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日本はガラパゴス化していますか?その代表例は電動化定義

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査定君
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日本のメーカーが掲げる電動化の定義とは、駆動用モーターが付いていれば電動化が完了しているという説です。この説は世界では全く通用しません。このピンボケ感がEV出遅れと叩かれた最大要因でしょう。このようなガラパゴス説を主張すれば、日本の孤立化は避けられません。日本があるべき電動化の定義を解説します。

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日本の電動化定義は、完全なガラパゴス

図1:「引用:経済産業省」この図を見て、皆さんは、どう感じるでしょうか。
世界の予定(EV/PHEV)に対して、自動車先進国の日本がガラパゴスに見えます。
日本が王道であるとするメディアのガラパゴス思想には恐れ入ります。
図2:「引用:マークラインズ・自工会データ」
国内外のメディアから袋叩きにあった「EV出遅れ」は、この図を見れば明確です。

ハイブリッド大勝利は本当か

EV販売に急ブレーキのニュースが流れ「ハイブリッド大勝利」と活気づく国内メディアです。
しかし、世界各国で策定された2030年、2035年ルールは「ちゃぶ台返し」となっていません。2030年、2035年に至るCO2規制強化に向けて、残された時間は僅かです。
意味不明の「HEV勝利宣言、ガッツポーズ」が虚しく感じられます。

近年のメルセデス延期ニュースは、欧州規定よりも前倒し設定を破棄したに過ぎません。破棄により、欧州規定に合わせただけなのに、日本メディアの騒ぎっぷりが凄過ぎます。
内燃とBEVのバランス、移行タイミングの話であって、実施時期が延びようが、それに向けた体制構築は、とっくに完了し、BEV・PHEVラインナップは日本車を完全に凌駕、MHEV移行もほぼ完了という状況です。

55%削減規定を超えられるか否か

  • マイクロ&マイルドハイブリッド車(MHEV)
  • ハイブリッド電気自動車 (HEV)
  • プラグインハイブリッド電気自動車 (PHEV):日常の近距離移動はBEV
  • バッテリー電気自動車 (BEV)

上記の4パターンに区別されますが、プラグ充電の走行メインか否かという違いが大きな分岐点となります。

欧州車の定義は「HEV外し」が目的ではない

某メディアでは電動化の定義は「BEV/PHEV/FCEV」がメインストリームであり、欧州が「HEVやMHEV」を排除している。とするお馴染みの陰謀論な考え方です。
日本製のHEVやMHEVに対する自己防衛反応が、根拠の無い説明となっているのでしょう。

欧州メーカー製の市販済MHEV/HEVは、捨てる構え

欧州製、MHEV48Vもルノー製HEVも時限対応としての過渡期をクリアするための暫定商品なのです。日本のように、それにしがみ付いて、BEV化を否定しているのではく、今後の規制強化を見据えた製品ラインナップを欧州勢がすでに構築し、実施済なのです。
結果、欧州製MHEV48Vもルノー製HEVも捨てることになりますが、ガラパゴス理論を掲げて、この技術を死守しようとしない所が、日本との大きな違いでしょう。
欧州、中韓メーカーにおいては、MHEV/HEVという過渡期の暫定モデルへの車種に移行を確実に進めており、その先のBEVやPHEVへの移行を見据えた生産・販売体制をすでに確立しているのです。

欧州のMHEV48Vにしても時限対応に過ぎない

メルセデスを例に挙げれば、ICE全廃に向けて、ISGによるMHEV48V化する施策を強力に推進しています。もはや、BSG(ベルトドライブMHEV)は、メルセデスにとって過去のものとなりました。
その純ICEからMHEVへの移行スピードは、日本車を凌駕していることは確実です。

ATと直結したモーターは、MHEVだけでなくPHEV化の延長線上にあります。
「モーターとATの一体化というパッケージ部品化」により、エンジンとモーターの協調制御という機能は、ATメーカーの部品に過ぎない機能に成り下がったと言えます。

日本製ストロングハイブリッドの優位性が揺らぐ

「モーターとAT一体化部品」を採用することで、欧米老舗メーカーは、個別開発が不要となり、電動化をパッケージ部品として、簡単に手に入れる事ができるようになったのです。
勿論、絶対的な低中速域の燃費性能においては、THS2やe:HEVに優位性があります。
しかし、2030年に向けて、過渡期の電動化製品としては、欧州製MHEV48Vにより、ICEからの移行を早期に達成できることになり、欧州メーカーはMHEV搭載車で直近の規制をクリアすることが可能となったのです。

純ICEからMHEV48Vへの移行速度が圧倒的

日本国内のモデル一覧を見れば、まだまだ、純ICEが幅を利かせています。
国内メディアを見れば、日本製HEV勝利の論調一択であり、欧州製のMHEVと純ICEのシェア実態を正しく論じているメディアは全く見られません。

ベンツPHEVに劣る日本製PHEV

ATとの一体化で言えば、欧州勢が先行しています。
メルセデスやBMWでは、PHEVモーターと9速ATや8速ATを組み合わせています。
一方、最新レクサスやクラウンに搭載するPHEVは、いまどき時代遅れの6ATです。

欧州、中国市場におけるPHEVシェアを伝えないメディア

ハイブリッド技術が世界一の日本車ですから、中国や欧州市場を日本製PHEVが席巻しているかと思えば、見る影もありません。
この悲惨な状況、PHEVシェアを全く報じない、HEV御用メディアです。

HEVやMHEVが外れたのは規制値の結果論

前述の図では、世界各国のCO2規制値が全く考慮されていないようです。

世界からガラパゴス扱いな日本オリジナル図

こちらは、日本国内で軽自動車増えまくった結果の図です。
日本の乗用車総数6200万台です。軽自動車は2300万台もあります。
まるで、日本製HEVが救世主であるかのような図です。
図3「引用:JAMA」

HEVメリットは全く理解されない世界の図

CO2排出量の総量で見れば、HEVの貢献度など微々たるものです。
結果、電動化はBEVでなくても良いという理屈も成り立ちますが「毎度おなじみ23%削減の図」は、世界に向けて何の意味も無いという事です。2000年初頭にHEVでロビー活動を実施しなかったツケです。図4「引用:経済産業省」

EU理事会、Fit for 55 Package

  • 2030年~2034年にかけて、新たに販売される乗用車の排出量を2021年比で55%、小型商用車の排出量を50%削減する
  • 2035年以降、新車および小型商用車の新車の排出量を100%削減する

2025年から2029年末まで、ゼロ・低排出車(ZLEV)に対する規制上のインセンティブ制度が導入さ れる予定だ。この制度の一環として、自動車メーカーがゼロ・低排出車の販売で一定の基準を満たした場合、より緩い排出削減目標を与えられるという「報い」を得ることができる。同基準値は、乗用車で25%、小型商用車で17%に設定される。

米環境保護庁(EPA)

2027~32年の自動車CO2排出規制案公表。販売の中心となる軽量乗用車のCO2排出量を現行規制比56%削減。32年のEV新車販売比率67%目標を設定(RIEF)

海外から締め出される日本製HEV

  • 自工会の説が正しいとする説も「CO2」の段階的規制強化が、全く考慮されていないガラパゴスルールだからオワコンと叩かれているのです。
  • HEVを締め出すことが目的でなく、CO2排出量の段階的規制強化が目的
  • HEVは、その規制値を超えられず、結果売れなくなる(ここが一番重要)
  • 海外勢は、MHEV/HEVを暫定製品と捉え、結果的に捨てるモデルにも関わらず、日本車よりも移行速度、製品ラインナップが多い欧州勢
  • この事実を報じない、理解していない国内メディア

HEVをどうするか?ではなく、HEVで規制値目標をクリアすれば良いのです。数値を超えられる見込みのないHEVが、結果的にオワコン化する運命なだけです。

欧州や中韓に追いつかれ抜かれた日本メーカー

各種メーカーでMHEV/HEV/PHEV/BEVのラインナップを見れば一目瞭然です。
もはや、BEVやPHEVで見劣りする日本メーカーです。
HEVがあれば、全固体電池があればゲームチェンジできると妄想する日本メディアです。

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全固体電池は実用化できないのでしょうか。全固体電池の弱点、デメリットや実用化の時期とは。独自の分析と洞察した深層に迫ります。

未来の救世主、FCEVはオワコン化

  • 水素充填時間:3分
  • 航続距離:ガソリン車と同等以上
  • CO2排出:ゼロ

水素燃料電池車は、内燃エンジンの代替手段であり、自動車関連企業や550万人雇用を守るための救世主として掲げたFCEVです。
水素燃料電池乗用車の販売が超低空飛行となり、国を巻き込んだ施策もトーンダウンしています。

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規制の目標達成に向けて:まとめ

引用:出所 「ゼロエミッション車に向かう世界の中の日本」メディア・ブリーフィング
https://sgforum.impress.co.jp/article/5381?page=0%2C0世界の共通認識は、上記の図が全てです。
図3で提示された「日本23%削減図」は、世界に全く相手にされていないガラパゴス思想であり、これを掲げる日本メディアは、日本を完全な周回遅れに導きたいのでしょうか。

欧州や北米の一部州、中国では、強制力を持った規制が実施されます。
国内メディアは正しく報じませんが、世界の老舗自動車メーカーは着々と規制強化に向けての対応を進めています。その実態は、もうストロングハイブリッド栄光にしがみ付く状態でないことは明らかです。
日本国内向けの緩い規制は、ガラパゴス日本国内向けのみ成立します。そして、ガラバゴスを擁護する記事は、ますますガラパゴス化を加速し、日本の孤立化を招き、EV出遅れがEV手遅れとなる末期の状態に導きます。当然、海外から見れば「EV出遅れに対して、ムダな延命措置を続けるオワコン規制」としか見えません。

真のマルチソリューションとして、BEVやPHEVでも海外勢とトップシェアを繰り広げつつ、HEVでもトップシェアをキープするという「本来の在るべきマルチソリューション」を掲げるべきです。