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自動車メーカーはEVに舵を切り過ぎたのか

査定君
査定君

2024年になり、EV後退が正解、EVに舵を切り過ぎという、意味不明な論調も出てきました。現在の状況と今後の動向をふまえ、現時点での自動車メーカーの選択は誤りなのかを解説します。

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北米、欧州、中国のゴールポストに動き無し

世界のCO2規制強化策に変化は一切無し

ZEV規制、CAFE規制、NEV規制、欧州委員会、米国、中国各国の決定事項に対して、大きなゴールポストの変更は一切ありません。よって、実情に関係なく、規制強化の法律が先行して実施されます。

BEV低迷が顕在化してきたが

ただし、上記の規制を見据えたBEVやPHEVの売れ行きが、計画通りに進んでいないことが明らかになってきました。
そこで、販売地域の実態に合わせたゴールポストの変更が行われる可能性も高まるとする国内メディアの論調も高まってきました。

ゴールポストに動きは一切無し

ここでポイントとなるのは、国別にBEV化の推進スピードに差が出てくることです。
一時的なBEV減速を全体論に当てはめ、ハイブリッド車勝利、BEV推進は失敗、BEV加速し過ぎ、などという一部メディアの論調は誤りです。

地球温暖化、異常気象は着実に進む

世界的に高温の異常気象や海面上昇などが表面化し、高温となる事情が身近に感じられるようになってきました。もはや、陰謀論を唱える時期は過去のものとなってきたでしょう。

CO2を排出する内燃エンジン車が、全ての温暖化要因ではありませんが、各国での法整備や実施スピードに差こそあれ、さすがにCO2を排出する内燃エンジン全廃の方向に向かっていくのは、肌感覚としても避けられないと感じていることでしょう。

純内燃車に逆戻りは、あり得ない

CO2排出量の総量削減にストロングハイブリッド車の効果が高いことは、数値的にも明らかですが、世界的なCO2規制から除外されています。
自動車生産、販売の最大の消費国である中国が、電動化を積極推進する以上、バッテリー走行を主とするPHEV車、さらにBEV車への移行は避けられません。

北米、欧州、中国のゴールポストに動き無し

北米の立ち位置

自国生産以外は、他国で生産されたBEVに高関税を課すという方針は既に決定事項です。

日本メーカーの動向

北米に内燃エンジン車工場があり、足りないものはBEV関連工場です。
あと数年は、高燃費の日本製ハイブリッド車で持ち堪えられますが、その先に待っているのはBEV一択です。

ホンダ、日産のBEV化戦略は、欧州や中国、韓国車に対しての出遅れ感からすれば、まだ遅いぐらいと言えるでしょう。
欧州や中国に比べて、BEVの浸透スピードは遅いものの時間の問題と言えます。

欧州の立ち位置

CAFE規制、欧州規制としての規制強化をいち早く進め、欧州市場で世界をリードする施策を進めています。欧州域内のBEVを優先し、中国からの輸入品に高関税を課すのは、米国と同様です。

日本メーカーの動向

欧州域内での自動車販売は、ストロングハイブリッド、PHEV以外、マイルドハイブリッド車レベルでは、CAFE規制での罰金対象に抵触します。
あと数年は、高燃費の日本製ハイブリッド車で持ち堪えられますが、その先に待っているのはBEV一択です。
その規制に耐えられないメーカーは、欧州からの撤退を余儀なくされます。

中国の立ち位置

BYDに加えてIT企業や新興メーカーの競争が激しく、BEVとPHEVのシェアは年々アップしています。BEV補助金廃止による低迷は、一時的なものであり、国策としてのBEV/PHEV販売の重視施策、販売成績の伸びは数字にも表れています。

日本メーカーの動向

日本車の人気も過去のものとなり、シェアは年々下降しています。
欧州地域は、規制を超えられない(罰金規制回避)のための市場撤退を余儀なくされていますが、中国市場は、販売低迷による市場撤退となります。

この厳しい現実に対して、日本メーカーは、一時的なBEV低迷やVWの生産調整のニュースを全面に押し出し、国内メディアは厳しい中国市場の実情を報道しないようです。

自動車メーカーはEVに舵を切り過ぎたのか:まとめ

日本の自動車メーカーは、130~160円超えの円安効果もあり、空前の利益を上げています。
特にBEVを製造・販売していないにも関わらずの好調決算により、内燃エンジン車、ハイブリッド車で、世界市場を席捲しているようなイメージを持つ方も多いようです。

しかし、日本メーカーの好調度合は、BEVに対して緩い北米市場などに限られ、他国ではシェアを大きく減らすなど、厳しい販売推移となっていることは、あまり触れられていません。

世界のゴールポストに一切変更なし

現時点、世界の主要国におけるCO2規制のゴールポストに変更はなく、BEV/PHEV化への移行は、避けられません。中国生産製の自動車を排除しつつ、現地生産のBEV/PHEV車が必要となることは言うまでもありません。ホンダ・日産の施策は全く間違いでもなく、その戦略は妥当です。

内燃逆行のニュースは国内メディアだけ

BEVの各種デメリットによる販売動向については、明るい未来だけでないことが、リーフやBMW i3登場時から語られている内容であり、「ほれ見たことか」と勝利宣言する内容でもありません。
むしろ、そのようなデメリットは明確にわかっているにも関わらず、世界各国のCO2規制が強化されてしまったことで、後に引けない状況なのです。
e-Fuelなど、内燃エンジンメーカーの「希望の光」にすらなっていません。

「EV後退が正解、EVに舵を切り過ぎ」という、国内メディアの論調は、日本国内でしか通用しません。