2026年1月から。

「リーフ」に関しては、WLTC=702 km(プロパイロット非搭載車)です。
しかし、この数値が WLTC 公称値ではあるものの、詳細仕様の確認が必要です。よって「700kmクラブ入り」は“可能性あり”だが、購入仕様での評価には慎重さが求められます。

「実走行距離=カタログの8掛け」は妥当なのか

前回述べたように、実走行では気温・速度・使用環境・エアコン使用など多くの要素で消費電力が変動します。そのためカタログ値の 80%前後を現実値の目安とする「8掛け」は、経験的にわかりやすく実用的です。特に日本の一般的な都市/郊外使いであれば妥当な線と考えられます。

ただし、長距離/高速道路主体、あるいは冬季・寒冷地での使用では 60〜70%、あるいはそれ以下になるケースも報告されており、安全マージンを取るなら「7掛け前後」またはそれ以下を見込むべきでしょう。気温対策(バッテリーの熱管理、暖房効率、ヒートポンプ等)があっても、差は小さくありません。

カタログスペックから大きく乖離する車もある

EV車を多く試乗すれば、実走行距離として満充電時の航続距離として、残念な数値を示す車も多くみられます。この点で、8掛けと言い切るメディアに違和感を感じる方が多いでしょう。

2026年型リーフ と 2026年bZ4X のスペックと意味

2026年型 日産リーフ

  • 新型リーフは3代目。従来のハッチバック型から、クロスオーバーSUVスタイルに刷新。
    価格帯(補助金適用後での実質想定価格)は、「B7 X」で約430万円、「B7 G」で約510万円程度との報道。
  • 航続距離について、一部報道で「702 kmを実現」とされており、700kmクラブ参入の可能性が言及されている。
  • これにより、比較的手頃な価格で “長距離対応” を謳う BEV が日本メーカーから現れるという点で注目。

2026年仕様 トヨタ bZ4X

  • 2026年モデルではバッテリーオプションや駆動方式の見直しが行われ、航続距離が大幅向上。日本仕様では最大「約746 km」の WLTC 表示が報告されています。
  • パワートレインも強化され、AWD モデルでは最大出力 338 hp、0–60mph(約0–97km/h)加速 5.1秒前後との報告もあり、性能面でも実用域。
  • 充電機能も改善され、バッテリー・プレコンディショニング(寒冷地での高速充電最適化機能)や、AC 充電器の性能向上、DC 急速充電で 10–80% を約 30分で、といった仕様が紹介されています。
  • 内装・快適性も向上。14インチマルチメディアスクリーン、ワイヤレススマホ充電、インテリアの質感など、単なる実用EVから上級志向への改良が加えられています。

日本でEVは市民権を得ているか? 今後の可能性を含めて

日本における BEV の普及は、依然としてハイブリッド(HEV)が強く、多くの消費者にとって「EV=割高」「充電インフラが十分でない」「航続距離が不安」という先入観があります。また価格帯も、従来の EV は高めがちで、普及の障壁になってきました。

ただし、2026年型リーフのように「比較的手頃な価格帯で、なおかつ実用的な航続距離」をうたうモデルが登場したことで、BEV のハードルは下がりつつあります。また、bZ4X(bZ) のように「高性能・長距離対応・実用性+快適性」を兼ね備えたモデルの進化から、一部のユーザーでは “EV=選択肢” になりつつあると思われます。

つまり「市民権を得た」とはまだ言えないものの、「EVも十分現実的な選択肢になりつつある」のは間違いありません。特に日本の都市部・郊外での通勤・買い物+週末の遠出、というライフスタイルなら、「EVで十分」という層が今後増える可能性があります。

700km級EVの妥当な価格はどれくらいか — 2026年モデルを踏まえて

従来、700km級や長距離対応 EV は高級車あるいは高価格モデルが多かったですが、2026年型リーフや 2026年 bZ4X のように、“比較的手頃または中価格帯から長距離対応”を狙うモデルが現れています。

  • 2026年リーフ:実質価格 約430〜510万円前後(補助金適用を条件とした報道ベース)
  • 2026年 bZ4X:詳細価格は仕様によるが、従来より「航続距離・快適性・充電性能」を大幅に改善したうえで競争力のあるレンジに設定されているという報道。

このように、かつて「高嶺の花」だった 700km級 EV が、日本メーカー・量販/準量販帯でも選べるようになりつつある — これが 2026年時点での現実です。

現実的に使える航続距離はどれくらいか — 2026年モデルを前提に考える

「カタログ値 700km」を過信せず、以下のように利用シーン別での実走距離の目安をおさえておくのが実用的です。

都市部/日常の通勤・買い物・買い出し中心

回生ブレーキが効き、速度も低め/一定が多いため、カタログ値の 80〜100% を出せる可能性があります。たとえばリーフや bZ4X のような新型であれば、WLTC 表示 700km レベルでも実用で 560〜700km(理論)もしくはそれに近いレンジが見込めるかもしれません。ただし、頻繁なストップ&ゴー、エアコン使用、渋滞などでは消費が増えるため、余裕を見ておいたほうが安全です。

高速道路や長距離移動主体

高速巡行では空気抵抗が大きく、消費が増えやすいため、WLTC の 70〜80%が現実的な目安。つまり、700km 表示の車であっても「約490〜560km」が実用的な“安心ライン”の目安となる可能性があります。特に冬季やエアコン(暖房・冷房)使用、あるいは荷重が多い/高速巡行が多い使い方では更に減る可能性があります。

季節や気候が厳しいとき(寒冷地、冬季)

バッテリー効率低下、暖房のエネルギー消費、電池温度管理等で効率が落ちるため、WLTC の 60〜70%、あるいはそれ以下 — たとえば、700 km 表示でも実際の usable(安心できる)航続距離は 420〜490km 程度、という保守的な見方をするのが安全です。

総括 — 日本製EVで「700kmクラブ」は現実か、誰に向くか

  • 技術的には到達してきた:2026年型 bZ4X の 746 km 表示や、2026年型リーフの “702 km” の報道など、日本メーカーもついに 700km クラスに手をかけてきた。
  • 公称値と実用値は乖離あり:実走では気候・速度・荷重によって大きく変動。特に高速や寒冷地ではカタログ比 6〜8掛けを見越すのが無難。
  • 普及フェーズはこれから:現在のところ、高級車級だけでなく量販〜中価格帯EVにも700km級が現れはじめたところ。これにより、ユーザーの選択肢が広がってきた。
  • 向いているのはこんな人:・普段の走行が都市〜郊外で、週に一度長距離ドライブする人。
    ・充電インフラが自宅または職場にあり、長距離はたまに。
    ・「航続距離への不安」をできるだけ減らしたいが、高級価格帯は避けたい人。
  • 注意すべきは:公称値を鵜呑みにせず、実際の使い方・気候条件・充電インフラ・コスト対効果を冷静に評価すること。特に高速長距離や冬季の使用を想定するなら、安全マージンを大きめに。