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日産「S14シルビア」の不人気・ダサイ理由を徹底解説

査定君
査定君

一般的に出回っているS14シルビアの失敗理由についても解説します。

3ナンバー化が理由ではなく、デザインのダサさが失敗理由なのです。

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S14シルビアの概要

日産を代表するシルビアシリーズの6代目S14型になります。
1993年から1998年まで生産したスポーツカーです。Q’sオーナーやATユーザーは、スポーツカーというよりも、スペシャリティーカー・遊びカーのウェイトが大きいでしょう。
大ヒットモデルS13型が30万台以上を売り上げた半面、S14型は8.5万台とかなり低迷しました。

ボディの大型化でスポーツ性能低下が不人気の要因という説が一般的のようですが、そのような理由をS14に求める層は、ごく一部でしょう。多売グレードがQ’sのAT車がメインのなんちゃって軟弱クーペのシルビア層が多かったのではないでしょうか。

もちろん、K’s/MTの熱い走り屋の存在は否定しませんが、絶対数は多くないでしょう。

  • ボディの大型化、肥大化、3ナンバー化
  • スポーツ性能低下

が主な失敗理由とされ、一人歩きしてしまったようです。
ユーザーにとって、3ナンバー化が失敗原因ではありません。
本来の「デザインがダメ」がという最大要因なのです。

また、S13の爆発的ヒット、アートフォースシルビアの完成された直線的デザインの完成度を越えられない丸みを帯びた失敗デザイン、バブル崩壊後のチープな内装も要因として挙げられます。

S14のコンセプト

水平基調の流れるようなスタイリングを「ホリゾンタルストリームシェイプ」と命名しましたが、当時の日産デザインコンセプトが敗因でした。
エンジンは、1.8リッターNAとターボから2.0リッターNAとターボとして、パワーも格段に強化されました。よって、パワー向上に対する3ナンバー化などのワイドトレッド化は必須です。
その後のドリフトマシンとしてもS14が重宝されているように、ハンドリングに悪影響など微塵もありません。当時の「S14否定理由であった3ナンバー化NG論」は、全くの誤りであって、今となってはコンパクト過ぎるボディサイズです。

Wikipediaの記載

1993年10月、発売。プラットフォームは先代の物を流用しているが、ボディサイズは拡大され全車3ナンバーとなった。スペシャルティ市場がRV等に押されていた時期と重なったこと、ボディが大型化されたこと等により軽快感が失われ、若者の人気を得られず販売台数が減り、一般市場では不評のまま終わった。

4代目プレリュード同様、デザイン面の不人気が、一番の販売不振理由にも関わらず、S14シルビアの不振理由には、後付け感に違和感がありますね。
180SXの販売はS14発売後も継続され、安さとデザインを求めた層は、ワンエイティに流れたことも要因の一つです。

ネット上の指摘のポイント

  • 3ナンバー化が失敗?
  • ボディは丸く締まりがない
  • スポーツカーはグリーンハウスが小さいほど良い?
  • スポーツカーはデザインも命という視点が欠けていた

3ナンバーサイズが、失敗?

以下、「Auto Messe Web編集部」の記事ですが、違和感を覚えましたのでコメントします。

S13に比べ全長は30mm伸びて、全幅はプラス40mmの1730mmまで拡大し、3ナンバーサイズになってしまった。メーカーはワイド&ローを強調したと胸を張ったが、ユーザーとしては「誰がボディを大きくしろと言ったんだ?」というのが正直な感想だった。

この時期、税制改正もあって、3ナンバー化は時代の流れです。ライバルのプレリュードは一足先に3ナンバー化しており、たった4センチのボディ拡大など、どうでも良いところでしょう。
たった4センチがドライバビリティに悪影響を及ぼしたとは言えず、むしろトレッド拡大はプラスでしょう。むしろ、ホイールベースの5センチ延長の方が、ハンドリングへの影響は大きいと思われます。
ファミリー向けのミニバンやセダンでもなく、スタイリング重視のスペシャリティーカーが、5ナンバーに執着する意味は、全くありません。スポーツカーと捉えている層もありますが、デートカーや遊びなどの若年層の用途を満たした車が、S13だったと言えます。
デザイン失敗の原因を「3ナンバー化」にこじつけたという理由になります。
結局、デザインが悪なのに、3ナンバーが悪という論点ずらしの説が暴走し、S15では5ナンバーに戻るという愚策に繋がります。

1990年代の3ナンバー化スペシャリティクーペ

  • ホンダ・プレリュード(4代目) 1765mm
  • マツダRX-7(FD-3S) 1765mm
  • トヨタセリカ(5代目ワイドボディ、6代目) 1745mm
  • マツダMX-6、フォードプローブ(2代目) 1745mm
  • 三菱エクリプス(2代目) 1745mm
  • 三菱FTO(初代) 1735mm
  • シルビアS14 1730mm(ライバルの中で一番小さい)

3ナンバー化は、時代の流れであり、ハンドリングのネガティブ理由として挙げる意味すらありません。まだ車幅1800ミリにも満たない時代です。デザイン面でも安全面、車体設計面でもプラスのメリットしかないでしょう。
S13に比べれば、安定性に寄与しメカニズム面、動力性能面でもS14が劣る部分は無いでしょう。
たった4センチの拡大を「デメリット」として挙げた当時の記事は、ナンセンスに感じますね。

価格アップが敬遠理由にはならない。

バブル期以降、安全装備などの充実で価格もアップ(先代比Qsで35万)していくのも時代の流れです。S14のデザインが良かったなら、ユーザーが敬遠する理由にはなりませんね。

ボディは丸く締まりがない

 ボディが大きいだけならともかく、顔はおとなしく、ボディ全体は丸くなって締まりがない。

たった、30ミリオーバーのサイズで、ボディが大きい事もないでしょう。
S13シルビアや初代セフィーロ登場時も、かなり丸みのあるデザインだったのです。
S14ボディの丸みが原因でなく、丸みを生かしたライト・テールデザインの不出来の問題です。
また、今の基準で見れば非常にコンパクトな全幅1730mmです。

丸目のタレ目ライトがダサイ・不人気のが根本原因

S14シルビア単体で見れば、カッコ悪いというほどではありません。ボディの拡大が原因でなく、当時の日産車における「丸み、斬新、新しい」というデザイントレンドが失敗要因となっています。
このデザインコンセプトの影響をモロに受けたのがS14シルビアと言えます。

9代目 U13型系ブルーバード(1991年 – 1996年):丸みデザイン、尻下がりのセダンが全滅。ARXがフォロー。
3代目 JY32型系レパードJフェーリー(1992年 – 1996年):今でこそ評価が高いが、丸みデザイン、尻下がりの日本では受け入れられず。
3代目 P12型系プリメーラ(2001年 – 2008年):特にセダンのスタイリングに対する専門家筋の評価は高く、経済産業省グッドデザイン賞「金賞」やドイツのレッド・ドット・デザイン賞など、数々のデザイン賞を獲得しているモデルですが、当時としては斬新なプリメーラの影響を受けていないようです。

失敗作のU13ブルーバードの影響が濃いようです。丸みの斬新さで、S13と比べて、見劣りしなかったと判断されたのかもしれません。ただ、市場で失敗の烙印を押されたのは、開発担当がゴーサインを出したのが根本原因です。たとえ、日産としてのデザイントレンドがどうであろうと、開発担当が、軌道修正すべきなのです。

S14後期モデルは大胆に変更

日産のデザイントレンドを踏襲したことで、S14前期デザインの大失敗に気づいたメーカーは、後期S14で大胆なデザイン変更を実施します。もはや前期モデルの面影すらないボンネット、フェンダー、バンパーの全面変更は、S13シルビアの売れ行きが下降し、コストを掛けてでも販売回復を狙ったということでしょう。しかし、時代はミニバン、SUVに流れており、従来のシルビア顧客の流れを止めることは出来なかったようです。従来の丸目ボディとサメのような非常にシャープなライト形状がミスマッチです。
バンパー下のウインカーも非常に大きく、ライトデザインとアンバランスさが目立ちます。
前期「タレ目」から後期モデル「ツリ目」に変更したものの、販売回復に至らなかったようです。

グリーンハウスが小さいほど良い?

さらにクォーターウインドウが大きく、リヤガラスが湾曲していてかなり横まで回り込んできているのが正直かっこ悪かった……。

スポーツカーはグリーンハウス(ボディの窓下線より上の屋根回り)が小さいほどカッコよく見えるというのは、カーデザイナーの常識。そのセオリーに反してS14を市場に出したということは、デザイナー以外の意見が優先されたと推察できる。

グリーンハウスというより、Cピラーを細くして、グラスエリアを大きくするのは、当時のプレリュードやソアラでも見られたトレンドです。シルビアは、Zなどのスポーツカー寄りでなく、後部座席も一定使える車です。よって、スポーツカーの当時の常識など、全く当てはまりません。

ボディ拡大路線は時代の流れ

 日産は1995年に登場させたR33GT-Rでも同じ路線で進むので、ボディ拡大路線を唱える権限が強かったのだろう。

スカイラインを例え話として挙げていますが、セダンが主力のスカイラインと背景は全く異なります。権限とか路線とか全く関係ありません。
全長は、R31(4660mm)、R32(4580mm)、R33(4720mm)という流れです。日産の主力セダンとしてR31セダンがスクエアなスタイリングで、それなりの販売成績を挙げていたにも関わらず、R32セダンのサイズダウンが敗因なのです。
明らかにR32セダンの後席居住性は、ファミリーユースとして、5ナンバーフルサイズのライバルFRセダン(マーク2の3兄弟)と比べて劣っており、拡大は当たり前です。日産スカイラインにとって、売り上げ的にはセダンがメインであり、クーペボディは、オマケに過ぎないのです。

スカイラインとシルビアは別の話

R33スカイラインのセダンは、「全長14センチ」の大幅拡大を実施しています。これは、R32セダンの販売低迷の回避策として、マーケティング的に当たり前の策です。ローレルだけでは役不足であり、マーク2・チェイサー・クレスタ3兄弟に対して、スカイラインセダンの拡大は必須であったと言えます。セダンユーザーにとって、ハンドリングや運動性能など、どうでも良く、居住性が最優先事項なのです。R33スカイラインと比べて、S14シルビアのボディ拡大は、3-4センチに留まっており常識の範囲内かと思われます。

S13の優位点

当時のライバルプレリュードを凌駕した点は、S13のポイントは下記の通り

  • プロジェクターライト、グリルなどの斬新なデザイン
  • Q’sの安さとK’sターボ設定の絶妙など、性能とコスパの良さ
  • FRという走りをアピールする、プレリュードに無いポイント

安価な走り屋車は結果論

なぜか、AE86の後継車的な位置付けとなり、安価なFR車としてのニーズも満たしていました。しかし、若年層の購入動機は「安価でカッコ良く、そこそこ見栄が張れる2ドアクーペ」が、シルビアに求められた姿です。実際にはデートカーとして、ナンパ車プレリュードと双璧を成すコストパフォーマンスにも優れたS13でした。
であるならば、3ナンバー化は、安く見栄を張れる車としての必達事項であり、S14の3ナンバー化は市場が望む姿です。同時期のRX-7(DF3S)も当然、3ナンバー化しており、大型化にネガティブ意見など存在しません。よって、S14の3ナンバー化失敗説は、根拠の無い説と言えます。

スポーツカーはデザインも命という視点が欠けていた

 振り返ってみると、日産は1987年3月期決算で上場以来初の営業赤字に転落している。バブル期はシーマなどの高級車が売れてひと息つき持ち直すが、バブル崩壊後は不動産や株式を売却したり、デザイン部のリストラを進めた……。

つまりデザイン部門が弱体化し、技術畑より経営系、あるいは外部の銀行などの発言力が増してきた時期と重なってくる。その結果がまさに形になって表れたのが、S14シルビアともいえるが、そのスタイルはともかく、機械的にはポジティブな進化を遂げていた。

プリメーラ3代目など、同時期に意欲的なデザインもあり、デザイン部門の弱体化というよりも、ユーザー嗜好をキャッチできない、ブサイクデザインにゴーサインを出したマーケティング・経営全体の問題だったと言えるでしょう。

S14シルビア失敗のまとめ

シルビアのサイズ変遷

S13

全長×全幅×全高:4470×1690×1290mm、ホイールベース:2475mm

S14

全長×全幅×全高:4520×1730×1285mm、ホイールベース:2525mm

S15

全長×全幅×全高:4445×1695×1285mm、ホイールベース:2525mm

当時の自動車系メディアの少なさが敗因

当時、S14の不振理由を「3ナンバー化が失敗」というメディア記事に翻弄され、販売低迷の原因がメディア編集者の走り屋としての好み論を話をすり替えられてしまいました。
その結果、上記の説が完全に一人歩きしたため、S15では5ナンバーに戻すという愚行を実施しています。S14の失敗原因は単なるデザインの不出来一択です。

不振の理由は、デザインであって車幅拡大が理由ではないので、S15は、3ナンバーの余裕を生かしたボリューム感に溢れるダイナミックなデザインとすべきだったのです。
1800ミリ未満の3ナンバー化にマイナスイメージなどは全くありません。1700mm以下必達意見は、スポーツカーの話ではありません。時代にマッチせず、薄っぺらい車は、時代に逆行しS15のシルビア人気が回復することはありませんでした。ユーザーの意見を捉えられなかったマーケティング不足の現れです。

今のようにネットがあれば、デザイン面の失敗一択で終わる話ですが、当時はメディア上の評論家の偏った意見がであっても、かなりの影響力があった表れです。(R33スカイラインも同様)

S13シルビアの人気は、FRの走りだけでなく、斬新なプロジェクターライトや一体型のクリアーなグリル、スタイリッシュなテールランプなど、1980年代後期としては斬新なデザインがプレリュードから、デートカーとしての人気を奪えるボジションになったと言えます。QsとKsという価格性能比、コスパの圧倒的バランスもプレリュードやセリカなどのライバルに対して優位なポイントでした。当時のデートカーとして、価格の安さ、スタイリングの斬新さ、そこそこ走りのパフォーマンスがS13の強味だったのです。
S14は、当時の日産デザイントレンドを継承し、丸みデザインを採用した事により、従来のシルビアブランドイメージを崩壊させ、全てを台無しにするだけの強力な破壊力だったと言えます。

S14の販売不振・失敗の原因を「3ナンバー化」「大きい」という誤った理由とした結果、S15を5ナンバーに回帰させ、日産を迷走させる結果となったのです。
それに振り回されてしまった日産マーケティング。
そんな時代に翻弄されたシルビアです。

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