2023年3月にトヨタ カムリが国内向けの生産終了となりました。
43年の歴史があるカムリは海外継続で日本だけ販売中止なのか。
オワコンのMIRAIはなぜ生産を継続するのか、その理由を解説します。
カムリの生産終了、生産中止の概要
現行型カムリは、2023年3月に国内向けの生産終了、生産中止、販売中止が決定し、43年という長い歴史に幕を下ろしました。
1980年のセリカ・カムリのセダン登場から43年続いた歴史に幕が下ろされてしまいました。
トヨタの歴史を作り上げてきたクルマが、また1つ姿を消します。
海外向けモデルは引き続き生産実施
海外向けの北米、アジア向けのセダンニーズは高いことから、引き続き生産継続します。
次期モデルの販売予定とは
次期カムリの国内販売予定はなく、クラウンクロスオーバー、クラウンスポーツ、クラウンセダンのいずれかが、代替車種に割り当てられる想定です。
しかし、現行ユーザーのニーズを満たしているとは言えないようです。
海外向けの次期カムリの予定はあるかもしれませんが、国内導入は見送られる可能性が高いです。
カムリの歴史
初代(1980年 – 1982年)
1980年に登場。「セリカ・カムリ」と命名され、
セリカのスポーツイメージをベースにした窓枠付きのスクエアデザインの後輪駆動セダンでした。
トヨタのT字グリルと長方形のライトが印象的でした。
カリーナがベースのボディとエンジンです。
2代目(1982年 – 1986年)
たった2年でフルチェンジです。キャッチコピーは「大きなカムリ」。
セリカのFRを止めて、トヨタでは初となるエンジン横置きFF化モデル。
セリカのサブネームが外れ「カムリ」となりました。
カラードバンパーなど、高級化が進んだ時期でもあります。
3代目(1986年 – 1990年)
スクエアなデザインから丸みを帯びたデザインへ変更。
セダンとハードトップ(プロミネント)の2モデル構成となりました。バブル期の影響から、さらに高級装備化が進みます。
- ハイメカツインカムエンジン
- V6エンジンを搭載した「プロミネント」も追加
4代目(1990年 – 1994年)
バブル崩壊直後ということもあり、高級感は据置きとされました。
プレスドアが採用され、より丸みを帯びたデザインへ進化します。
5代目(1994年 – 1998年)
バブル崩壊後、内外装で質感の低下やコストダウンが目立ち、従来ユーザーから不満の声が大きかったモデルです。一方、デザイン面では、一見欧州車風なスクエアなデザインは支持されました。
6代目(1996年 – 2001年)
カムリグラシア、カムリグラシアワゴンに名称変更となりました。
6代目で初のワゴンモデルが追加となっています。
3ナンバー化となり、全幅は1785mmへ一気に拡大され、北米市場向けの色が強くなりました。
エンジンは、2.2L直4と、2.5L-V6の二本立てです。
7代目(2001年 – 2006年)
より、アメリカンなデザインへ進化。
メカニズム面で特筆すべき事項無し
8代目(2006年 – 2011年)
エンジンは2.4L直4のみ
上位モデルのウインダムとのモデル統合もあり、より上質化が図られました。
世界戦略車として、海外の需要にも応えられるデザインへ進化しています。
9代目(2011年 – 2017年)
外観、内装など高級装備化へさらに進化。
全幅も1825mmとなり世界基準のセダンへ進化。
2.5L直4と3.5LV6、2.5Lハイブリッド(直4+モーター)の3種のエンジンを用意
10代目(2017年 – 2023年「日本向け終了」)
トヨタ車独自のフロントフェイスである「キーンルック」デザインが強調。
全体的にアメリカンなサイズとデザインになり、日本のユーザー離れが加速。
エンジンは2.5L直4の最新THS2エンジンへ進化し、燃費性能が向上。
北米市場を中心に、海外では根強い人気を誇り、2022年のグローバル販売台数は約60万台。
11代目(2023年 -)
ビッグマイナーチェンジです。ボディパネルなど、10代目をそのまま流用し、内外装を最新基準にリニューアルしています。アメリカンな大味デザインのアクの強さが抜けたことで日本でも支持されそうですが、プリウスやクラウンと丸被りのデザインです。今のところ導入予定は無いようです。
日本のカムリ生産終了の理由とは
2022年の年間累計販売台数は、5750台に留まっていました。
月平均で約480台の販売実績は、トヨタラインナップ全体で見ても、セダン不人気を物語っていました。
先代カムリはアメリカンデザインが不振の理由
ネット上、セダン不人気が撤退理由となっていますが、低迷原因は、デザインが全てです。
カムリ不振の理由はアメリカナイズされた大味デザインだからでしょう。ホンダのセダンにも同じ傾向が伺えます。11代目は、クラウンやプリウスイメージですから10代目よりも日本の顧客に合ったデザインです。
世界の販売台数は好調ですが、国内低迷が生産終了の理由
カムリは、北米や中国では人気車種となっており、2022年は日本含むグローバルで約60万台も売れました。しかし、国内販売はグローバル販売のわずか1%に留まっていました。
これが、カムリ国内販売終了の理由でしょう。
他のセダンモデルの傾向
- クラウンクロスオーバー:1万7766台(2022/9-12)
- 先代プリウス:2万8270台(PHV除く)
- カローラセダン:9740台
他セダンと比較すれば、低迷の事実は明らかであり、カムリの国内販売終了は避けられないとの判断になったのでしょう。
カムリ撤退、真の理由
11代目のクオリティは、レクサスESに迫り、プラスチッキーな新クラウンを超えている質感です。
特にFF化した新クラウンと競合する位置になってしまったのが、カムリの国内版廃止の理由です。
いつかはクラウンの序列は崩壊していない
カローラ、コロナ、カムリ、マーク2(X)、クラウンという「いつかはクラウン神話」は、昭和平成世代を生き抜いたカムリユーザーには絶対的なイメージとして植え付けられているはずです。
崩壊の流れ
- レクサスの登場によって、クラウンの格付けが崩壊
- プリウス登場は、ハイブリッドのエコな燃費性能とサイズ感が高齢者や富裕層のニーズに受け入れられ、爆発的なヒットに
- ノア・ボクシーなどへ、中間セダン層からのシフト
- アルファード・ヴェルファイア、ハリアーなどへ、高級セダン層からのシフト場
この流れによって、「カローラから、いつかはクラウン」へトヨタセダンの序列が実態として崩壊していったのです。
クラウン神話は生き続ける
「クラウンからプリウスへ」高齢者富裕層の乗り換えが加速しました。とは言え、ユーザーの絶対的な神話イメージは、簡単に無くなるものではないでしょう。
以下の序列は不変なのです。
- プリウスの格下として、カローラ
- 格上として、コロナ、カムリ、マーク2(X)、クラウン
西川修一氏の記事
クラウン不振の理由
引用:名車「クラウン」があっという間に売れなくなった本当の理由 | プレジデントオンライン
- フレーム構造のFR
- 直6エンジン
- 幅1800mmの立体駐車場に入る日本向け高級セダン
単に2020年当時のクラウン不振は、単にクラウン本体の魅力低下・マーケティングの失敗が全てです。上記3点がクラウンを避けた理由ではありません。カムリがクラウンのシェアを食ったわけでもなく、結果カムリ撤退が結論です。
プリウス失敗とカムリ生産中止で乗り換え先に困る問題
最新プリウスはクーペ化により、セダンの実用性が消えた
最新プリウスが、既存ユーザー全般を受け入れるセダンから、スポーツクーペにシフトしてしまいました。
現行カムリの生産中止で乗り換え対象車が消えた
- プリウスの格下ですから、カローラHVへの乗り換えは有り得ないでしょう。
- 格上として、コロナ、カムリ、マーク2(X)が、存在しません。
このようなモデル構成で、カムリを廃止する理由が不明ですね。
プリウスの乗り換え対象にセダンを用意すべきで、カローラHVやカローラクロスは有り得ません。
月平均約480台のカムリより、MIRAIの二桁を残す愚策
水素燃料電池車MIRAIは二桁の売れ行き
トヨタは、未来に向けて主役となる車は、BEV(バッテリー電動車)よりも、FCV(水素燃料電池車)であるとのロードマップを2014年に描き、現状は上記の推移となっています。
この販売低迷によるMIRAIの失敗は、誰の目にも明らかな事実でしょう。
新型クラウンがFCEV化
新型クラウンはクラウンらしくないという評判でFF駆動となりました。
セダンについてはFR駆動ままとなります。
これは、MIRAIベースのシャーシを丸ごと流用したデザインのためです。
不振のMIRAIだけでなく、クラウンでもFCEVを売りたいという苦肉の策であることが伺えます。
車種を拡大しようが、売れないものは売れないのですが、FCEVの拳を振り上げてしまった手前、もう後戻りできないところまで来ているのかもしれません。
カムリ販売中止より、オワコンMIRAI:まとめ
新プリウスの乗り換え先が無くなった
- カムリは、いつかはクラウンの序列として、クラウンの下位に属する重要な位置づけ
- プリウスは、高齢富裕層が受け入れたヒットモデルでダウンサイジング車だった
- 新プリウスがクーペ化して使い物にならない車と化したため、高齢富裕層の乗り換え先セダンとなる、上位モデルセダンのカムリがラインナップから消滅
- カムリが無いからといって、格下のカローラに乗り換えるとか有り得ないでしょう
新プリウスの乗り換え先を奪い、MIRAIを続ける愚策
新プリウスの乗り換え先となるカムリを生産中止するぐらいなら、全く売れていないMIRAIを生産中止とすべきです。MIRAIの生産を継続する意味はありません。
金食い虫のMIRAI生産を即刻中止し、カムリの生産・販売を再開すべきです。
海外向けの新カムリは、日本受けしそうなデザイン(プリウスの兄貴分)となっており、MIRAIよりも収益に貢献することは、誰の目にも明白なのです。
コメント