トヨタのテストドライバー成瀬弘氏が事故により死亡しました。レクサスLFAの事故の原因については諸説飛び交っていますが、多数の状況から事故原因を整理します。
成瀬弘氏の事故とは
2010/6/23 に成瀬弘氏が死亡事故のニュース
2010年6月23日(水)トヨタのテストドライバー成瀬弘氏(67歳)死亡のニュースが流れました。
ドイツ側の報道では、2010年6月23日の午前中、成瀬弘氏のドライブするレクサスLFAはニュルブルクリンク近くの一般道において、スピードを出して右カーブを走行中に対向車線をはみ出して、BMWのテストドライバーが運転する3シリーズのテストカーと衝突。(BMWの車種は不明。BMW M3でない可能性も)
トヨタの社員が駆け付けたが彼らが到着した時点ですでに死亡していた。
さらに、成瀬弘氏は病院で死亡が確認された。BMWに乗っていた2名の社員は重傷だが、回復するだろうとの続報もあり。色々なニュースを読み漁ると、
- 正面衝突の事故である。
- LFAのテストドライバーは死亡。BMWのテストドライバーは2人は重傷
- LFAドライバーもヘルメット装着、シートベルト装着、エアバッグ作動
- LFAもBMWも車両フロントは大破、キャビンはつぶれていない
- LFAはプロトタイプ車で計測機器を助手席キャビンに搭載
- 事故後、2時間道路閉鎖(地元新聞報道)
- LFAが対向車線をはみだしたとの見解。(地元警察・ラジオ)
- 成瀬氏の遺族に哀悼の意を、負傷した人らに同情の意を示す。(トヨタ広報)
トヨタのテストドライバーとして、数々の車の開発に携わったとのことで、日本人としては複雑な心境です。また、BMW3シリーズのテストドライバーも重篤との報道あり。
事故の状況は、まだ検証中との事であるが、成瀬氏の運転ミスなのか!?日本とは逆の右側通行のドイツ。LFAのセンターラインはみ出しが原因なのであれば、3シリーズの左側のダメージが大きくなる訳ですが、右側のダメージが大きいようです。現場検証結果からの真相が気になるところですが、詳細はベールに包まれたままです。
BMWの損傷ダメージも大きいようですが、車高の低い車の方がダメージが大きいのか、3750万円のスーパーカーも正面衝突の衝撃には耐えられないのかもしれません。
死因とは
開発中の事故でこの世を去ったテストドライバーとされています。事故がどのような身体的影響を与えたのかは不明となっています。
ご冥福をお祈りします。
事故現場には、現在、日本のしだれ桜とドイツの桜の2つのオマージュが飾られているそうです。
コメント
随分前の掲載に、今頃ですみません。ニュル24時間に参加した章男社長が、成瀬さんの命日に走られた後に、成瀬さんの思い出を語られていたのをキッカケに、いろいろ調べているうちに、ここに到着しましたので、時差をお許しください。
まずは、改めて、成瀬さんのご冥福をお祈りします。
さて、早速ですが、全体としては大変興味深くよませていただきましたが、ご説の結論は、ちょっと誤解がある気がします。
「テストドライバーの絶え間ないトライアンドエラーにより、自動車は進化しながら市販車にフィードバックされている」。
これが本当だとすると、テストドライバーは、みずからの体を張っている職業に見えます。本来であれば、運転の達人のはずですから、“トライとミス”が繰り返されることはないはずで、百歩下がってそうなのだとしたら、自動車メーカーがテストドライバーをモルモットのように使っている、ということになり、そんなことは根本的に許されないはずです。テストコースであれば、多少なりともその傾向はあるのかもしれませんが、事故現場は公道です。
ズバリ、成瀬さんは、運転者としての最低の義務である“安全”を無視して公道を走っていたことなり、テストドライバーとして失格と言わざるを得ません。
一方、乗っていたクルマが、数千万円もするハイパーカーだったにも関わらず、衝突に対しての安全レベルが極めて低かった、というのが壊れ方を見ても伺えると思います。
トヨタから事後報告がないのは、世の中の“常識”からはある種当然の気もしますが、本来なら、自社の安全思想を訴えるためにも、そして「いいクルマ創り」を進めているのなら、反省として徹底的な解明をすべきですが、そうなっていないのは、都合が悪いから以外に考えようがありません。
また、情報が出ないことに対して、一般マスコミがなにも反応しないことにも不自然さを感じます。いや、広告を止められては困る、という事情からは、しごく自然なのかも、ですけど。
山口さん、ご意見ありがとうございます。
「トライアンドエラー」という表現は和製英語で、日本における意味としては「試行錯誤」になります。
渦巻模様のステッカーをボディ全体に張った試作車が公道上でテスト走行しているスクープ写真を見たことがあるかと思います。
市販開始前に試行錯誤としてのセッティングやチューニングといったケースを想定した「試行錯誤=トライアンドエラー」です。
テストコースの事前テストをふまえて、一般公道走行可の認可を得ていると思います。
ですので運転技量に関係なく、素人的な「ミス」も許容する安全性は確保されていると考えます。
一般公道走行可とは、運転者だけでなく、公道を利用する方の安全も守られなければいけないからです。
今回は「法定速度を超えていたのか」が争点かと思います。
・法定速度を超える速度で、公道をテストする必要があったのか?
→無い
・法定速度を超える速度で、衝突した場合の安全性を確保する義務はあるのか?
→無い
公道上でヘルメット被っていた時点で、ドライバーのモラルだけでなく、公道テストを実施させた監督責任を問われても良い案件かもしれません。
個人的な見解です。
両車の法定速度超えやLFAのセンターラインオーバーの可能性との記述が多いですが、はっきり言ってこの事故はBMWのセンターラインオーバーを成瀬氏がとっさの判断で反対側(つまり対向車線)に回避したけれどBMWのハンドリングが復活し同じ車線に戻ってきた結果正面衝突と判断するのが妥当です。
ドイツで何度も運転している人間からすれば「日本の左車線通行の癖で左に回避」など絶対に考えられません。ドイツで1日運転していればだまっていても体は右側通行に順応します。ましてやマスタードライバーの成瀬氏の様なスーパードライバーはサーキットだろうが公道だろうか確実に最善の回避策を取ります。
この事故が死亡事故になった要因は車体の設計にあります。カーボンモノコックのキャビンをスペースフレーム構造で衝突エネルギー吸収を行う設計は世界的に見ても稀で、もちろんトヨタはLFAまで作ったことがありません。
いろいろ異論はあるかと思いますが、根本的な死亡事故の要因は車体構造に無理があった(欠陥とまではいいませんが)と私は革新しています。
GRMNヤリスの発表に伴い、いろいろネットサーフィンしていたらたどり着きました。
HANSデバイスはご存じだと思います。その誕生の経緯を考えると、国沢氏の論調を真っ向から否定するのは強い違和感を覚えます。
この事故においてHANSをしていれば助かったかどうかはもちろんわかりませんが、4点式シートベルトをしていてHANSなしでヘルメットを被った状態で正面衝突した、ということを考えると、体は固定されたまま(4点式でも若干は伸びますが)ヘルメットの重さが加わった頭が前方に強く引っ張られ、頚椎を損傷したということもひとつの可能性として十分に考えられるのではないでしょうか。
とくさん、ご意見ありがとうございます。
レース車両と異なり、運転席エアバッグが機能すれば、4点式ベルト影響でも頚椎損傷とならない可能性もあります。
運転席エアバッグ機能オフの現地記事も見当たらず、国沢氏理論は推測の域を出ませんね。
推測の可能性は否定できませんので、内容を修正しました。