
最近は最高速やゼロヨンだけでなく、ニュルブルクリンクサーキットのラップタイムが車の実力を示す指標となっています。国産車GT-Rを取り巻く、最新状況を解説します。
ニュルブルクリンク北コースの市販車ラップ
ニュルブルクリンク北コース「Nordschleife(ノルトシュライフェ)」(全長20.832km)において、GTRが仕掛けたポルシェに対するラップタイムバトルが加熱しているようですね。
マイナーな無名の日本車がポルシェに喧嘩を売るなんぞ・・・とポルシェ側の声が聞こえてきそうですが、ソニーのプレイステーションソフトであるグランツーリスモを通してR32、R33、R34はゲームの世界を通して世界では知名度があったようですね。
ニュルGT-Rラップランキング
日本車最速は、日産GT-Rです。2013年9月30日に記録したGT-R NISMOの7分8秒679が最速となっています。
日本車ニュルブルクリンク・ランキング
参考までにレクサスLFAやタイプRのタイムも載せます。
2019年以降、北コースの公式な距離定義について、20.6kmから20.832kmへ変更されました。
これにより、従来のタイムよりも長くなる点に考慮が必要です。
- 日産GT-Rニスモ 7:08.679(2013)
- レクサスLFAニュルパッケージ 7:14.64(2012)
- 日産GT-R 7:19.10(2012)
- 日産GT-R 7:24.22(2011)
- 日産GT-R 7:26.70(2008)
- 日産GT-R V-spec 7:34.46(2009)
- ホンダシビックタイプR 7:43.8(2017)
- ホンダシビックタイプR 7:44.881(2023)
- トヨタGRスープラ 7:52.17
- 日産R33型スカイラインGT-R 7:59(2015)「マイナス21秒のロマン」のキャッチコピー
- 三菱ランサーエボリューションIX 8:11
- 日産R32型スカイラインGT-R 8:20
ニュル市販車最速ランキング(参考)
R35登場当初は、かなり速いタイムだったものの、近年、スーパーカーとの差が開く一方です。
- メルセデスAMG GT/Black-Sir 6:43.616(2020)
- ランボルギーニ アヴェンタドールSVJ 6:44.97(2018)
- ポルシェ911GT2 RS 6:47.3(2017)
ニュル・レースカーのランキング
919ハイブリッドEvo(2018)
- 2017年のWECレースカーをベースとしたチューニングカー
- 2.0L直墳V4エンジン:720 PS
- 電気モーター出力:440 PS
- システム合計出力:1,160 PS
- 乾燥重量:849 kg
- 2018年6月29日ドライバー:ティモベルンハルト
- 北コースタイム:5分19秒546
日産GT-Rのニュルブルクリンクラップ変遷
- 2012年5月:日産GTRは、7分19秒をマーク。
- 2013年9月:日産GT-Rニスモ、7分8秒68をマーク
当時のニュル最速タイム達成時のGT-R
2013年9月30日に実施。NISMOブランドのグローバルアンバサダーであり、レーシングドライバーのミハエル・クルム選手が、GT-R NISMOでタイムアタックに挑んだ。
タイムアタックは、NISMO専用オプションパック装着車で実施。エアロダイナミクスチューニング、軽量化、サスペンションチューニングなどが施された仕様で、2014年夏頃から、NISMO大森ファクトリーで販売を開始する予定。
9月30日、日産のチームは、精鋭の4名のドライバーとともにタイムアタックを開始。そして、ニュルブルクリンク北コースが閉まる12分前の16時48分。雨が降り始める5分前に、4名のドライバーの最後のひとりとしてタイムアタックに挑んだミハエル・クルム選手が、最速ラップの7分8秒679を叩き出した。
マイナーチェンジしたGT-Rが7分29秒台
今回は、マイナーチェンジにより戦力アップしたGT-Rでマークされたもので、ポルシェのクレーマー対策により、マスコミ各社を集めてのタイムアタックとなったようである。
前回、7分29秒3のタイムに異議を唱えたポルシェである。
ポルシェは北米で購入したGT-Rでのテスト結果は、7分54秒過ぎない・・・とした。
今回は、ノーマル?GT-Rでのタイムアタックとなったが、この後には、スペックVなるモデルが控えている。一般市販車部門では、最近になり、シボレーコルベットのコルベットZR-1
に抜かれたばかり。タイムは7分26秒4。
GT-RスペックVは、走り部分に重きを置いた強化がなされることで、このタイムを超える可能性がある。海外では、まだまだ無名ブランドのGT-Rもゲームのグランツーリスモでの知名度は高く、ゲーマー層における認知度は高いようだ。
また、フェアレディZもスポーツカー?としての北米販売台数は、ポルシェを圧倒する。
GT-Rは、ドイツ・ニュルブルクリンクというドイツ車・ポルシェのホームグラウンドで、さらなる喧嘩を仕掛けたことで、ポルシェ側の立場は完全に危うくなった。やはり、世界のポルシェは、弱小ブランドのGT-Rなど無視すべきだったのだ。スペックオタクの日本車に対して、最近のドイツ車は、ハイブリッド車で劣勢になり、スーパーカー部門でも劣勢になりつつある。
やはり、ドイツ車ならではの味を大切に、日本車との無意味な性能競争とは無縁の世界観であってほしい・・・。コストパフォーマンスというラウンドで戦うべきでは無いのだ。
初期のGT-Rニュルタイムアタック映像
GT-Rのニュル証拠ビデオ
GT-Rのライバル車との関係
GT-Rのタイムにポルシェが抗議
ポルシェは、7分29秒というGTRのタイムに対して日産に抗議したようです。
日産側は正式に反論しているようである。日産が発表しているスペックの中で、ポルシェと同等のゼロヨンタイムだけは、マスコミのテスト結果と乖離していて、若干疑わしい。やはり重量の重さが足を引っ張っている。広報車、テスト車のチューニング疑惑も否定しないが、筑波や富士のラップを見る限り、ポルシェを超えていることは明らか。
さて、ポルシェ側ももう少し冷静に判断出来なかったのだろうか。
ポルシェ側もテストを行なった結果らしいが、ニュルじゃなくても普通のサーキットでも実力の程は、類推できるだろう。
どちらにしても、ポルシェ側のGT-Rの結果は、明らかに遅い結果であり、この宣戦布告が、ポルシェ側のテストに逆に疑いをかけられる結果になるのではないか。
GT-Rのイメージアップにも寄与してしまったかもしれない。
この先、GT-R Vスペックが登場予定とのことで、7分25秒台のタイムも噂されている。
GT-Rのネックである、重たい車重も150kgの軽量化で、さらなるタイムアップが図られているだろう。
今回のクレームにより、日産側もクレーム・証拠・広報対策を徹底的に行なってくることが予想され、ポルシェ側は、窮地に立たされると予想する。
大人気ない行動が結果的に、首を締める結果となるかもしれない、クレーマーポルシェ。
コルベットZR1がGT-Rのタイムを抜く
この影に隠れて、『コルベット ZR1』、日産『GT-R』を3秒抜く:20080714という記事の方がインパクトはある。1500キロ台のライトウェイト、638psのビッグパワーFRは、ゼロヨンや最高速もGT-Rを完全に凌駕し、信憑性は高い。ただ、直線番長的なイメージが強いハイパワーアメリカンがニュルにも強いことは驚きである。
確かにグランツーリスモ内のZR1も速いので納得である。
クレーマーポルシェとは
クレーマーポルシェとは(ご参考・・・^^)
ポルシェ社は、レースカーにも取扱説明書を付けて販売する程レースへ参加することに積極的に取り組んできた会社で、世界中の多くのレースに参加し、ポルシェ生産車の開発にあたってきました。クレーマーレーシング社は、そのポルシェ社のレース車開発部門「ワークス」に準じてレース活動を行ってきた有力プライベーター(ポルシェでレースに参加する世界的な会社)3社の中の1社です。クレーマーレーシング社は、「ワークス」が開発したポルシェをクレーマーレーシング社単独の技術力でマシンモディファイしてレース参加し優勝した実績をもち、ポルシェの耐久性を確保しながら、独自のノウハウでパフォーマンスを追及する手法を確立しています。そのクレマーレーシング社のストリートカーをプロデュースしているのが、クレーマーレーシングジャパンです。
ニュルブルクリンク北コース(Nordschleife)とは
ニュルブルクリンク北コース、通称「ノルトシュライフェ(Nordschleife)」は、ドイツ・アイフェル山地にある世界的に有名な古典的サーキットで、現行の旧レイアウトではおよそ20.8km、70を超えるコーナーと大きな高低差を持つことから「グリーンヘル(Green Hell=緑の地獄)」とも呼ばれます。長大で複雑なレイアウトは、車両の総合力(シャシー、空力、タイヤ、ブレーキ、ドライバー)を苛烈に炙り出すため、自動車メーカーやメディアが性能比較や宣伝の場として多用してきました。
北コースは観光走行(Touristenfahrten)でも知られ、市販車が実際の公道に近い状況で高速連続走行を行う希有な場所です。そのためコースの状態(路面温度、改修・安全対策、セクションごとの微妙な路面変化)やタイヤ・燃料・天候の違いがラップタイムに大きく影響します。コース改修や安全対策の導入もラップタイム傾向に影響を与えている点は留意が必要です。
2020年以降のラップタイムの動向(GT-Rを中心に)
日産GT-R(R35系)は市販車として長年にわたり北コースで注目を集め、特にGT-R NISMOは2013年に「7分08.679秒」を公式に記録して話題になりました。以後、GT-Rはモデルイヤー改良や限定仕様で細かなタイム更新を図ってきましたが、以降の数年間でGT-R自身が大幅に新記録を更新するような公称アナウンスは限定的です。メーカー公表の代表的なタイムやメディア計測の履歴は比較表としてまとめられており、GT-Rは過去に7分20秒台〜7分30秒台の報告例もあります。
2020年代に入って顕著なのは「競合の多様化」と「記録更新の二極化」です。すなわち、プロトタイプやワンオフ調整(例:Porsche 919 Evoなど)や電動記録車両が極端に速いタイムを出す一方で、量産市販車の領域ではタイヤ規格や公正性(同一条件での比較)、安全規制の強化が影響し、単純比較での“誰が最速か”は以前より複雑になっています。北コースの総合ランキングを見ると、プロトタイプや競技専用車が桁違いのタイムを持つ一方、量産スポーツカーの上位は微小改良で数秒単位の上下を繰り返しています。
GT-Rに関して言えば、2020年以降はライバル(欧州メーカーや最新のスーパースポーツ、あるいは電動スポーツ)の台頭により、単独での大幅なタイム短縮よりも「モデルごとの熟成」「空力・減衰の細かな最適化」「タイヤとセットでのパフォーマンス追求」といった方向で進化してきたのが実情です。さらに近年は車種の生産終了や次世代モデル(電動化を含む)への移行が噂・発表される例もあり、GT-Rの北コースにおける“新たな挑戦”は今後のモデル戦略に依存する面が大きいと考えられます。
まとめると、2020年以降の傾向は「歴史的記録(GT-R NISMOの7:08など)は残るが、周辺条件の変化と競争の多様化によりラップタイム比較の意味合いが変わってきた」という点です。GT-Rが今後再び北コースで注目のアタックを仕掛けるかは、メーカーの投入戦略(出力・空力・軽量化・タイヤ開発)とサーキット側のルール・改修状況次第と言えるでしょう。

