
日産e-POWER(シリーズ式ハイブリッド)と EV(完全電気自動車)の二本柱で電動化施策を強化しています。両車は燃費性能や環境性能を強く訴求するパワートレインですが、実際に年間の維持費がどれほど変わるのかは、ユーザー自身が正確に把握しづらい部分です。本記事では、日産の e-POWER と EV モデルの特徴を整理しつつ、年間の燃料費・電気代を比較できるコストシミュレーションを詳細に解説します。
日産のハイブリッド車と EV の概要
日産の e-POWER は、エンジンを発電専用に使用し、駆動は常にモーターというユニークなハイブリッド方式です。エンジンとモーターの両方を駆動力として使う一般的なストロングハイブリッドとは異なり、EV に近い走行フィールを持ちます。一方、日産 EV の代表であるリーフやアリアは、完全にバッテリーで走るゼロエミッション車で、電費性能・静粛性・メンテナンス性の高さが特徴です。
ハイブリッド車(e-POWER)の特長
- エンジンは発電専用で走行には関与しない
- 電気モーターによる滑らかな加速感
- 市街地走行や低速域で高い効率を発揮
- ガソリンを給油するため航続距離の不安が少ない
- 通常のハイブリッドよりも運転感覚が EV に近い
- バッテリーは小型で充電設備が不要
EV 車の特長
- 100% 電気駆動でゼロエミッション
- 静粛性が非常に高くメンテナンスパーツも少ない
- 急速充電を使えば短時間で大容量を充電可能
- 自宅充電環境があれば維持費は圧倒的に低い
- バッテリー容量により航続距離は大きく異なる
- ガソリン価格に影響されない
コストシミュレーションの設定値(参考例)
以下は本シミュレーションで使用する代表的な入力値です。
- 年間走行距離:7000km
- ガソリン単価:170円/L
- e-POWER燃費例:18〜27km/L(車種による)
- 電力単価:30〜40円/kWh(夜間電力なら20円台もあり)
- 電費例:5〜7km/kWh(リーフの場合)
e-POWER と EV のコストシミュレーション
コストシミレーション入力画面
年間走行距離と燃費(または電費)から、以下の計算式で比較します。
e-POWER と EV の年間コストシミュレーション
結果
ガソリン車(e-POWER)の年間燃料費
年間燃料費 = (年間走行距離 ÷ 燃費) × ガソリン価格
EV 車の電気代
年間電気代 = (年間走行距離 ÷ 電費) × 電力単価
この結果を元に、どちらがどれだけ安いのか視覚的に理解しやすくするため、グラフとして棒グラフで表示し、最終的にどちらが経済的なのかを明確にします。
計算結果の見方とポイント
- ガソリン価格が高い月は e-POWER が不利になりやすい
- 電力単価は契約プランに大きく依存するため、夜間電力なら EV が非常に有利
- 走行距離が短いユーザーはどちらも差が小さくなる傾向
- エアコン利用の多い地域では EV の電費が悪化しやすい
- e-POWER は給油が簡単で長距離走行に便利
- 自宅充電可能なユーザーは EV が圧倒的にコスト優位
まとめ
日産 e-POWER と EV はどちらも優れた効率性を持つモビリティですが、年間維持費はユーザーの走行距離・ガソリン価格・充電環境によって大きく変わります。
本記事のシミュレーションは、年間費用の違いを具体的に算出し、グラフで視覚的に比較できるように設計しています。今後の車選びにおいて、e-POWER と EV のどちらがライフスタイルに合うのか判断するための指標として活用してください。

