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フィスカー社破綻の原因は水平分業が原因ではない

査定君
査定君

米国EVメーカーのフィスカーは2024年6月に経営破綻に至った原因とは何か。
水平分業が原因とする説が誤りである理由を解説します。

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フィスカーの変遷

  • 2016年:フィスカー社を起業(EV車製造)。デンマーク出身でBMWやアストンマーチンでカーデザインを手掛けたヘンリック・フィスカー氏
  • 2020年:ニューヨーク株式市場に上場
  • 2022年11月:オーシャン(EV)を発売
  • 2023年6月:納車開始
  • 2024年1月:パワートレインの不具合調査多発による調査開始
  • 2024年3月:4億ドル超の赤字、株価15セントへ急落
  • 2024年6月:経営破綻

フィスカー車の販売不振の理由

価格と性能が釣り合っていない

テスラに比べて、性能や価格面でのパフォーマンスが劣っていたようです。

オーシャンのSUVラインナップが敗因ではありません。

品質、アフターサービス管理が後手に回っていた

マグナ・シュタイヤー(オーストリア)へ生産委託するファブレス形態が特に問題ではありません。
少量生産に向いた手法と言えます。
ただし、固定費負担の軽減を優先したあまり、以下の対応を怠った事が原因です。根本的な自動車メーカーとしての力量不足とも言えます。

  • 委託生産前のテスト、品質管理不足
  • 委託生産後のテスト、品質管理不足
  • 生産後のアフターケア、サービスの遅延、考慮不足
  • ユーザーサポートが悪化を招く
  • メーカー・車評価の悪化による、ユーザー購入の機会損失、離脱

支援があれば復活した可能性はあるのか

品質管理面の不足が、ユーザーに致命的な混乱と評判の悪化を招き、追加投資や支援に値しないと判断されたのでしょう。
ただ、フィスカーの事例だけで、このビジネスモデル自体の失敗と決めつけるのは早計です。

車はファブレス生産に向かないのか

工場生産品を他の委託生産業者に任せるだけですので、ファブレス企業が悪い理由にはなりません。

電気自動車の普及で自動車産業の水平分業化が進むか

既存の自動車メーカーは、量産ノウハウを既に手の内化しており、生産拠点も確立しているためです。従って、受注獲得の機会があるのは、フィスカーやローズタウンといった新興のBEV専業メーカーとみています。ただ現状の受注規模は小規模であり、スマートフォンでの勝利の方程式となった大量生産によるコストダウン効果は望めないと考えています。

生産管理が一定水準以上に達すれば、国内生産か海外生産か、外部委託かの違いです。

ニッチな高級品も委託生産可能

既存メーカーもニッチ分野の高性能スポーツカーや多気筒エンジンを少量委託生産する例は沢山あります。

ニッチな高級品、高性能、高品質が求められる分野ですら、外部委託で生産可能なレベルに達しているのです。実売価格を見れば、他社と同等製品のライバルに対して、コストも妥当なラインに収まっていることが理解できます。

自社生産、内製化に意味はない

日本製メーカーが、家電・PC・液晶・スマホ市場からの撤退を見れば、量産ノウハウや生産拠点の確立など、なんの意味も持たない事が理解できるでしょう。
コストダウン効果が勝利の方程式ではないのです。

OSや中枢部品が優れているかだけ

  • アイフォンで言えば、独自OS
  • BYDで言えば、自社バッテリー製造と内燃車製造ノウハウとの協業
  • テスラで言えば、既存の自動車メーカーにない超合理的な設計
テスラの垂直統合や水平統合のメリット・デメリットとは
テスラは自動車の転換期の代表格とも言われます。垂直統合・水平統合とは何なのか、意味やメリット、デメリットについて、独自の分析による洞察を解説します。

EV新興メーカーの水平分業化の流れ

EV水平分業の流れ

  • 主にEVマーケティング、企画に専念
  • 基幹部品の駆動用バッテリー、駆動用モーター、制御部品などは、外部メーカーから調達
  • 外部生産メーカーへ委託生産

国内メディアが語る失敗は本当か

フィスカー社やEV関連の一時後退ニュースをネタに、「水平分業方式を失敗」と言い切る国内メディアが2024年になって、表れていますが正しくありません。

近年の中国EVメーカーの淘汰状況を見れば、水平分業の混乱期が過ぎ、安定期に向かいつつあるスマホ化」は今後も進みます。

ハード・ソフトの相性問題とか

自作PCとは次元が異なり、垂直統合・水平分業に関わらず、複数のサードパーティ・サプライチェーン製品の集合体である、現在の工業製品において、このような話を語るのはナンセンスでしょう。
このような話を出す国内メディアには驚きます。

よって、フィスカーの事例は、単にテスト不足、品質管理不足の結果に過ぎません。
中国EVメーカーでも同様の問題が発生していることは容易に想像できます。

  • 高精度センサー
  • エラーチェックソフトウエア
  • 高精度モニタリングソフトウエア
  • 品質チェックソフトウエア
  • 人による最終確認

しかし、これら上記の仕組みにより、性能改善・品質向上されていくことは、どの生産国でも出来ることでしょう。
驚くほどのスピードで改善されていくため、日本国内の自動車生産技術だけが優れているという、いつもの国内メディアな価値観は通用しないのです。

フィスカー社破綻の原因は水平分業が原因ではない:まとめ

フィスカーの事例では、生産から販売に至る過程において、決定的な品質管理ノウハウ不足が招いたとも言えます。

他の工業製品を生産する異業種が、自動車のファブレス生産に乗り出した場合は、各種ノウハウが活かされるため、ここまでの品質管理不足が露呈することは少ないのではないでしょうか。
少なくとも自作PC部品の相性問題を出すような低レベルの話は言うまでも無いでしょう。

OSや中核部品だけを握りつつ、それ以外は汎用品を結合する水平統合のスマホ化は、自動車生産にも着実に進みつつあるという「まとめ」になります。