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多段ATの時代にトルコンレス6AT搭載のデメリット

査定君
査定君

最新のトヨタ・デュアルブーストハイブリッドステムは、いまどき6ATを採用しています。時代に逆行する6ATとトルコンレスATデメリットを独自の分析と洞察で解説します。

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デュアルブーストハイブリッドステムの概要

従来のTHS2とは

トヨタ製ハイブリッドシステムとしておなじみの「TOYOTA HYBRID SYSTEM II」(THS2)です。
世界初の量産ハイブリッドとして、プリウスに搭載されたTHSは、駆動・回生用のモーターと、発電用のモーター、それにエンジンからの駆動力を遊星歯車(プラネタリギヤ)でコントロールするシステムです。
プラネタリギヤ特有のスムーズな駆動力切り替えで、2モーターを使ったシリーズパラレルハイブリッドとなり、第5世代となり、コンパクトで高効率な性能に磨きがかかっています。

トルコンとトルコンレスの違い

トルコンAT

エンジンとミッションは、トルクコンバーター(流体クラッチ)が用いられるケースが多いです。その結果、流体が衝撃と摩擦を吸収し、スムーズな変速を行います。
近年では、DCTやMTの変速スピード・効率のメリットを凌駕したトルコンATが登場し、スポーツモデルですら、トルコンATを採用する時代になっています。

トルコンレスAT

トルクコンバーターの代りに、湿式多板(機械式クラッチ)を用います。流体を用いないため、ダイレクトなシフト感が得られますが、それはユーザーが望む高級感とは程遠いものです。
大きなシフトショック、クラッチ寿命などを考えれば、渋滞が多い日本に不向きなシステムであり、VWやホンダのDSGにおけるクラッチ部分のトラブル多発で学習済のはずです。

今回のDBHSとは

DBHS(デュアルブーストハイブリッドシステム)の仕組みは、下記の通りです。

  • エンジンからの出力をダイレクトにモーターに導き、モーターとエンジンの力で前輪を駆動する新開発の1モーターパラレルハイブリッドシステム
  • トルコンレスの6AT
  • 後輪を駆動するインバータ一体形のeAxle(イーアクセル)

前輪と後輪の二つのシステムを組み合わせたハイブリッドシステムになる。

2.4Lターボ デュアルブーストハイブリッドのスペック

最高出力:200kW(272ps)/6000rpm
最大トルク:460Nm(46.9kgf・m)/2000rpm
排気量:2.4リッター直噴ツインスクロールターボ
エンジン型式:T24A-FTS型
フロントモーター:82.9PS/292Nm
モーター型式:アイシン製1ZM(駆動・回生用のワンモーター)
トランスミッション:Direct Shift-6AT(トルコンレス)アイシン製、湿式多版クラッチ
リアモーター:80.2PS/169Nm
トルクスプリット:100:0~20:80
インバータ:デンソー製

実走行では6速のワイド感を感じます

当然、2010年以前に採用が多かった6速ワイドなシフトショックを感じます。2.4Lターボ単独のエンジン設定モデルがあるのですから、2.4Lターボ+ハイブリッドモデルは不要ですね。

本来、あるべきダウンサイジングターボとハイブリッドの組み合わせ

強力なモーターを前後に積んでいるのですかから、1.5L~2.0L程度にエンジンを小さくした本来のダウンサイジングターボとハイブリッドモーターとの相乗効果で燃費とパワーバランスを保つために、高級車に相応しいトランスミッションにコストを掛ける事が可能だったでしょう。

  • 低速域のトルクはモーターで補う(発信加速の得意なモータートルク特性を利用)
  • 多段ATとトルクコンバーターで、エンジンとモーターの切り替えをより柔軟に吸収しつつ、RXで900万超えの高級車らしい変速ショックフィールを保つ
  • 中高速域はターボのパワートルクで、カバーする(少なくとも200ps/300Nmもあれば十分)
  • これにより、スペック上もライバル欧州高級車と同等以上を確保できる
  • せっかくのハイブリッドを台無しにするチープかつ安易なトルコンレス6ATの採用

多段化ATトレンドの中で、いまさら6AT採用の理由

引用元:ATの多段化はもう古いのか、トヨタ「クラウン」の開発者に聞く

大きな理由は搭載性だ。「変速機を多段化すると、その分全長が延びる」とトヨタの開発者は話す。HEVはエンジンに加えて、モーターやインバーターなどをボンネット内に収める。そのため、通常のエンジン車と比べて搭載性が厳しくなる。

欧州車のダウンサイジングターボ車や日本のアイシン製は、8速から10速AT化しており、世界の高級車トレンドを十分に熟知しているはずですが、「小型化に向けての技術改革を放棄した」ような意味不明な理由です。
欧州製のMHEVやPHEVは、8速/9速ATにモーターを追加したインテグレーテッド化(一体化AT)をすでに市販化しているのです。

 新型クラウンやRXがFF車であることも関係する。一般的なFF車はボンネット内に駆動メカニズムの搭載を完結する。そのためFR車と比べ、ボンネット内の構造物が多く、搭載空間を小さくする必要があったという。加えて「直列4気筒エンジンを横置きするため、全長を短縮しなければならなかった」

クラウンがFFベースになっただけでも残念なのに、ATの段数減など言語道断とも言える愚策と考えます。すでにライバルのメルセデスは9AT、BMWも8AT、従来レクサスでは10AT搭載モデルもあります。
特に、クラウンは、レクサスの格下という微妙なポジショニングですが、レクサスRXは900万円級の高級価格帯です。ボディサイズもEセグメント級であり、有り得ない設定でしょう。

むしろ、このミッションを搭載すべきはハリアーやRAV4といった、レクサスに対するチープモデルのみが、許されるべきなのです。
よって、世界で戦うグローバル化したクラウンやレクサスRXに搭載すべきスペックではありません。

8速9速10速ATも存在する中で、6ATの時代逆行

高級車として求められる多段ATは、なめらかなシフトアップが要求されます。多段化は燃費目的だけでなく、シフトアップ時のギクシャク感を軽減し、スムーズなシフトアップに繋げることが目的です。グローバルカーな高級車として、レクサスやクラウンに搭載するという「6AT」にチープ感が漂います。

トヨタのトルコンレスAT、デメリット

高級車にトルコンレスATを採用しない理由

クラウンやレクサスが、欧州車のDセグメント以上のプレミアムマーケット(メルセデスC/Eクラス、BMW3/5シリーズ)がターゲットであれば、間違いなくトルコンATを採用すべきです。ライバルのメルセデスは9AT、BMWも8ATの「トルコン式」なのです。
レクサス自体が8/10ATを採用していたわけですから、高級車における重要性は熟知しているはずですが、このような愚策になるのか意味不明です。

  • 6ATがコンパクトに収まるから:技術革新を放棄
  • FFベースだから:技術革新を放棄
  • トルコンレス:エントリーモデルならともかく、レクサス上級モデル、クラウンに採用とか
  • 北米も中国もシフトショックを好まない。ATのヌメヌメ感が必須

FFだからと技術的革新を放棄し、想定ライバルに劣り、さらに格下の6ATスペックを選択するなど、このような安易な選択は、全くあり得ません。

トルコンレスATのシフトショックは、エントリーモデル専用装備

トルコンレスATといえば、メルセデスもAクラスやBクラス、BMWも1シリーズや2シリーズでは、7速DCTを採用しています。これはメルセデス、BMWのエントリーモデル向け用途です。(なおかつ、7速と一段多いのです)

  • トルコンレスATの変速ショックは、高級車に似合わないものです。
  • ライバルとなる高級車勢は、最低7速からです。
  • 6速という数字がチープ感を演出します。
  • トルクコンバータATのスムーズな伝達こそ、高級車に求められる必須要件です。

引用元:新型「クラウン」に搭載された新開発「フロント用1モーターハイブリッドトランスミッション」説明会

トルコンレスな残念ATはマツダでも

ターボ嫌いな「スカイアクティブ」は、今も6ATが主流の時代遅れカーCX-5が屋台骨。
さらに、時代遅れの6ATを8速AT化したと思えば、残念な事にトルコンレス化してしまいました。

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耐熱性、耐久性がトルコンレスATの欠点ですが

 このモーター内に設置できるほどコンパクトなクラッチで大容量を実現できた背景には、高電圧電動オイルポンプによる大流量潤滑制御があるという。開発において難しかったのもクラッチからの発熱制御で、トルクコンバータレスのため発進時などは湿式多板クラッチを滑り制御してスムーズな発進を実現する必要があるのだが、滑り制御の際にどうしても熱が出てしまう。そこを大流量潤滑制御しているとのことだった。

高圧電動オイルポンプに死角はないのか

高圧電動オイルポンプという後付け装置故障、オイル系統の不具合は、過去事例を振り返れば、故障要因の懸念事項です。

湿式多版クラッチの弊害

VWやホンダ車搭載のDSGトラブル多発は記憶に新しいところでしょう。多板クラッチの発熱や摩耗、作動不具合によるものです。
リコール連発の黒歴史が、トルコンレス(湿式多版クラッチ)です。高温多湿・渋滞多発のアジア・北米圏で問題が出る可能性もあります。
流体トルクコンバーターを使用しないため、猛烈な渋滞でクラッチ摩耗が避けられなかったり、ギクシャク感が発生します。

2Lから2.4Lへ排気量拡大で逆行するトヨタ製ダウンサイジングターボ

世界のダウンサイジングターボは、排気量を小型化する方向です。純粋なNA大排気量エンジンは、レクサスFモデルのV8など、2023年時点では絶滅危惧種となった古いエンジン形式です。
クラウンでも3.5LのNA6気筒モデルが淘汰され、NA2.5L以上であれば、2.0L以下のダウンサイジングターボへといった流れです。

世界のトレンドはダウンサイジングターボとMHEV

メルセデスのEクラスといえば、4.9mを超える立派な上級セダンですが、1.5L直4ターボ+48Vマイルドハイブリッド仕様を搭載しています。BMWの5シリーズも5mを超えるセダンでありながら、2.0L直4ターボ+48Vマイルドハイブリッド仕様です。最新ターボであれば、上級高級車セダンに必要なパワーフィールは、世界基準として許容出来るレベルに到達しているのです。
にも関わらず、トヨタ製ターボは2.0Lターボから2.4Lターボへ排気量を拡大する愚策はなんということでしょう。トヨタは、直噴ターボ技術を排気量の小型化に向けて洗練させる方向でなく、排気量拡大という従来の大排気量こそ正義の思想が生きている表れです。

6AT採用で時代に逆行するトヨタハイブリッドのまとめ

スペック 世界の潮流 トヨタ製デュアル
ブーストハイブリット
高級車AT 8AT~10速トルコンAT 6速トルコンレスAT
エントリーモデルAT 7速DCT 6速トルコンレスAT
ダウンサイジングターボ 1.5L~2.0Lターボ 2.4Lターボ
ハイブリッドシステム 48Vマイルドハイブリッド ストロングハイブリッド

メリット

欧州勢48Vマイルドハイブリッドよりも優れた、トヨタ製ストロングハイブリッドのメリットなのですが、排気量の大きさやAT性能が、すべてをスポイルしてしまっています。

デメリット

  • いまどき、ダウンサイジングの時代に逆行し、2.4Lへ排気量拡大する愚策。むしろツインモーター構成であれば、エンジンは、より小排気量化し、ターボチューニングで十分だったはずです。
  • いまどき、AT段数の少なくカタログスペック上もチープさが目立つ、たった6速の段数で15年前に逆戻り
  • エントリーモデル向け、シフトショックの大きいトルコンレスATの採用(日本や北米、中国に好まれない型式。VW/ホンダのトルコンレス=リコール連発だった負のイメージが強い))

これらの採用により、燃費性能にもマイナスに作用してしまい、何のためのハイブリッドなのか、高級車としての品位も達成していないスペックに成り下がっています。

モニター大型化トレンドをやっと把握したトヨタなのに

まるで、先代クラウンの前期モデルで「8インチモニター」を搭載し、市場から袋叩きに合い、後期モデルでは12.3インチモニターを搭載して来た流れに似ています。
市場が何を求めているのか、高級車のあるべき市場のニーズとは、クラウンやRXのポジショニングとは、想定ライバルの関係とは、を考えれば既に答えは出ています。

世界戦略車として、高級車クラウンやRXが、チープなAT性能では、せっかくの「デュアルブーストハイブリット」が台無しなのです。

このような時代錯誤の6速トルコンレスAT排気量拡大ターボにゴーサインを出す前に、ワールドモデルとして、世界が求める高級車基準というものは、無いのでしょうか。このような安易な手法を選択する前に、世界のトレンドをおさえつつ技術的な課題をクリアできなかったのか、が問われています。