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成瀬弘氏とレクサスLFAの事故原因とは

査定君
査定君

トヨタのテストドライバー成瀬弘氏が事故により死亡しました。レクサスLFAの事故の原因については諸説ありますが、多数の状況から事故原因を整理します。

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成瀬弘氏の事故とは

2010/6/23 に成瀬弘氏が死亡事故のニュース

2010年6月23日(水)トヨタのテストドライバー成瀬弘氏(67歳)死亡のニュースが流れました。

動画から確認できる内容

  • エアバッグが全開
  • キャビンは潰れていない
  • ヘルメットに血痕

ドイツ側報道

2010年6月23日の午前中、成瀬弘氏のドライブするレクサスLFAはニュルブルクリンクに向かう公道L94号線において、スピードを出して右カーブを走行中に対向車線をはみ出して、BMWのテストドライバーが運転する3シリーズ(E90)と衝突。(すでに市販化済モデル。M3でない一般モデル)
トヨタの社員が駆け付けたが彼らが到着した時点ですでに死亡していた。
さらに、成瀬弘氏は病院で死亡が確認された。BMWに乗っていた2名の社員は重傷だが、回復傾向との続報あり。

  • 正面衝突の事故である
  • LFAのドライバー成瀬氏の死亡が確認され、霊柩車で搬送
  • LFAの同乗者も死亡との説もあるが、現地記事からも確認できず(LFA乗員は1人のみ)
  • BMWのドライバー運転手33歳、助手席34歳は、重傷から回復傾向
  • LFAとBMWドライバーもヘルメット装着、シートベルト装着、エアバッグ作動
  • LFAとBMWも車両フロントは大破、キャビンはつぶれていない
  • LFAはプロトタイプ車で計測機器を助手席キャビンに搭載
  • 事故後、2時間道路閉鎖(地元新聞報道)
  • LFAが対向車線をはみだしたとの見解。(地元警察・ラジオ)
  • 成瀬氏の遺族に哀悼の意を、負傷した人らに同情の意を示す。(トヨタ広報)

トヨタのテストドライバーとして、数々の車の開発に携わったとのことで、日本人としては複雑な心境です。事故の最終結果として、正式なリリースは無かった模様。日本とは逆の右側通行のドイツ。LFAのセンターラインはみ出しが原因なのであれば、3シリーズの左側のダメージが大きくなる訳ですが、右側のダメージが大きいようです。現場検証結果からの真相が気になるところですが、続報としての公式説明はありません。

LFAの完成度

  • 市販モデルの予約開始済の段階(偽装ステッカーもなし)
  • このタイミングで、ベース車両の致命的な欠陥は考えずらい
  • 事故車両は、一年後にモデル追加された「LFAニュルブルクリンクパッケージ」相当
レクサスLFAの評価はダサイのか
査定君2010年に登場したレクサスLFAは名車だったのか、その評価を解説します。LFAの名称は「エルエフエー」LFA(エルエフエー、Lexus LFA)は、トヨタ自動車が展開する高級車ブランド「レクサス」が、2010年12月から2012年1...

死因とは

開発中の事故でこの世を去ったテストドライバーとされています。事故がどのような身体的影響を与えたのかは不明となっています。

ご冥福をお祈りします。

事故現場となる、公道L94号線脇では、日本のしだれ桜とドイツの桜の2つのオマージュが飾られています。

成瀬弘氏の事故原因の真相とは

真相は明らかになっていませんが、レクサスLFAの事故原因としては、2パターンが考えられます。

地元警察・地元ラジオの発表をふまえて

地元ラジオでは、警察見解を報じています。もちろん、ドイツ側に有利な発表という憶測もあります。

LFAがセンターラインオーバーのケース

  •  事故後の写真から右側通行とは反対の位置に停車してる状況です。
  • さらに左側にハンドルを切った可能性もあります。

地元警察やラジオの見解です。ドイツ側での自国メーカーに配慮した解釈もできますが、地元での認識もLFAがセンターラインオーバーとなっている可能性が高いです。
LFAの事故車両は反対車線側で停車しています。事故は右側通行のドイツで発生した事故であり、事故車両の位置関係からすれば、LFAがオーバーランし、そのまま停車したとの推測が優先される可能性が高いです。

この位置関係から、ドイツの法規に従えばBMWは被害者になり、LFA側が加害者と推察されます。その道路は公道であり、損傷度合いから、双方とも法定速度を超過していた可能性は高いでしょう。LFAの強度不足を指摘した意見もありますが、CFRPを採用するカーボンボディであり、より高速走行を想定し、輸出前提のスーパーカーであることを考えれば、BMWよりも強度が高いと推察されます。

BMWもLFAもフロントエンジンを搭載し、設計年次の新しさから衝突安全については、一定考慮されていると考えるのが妥当です。よって、粉々になっている正面衝突写真を見ると、破壊力の大きさや、衝突時の接触場所など、運も左右するところでしょうか。

BMWがセンターラインオーバーのケース

右側通行で、右コーナーですから、BMW側がコーナーでアウト側に膨らんだという説もあります。
危ないとBMWがオーバーランした場合、瞬間的にどのような危険回避行動を取るでしょうか。

  • 急ブレーキで衝突の衝撃を和らげるだけに留まる
  • 反対車線側へ避ける

ドイツ側の報道とは逆の推理ですが、事故車両の位置関係からやや無理がありそうです。

事故の要因分析

4点式シートベルトが外れていた説

地元新聞では、両車ともシートベルト装着と報道されており、4点式シートベルトが外れていたという記述が正しいのか確認出来ていません。少なくともヘルメットを装着する運転を想定しているのですから、シートベルトを着用していたと推測するのが妥当でしょう。

体調不調により、シートベルト未装着の説

体調不調により、4点ベルトを外してドライブ、事故後の死体解剖無しで死因不明という説もありますが、地元新聞では、両車ともシートベルト装着と報道されており、4点式シートベルトが外れていたという報道はありません。

エアバッグ装置をオフにしていた説

LFA側は、テスト走行中の強いショックによるエアバッグの誤作動を防止するためにエアバッグ作動をオフにしていたとの説もあります。実際にビデオ・写真ともに、エアバッグは作動して全開になっており、エアバッグ装置オフ説は、誤りと判断されます。

BMWもLFAもドライバーはヘルメット装着

現地の新聞報道では、BMWの乗車2名、LFAの乗車1名は全てヘルメット装着とのこと。
「ヘルメット装着 = 危険なケースを想定している」と判断できるでしょう。
市販前の試作車(カモフラージュ加工)でも一般公道でテストしますが、スクープ写真上、ドライバーがヘルメットを装着していないケースが、ほとんどでしょう。ニュルブルクリンクの公道テストは、危険なシーンを予め想定したテストが行われていたと言えます。
その後、BMWはヘルメット装着を否定する見解を出しているようですが。

公道でのメーカーテストが実態の説

場所は、ニュルブルクリング周辺の一般公道(L94号線)です。両車ドライバーがヘルメットを被っていた状況から、法定速度を超えるリスクに備えたテスト走行と考えるのが妥当でしょう。結果的に双方とも自業自得という他ありません。
当時のニュル周辺公道では、当たり前の光景とする評論家記事もありましたが、論外です。
海外の一般公道で、ヘルメットを被ってテストを行うような、モラルの無さが問題です。
一般公道という場所を考えれば、メーカーの監督責任も問われるところです。

左側に停車していた説

各種報道の内容および、右側通行における左ハンドル車が、意図的に間違える可能性はありません。

LFA助手席に同乗者がおり、死亡した説

確かに初期報道時点では、存在したような記事もありました。しかし、訂正されたと思われます。よって、同乗者なしが正しいと判断できます。
(成瀬氏は助手席にいた、誰かを庇っているなど、の陰謀論説は、存在しません)

LFAのメカニカルトラブル説

ユーザー向けの予約販売を開始しており、この段階でメカニカルトラブルを抱えるような致命的な設計不備は考えにくいでしょう。
安全性を確保した上で、一般公道テストとなります。公道テストという低速域でメカニカルトラブルが発生したと考えるのは、あまりにも無謀な説です。

よって、スピード超過による単純な運転ミスの事故です。
マスターテストドライバーといえども一般公道でのテストは問題外です。

ヘルメット装着が死亡原因説なのか?

  • 死亡原因として「頚椎損傷」とする、他メディア記事が見当たりません
  • エアバッグが開いており、運転席エアバッグ機能オフとする、他メディア記事なし
  • 「ロールゲージ」が入っていない様にも見えます
  • 公道テストでは4点ベルトを緩めていた可能性もあり(推測です)
  • 顔を隠すことが目的なら、サングラスや帽子で良いでしょう。ヘルメットもスモークシールドが必須ですが、鬱陶しくて開けてしまうのでは?
  • ナンバー登録車両ですから、事故を起こせばドライバーの素性は隠せないでしょう。では、誰のために顔を隠す必要があるのでしょうか?
  • ヘルメット装着は、覆面用というよりも安全面と思われます。(顔を隠すためとする理由に違和感)

HANSデバイスを使用しなかったせいか?

  • レースカーでは、衝撃発生時に体はシートベルトに固定されているものの、頭部は前後方向に揺さぶられ、頚椎損傷に至るケースがあり、これを抑止するのがHANSデバイスです。
  • 市販車LFAでは、エアバックも全開しており、頭部の稼働領域を軽減します。
  • ヘルメットの重量増が要因とする説もありますが、レースとは異なる速度領域、エアバッグ全開の状況をふまえれば、HANSデバイス未使用による頚椎損傷説は、やや無理があると言えるでしょう。

設計面で強度不足の欠陥なのか?

下記の写真では、事故写真で見られるような運転席が完全に潰れてしまうような、激しい損傷度ではありません。運転席は潰れておらず、エアバッグも開いており、乗員が助かっても良さそうな、空間が確保されているようにも見えます。
LFAはミッドシップではなく、BMW同様にフロントエンジンのFR駆動ですからクラッシュゾーンも確保できています。当然、一般想定の衝突テストは実施済と考えられます。
これは、フロント部分のエンジンや足回りなどのクラッシャブルゾーンが効果的に衝撃を吸収していることになります。

よって、Aピラーが潰れた、エンジンやドライブシャフトが運転席を突き破った、というネット意見は全くの誤りであることが理解できるでしょう。
LFAはカーボンモノコックボディとして、レースカー同様に、乗員保護を最優先にした強度設計と考えれば、キャビンの破壊は避けられ、想定通りの壊れ方と推測できます。(エンジン・フロント部分で衝撃を吸収させる、壊れやすくする設計)
分厚くそびえ立つセンターコンソールや幅広のサイドシルを含む強固なカーボンモノコックの作りが写真からも想像できます。
ただし、ヘルメット装着前提での一般公道テストが、法定速度を超える速度であったとすれば、オフセット衝突テストを遥かに超える速度・衝撃だったと思われます。高速道路で粉々になった写真と同一レベルの損傷度と見られ、通常の法定速度でぶつかり、LFA側だけが粉々になったという設計ミスを想定した車両欠陥説は難しいと推察します。現在のオフセット衝突テストを超える速度域において、メーカー側の瑕疵責任は、問えないのではないでしょうか。

BMWのバンパーの高さや衝突位置、正面、オフセットなど、当たり所の悪さも影響しているでしょう。法定速度超、車両重量や重心位置の高さ、によっても衝撃力は変わってきます。いずれにしても一般公道でのテストによる危険性を甘く見たツケと思います。

LFAが対向車線を越えた

地元警察・ラジオは、ドイツ側の発表であり、BMW向けの忖度が無いとは言い切れません。
また、トヨタ側から、事故詳細に関する発表は一切ありません。

事実として、先方の発表が正しいとした場合、LFA側が対向車線を越えたことが問題です。

  • テストであろうと法制速度を守るのは当たり前
  • テストドライバーだからミスしない

トヨタ擁護観点では、上記想定になります。しかし、この想定が当てはまらなかった結果、この惨事に繋がった考えるのが、妥当でしょうか。
今回の事故が愛知県下山テストコースの設置に繋がったと理解すれば、トヨタ側の意図も理解できるでしょう。

LFA側搭乗者一人、テスト機器が原因か

LFA側は搭乗者無し、BMW側は搭乗者有り、という状況も各メーカーのスクープ写真を見る限り、どちらも普通にある光景と思われます。
また、PCや各種計測機器を助手席側に設置しているケースが多いようです。
今回は、ドライバーのダメージですから、助手席側の各種計測機器の固定が甘かった、としても直接の原因と考えるのは無理があるでしょう。

BMWドライバーは助かり、LFAは命を落としたのか

今回の衝突後写真を見ると、双方の損傷度合いから、高速道路で粉々になった事故車両写真をイメージするほど、激しい事故です。仮にその推測ベースに考えると、一般公道におけるスピード超過、センターラインオーバーの正面衝突ですから、双方とも命を落としても不思議ではありません。単にBMW側ドライバーが助かったのは運だったのかもしれません。

公道走行において、ヘルメットが必要となるシーンはありません。
よって「速度超過を想定した走行を予定し、その危険性に備えたヘルメット装着」と考えるのが妥当でしょう。「市販開始前のテスト走行」として、渦巻模様のステッカーをボディ全体に張ったテスト車は、ヘルメット無しでテスト走行しているケースが多いです。
ニュルの公道を用い、ヘルメットを着用したテストを行うこと自体、一般的な風景だったとする認識そのものが、誤りです。
センターラインを完全が車体がはみ出すようなスピードとなれば、コーナーのRにもよりますが、「速度超過によるオーバーラン」「ハンドル操作ミス」のどちらかと考えるのが妥当です。

成瀬弘(なるせ ひろむ) 氏の経歴(スペック)

トヨタ自動車株式会社のチーフテスト エンジニアとGazoo レーシングチームのチーフだった。トヨタ チームのテストドライバーとして47年間 (1963~2010)務めたベテランであり、世界中の道を知り尽くしたマイスターでもあった。また、レクサス LFAのチーフ テストドライバーでもあった。

1943年生まれで、認定自動車整備士として 1963年にトヨタ自動車株式会社に入社
最初に会社の車両評価と派遣社員としてエンジニアリング部門に異動。
そろばん2級証明書を保持し、経理部も経験。その後、トップテストドライバーとして評判を得て、以降はテストドライバーとして活躍した。

  • Hiromu Naruse  (1943–2010) was the japanese.
  • Chief test driver of Toyota Moter Corporation
  • Chief test engineer of Toyota Moter Corporation (1963 – 2010)..
  • Chief test driver of the Lexus LFA.

これまで開発を手掛けたトヨタのスポーツカー達は下記の通り。

チーフメカニック

  • 1965年:トヨタスポーツ800
  • 1967年:トヨタ1600GT(コロナハードトップ)
  • 1967年:トヨタ2000GT
  • 1970年:トヨタ7(5リッターターボ800ps)

開発・テストドライバー

  • トヨタセリカ
  • トヨタMR2(初代)
  • トヨタスープラ(2代目)
  • トヨタプリウス(2代目)
  • トヨタMR-S
  • レクサスIS
  • レクサスLFA(プロトタイプ)

2010 年6月23日(水)の死亡事故発生

ニュルブルクリンク近郊の一般道L94号線において、LFAニュルブルクリンクパッケージ相当にて走行中、BMW3シリーズとの正面衝突事故により死亡。(成瀬弘氏、享年67歳)
BMWは2名乗車で1名負傷、もう一名は重症から回復。BMWとレクサスの3名は全てヘルメット装着状態。

トヨタ7でも死亡事故が発生していた。

プレイステーションソフトのグランツーリスモでおなじみ「トヨタ7」です。超軽量ボディとハイパワーエンジンの組み合わせが非常にトリッキーなハンドリングとなっている。この高性能レーシングマシンが、1960年代末期に登場していたのだから驚きですね。

過去に福沢幸雄氏というレースドライバーがテストコースで事故を起こして死亡しています。事故の真相は闇だが、賠償訴訟により当時としては破格の6100万円という和解が成立しています。

技術的に未成熟な時代でもあり、設計、整備、車両、コース、ドライバー、管理監督のいずれに問題があったのかここでは記述を控えます。

公道を用いたテスト走行からテストコース新設へ

仮ナンバーを付けた試験車両でも一般公道テストでは、法定速度内での動作確認となります。
あくまで、法定速度であれば、ヘルメットを付ける試走など不要です。
ヘルメット装着が前提の開発途上車両は、公道走行そのものが走る凶器となり、走行自体がNGとなります。

ドイツ・ニュルブルクリンクの近隣道路は、従来からメーカーのテスト走行に使用されており、このような事故事例が過去にもあるようです。
LFAやBMWもこの例に漏れず、堂々とヘルメットを被って公道テストを実施していたことになります。ドイツ国内で一般公道を用いたBMWにも問題がありますが、わざわざ海外の一般道でテストを行う国産メーカー側にも問題があったと言えます。

ドライバー事故死を契機にテストコースの新設へ

今回のケースでは、ドライバーの不注意という点がクローズアップされていますが、この公道上の死亡事故を契機として、メーカー側の安全意識の改革に繋がったようです。
トヨタは愛知県の下山にテストコース新設しました。本LFA事故を契機として、メーカーが本腰を入れた結果と捉える事もできます。

トヨタ・テクニカルセンター・下山

トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、豊田市と岡崎市にまたがる山間部に建設を進めてきた新たな研究開発施設のうち、カントリー路を中心とした中工区の工事が完了し、本日より「Toyota Technical Center Shimoyama」として施設の一部運用を開始しました。豊田市の本社地区から約30分の立地に新たなテストコースを開設し、厳しい走行環境の中でクルマを徹底的に鍛え上げることで、さらなる「もっといいクルマづくり」に挑戦してまいります。

トヨタ・テクニカルセンター・下山

まとめ

この事故は一般公道上での事故である

過去、テストドライバーの絶え間ないトライアンドエラーにより、自動車は進化しながら市販車にフィードバックされていると言えます。

しかし、今回の事故は「一般公道上の事故」である点を再認識いただく必要があるでしょう。
この事故を契機に、トヨタテクニカルセンター下山の新設がその証でもあります。メーカー側の監督責任の強化・徹底を促し、テストドライバーの安全強化に繋がればと考えます。

謹んでお悔やみ申し上げます。

コメント

  1. 随分前の掲載に、今頃ですみません。ニュル24時間に参加した章男社長が、成瀬さんの命日に走られた後に、成瀬さんの思い出を語られていたのをキッカケに、いろいろ調べているうちに、ここに到着しましたので、時差をお許しください。
    まずは、改めて、成瀬さんのご冥福をお祈りします。

    さて、早速ですが、全体としては大変興味深くよませていただきましたが、ご説の結論は、ちょっと誤解がある気がします。

    「テストドライバーの絶え間ないトライアンドエラーにより、自動車は進化しながら市販車にフィードバックされている」。

    これが本当だとすると、テストドライバーは、みずからの体を張っている職業に見えます。本来であれば、運転の達人のはずですから、“トライとミス”が繰り返されることはないはずで、百歩下がってそうなのだとしたら、自動車メーカーがテストドライバーをモルモットのように使っている、ということになり、そんなことは根本的に許されないはずです。テストコースであれば、多少なりともその傾向はあるのかもしれませんが、事故現場は公道です。

    ズバリ、成瀬さんは、運転者としての最低の義務である“安全”を無視して公道を走っていたことなり、テストドライバーとして失格と言わざるを得ません。

    一方、乗っていたクルマが、数千万円もするハイパーカーだったにも関わらず、衝突に対しての安全レベルが極めて低かった、というのが壊れ方を見ても伺えると思います。

    トヨタから事後報告がないのは、世の中の“常識”からはある種当然の気もしますが、本来なら、自社の安全思想を訴えるためにも、そして「いいクルマ創り」を進めているのなら、反省として徹底的な解明をすべきですが、そうなっていないのは、都合が悪いから以外に考えようがありません。

    また、情報が出ないことに対して、一般マスコミがなにも反応しないことにも不自然さを感じます。いや、広告を止められては困る、という事情からは、しごく自然なのかも、ですけど。

    • 山口さん、ご意見ありがとうございます。
      「トライアンドエラー」という表現は和製英語で、日本における意味としては「試行錯誤」になります。

      渦巻模様のステッカーをボディ全体に張った試作車が公道上でテスト走行しているスクープ写真を見たことがあるかと思います。
      市販開始前に試行錯誤としてのセッティングやチューニングといったケースを想定した「試行錯誤=トライアンドエラー」です。

      テストコースの事前テストをふまえて、一般公道走行可の認可を得ていると思います。
      ですので運転技量に関係なく、素人的な「ミス」も許容する安全性は確保されていると考えます。
      一般公道走行可とは、運転者だけでなく、公道を利用する方の安全も守られなければいけないからです。

      >衝突に対しての安全レベルが極めて低かった

      エアバッグも機能し、キャビンも潰れていない状況が写真からも確認できます。
      決定的な死因は明らかにされておらず、安全レベルが低いと断定するのは難しいです。

      今回は「法定速度を超えていたのか」が争点かと思います。
      ・法定速度を超える速度で、公道をテストする必要があったのか?
       →無い
      ・法定速度を超える速度で、衝突した場合の安全性を確保する義務はあるのか?
       →無い

      公道上でヘルメットを被る必要があるリスクを想定したテストを行う時点で、ドライバーのモラルだけでなく、公道テストを実施させた監督責任を問われても良い案件かもしれません。

  2. 個人的な見解です。
    両車の法定速度超えやLFAのセンターラインオーバーの可能性との記述が多いですが、はっきり言ってこの事故はBMWのセンターラインオーバーを成瀬氏がとっさの判断で反対側(つまり対向車線)に回避したけれどBMWのハンドリングが復活し同じ車線に戻ってきた結果正面衝突と判断するのが妥当です。
    ドイツで何度も運転している人間からすれば「日本の左車線通行の癖で左に回避」など絶対に考えられません。ドイツで1日運転していればだまっていても体は右側通行に順応します。ましてやマスタードライバーの成瀬氏の様なスーパードライバーはサーキットだろうが公道だろうか確実に最善の回避策を取ります。
    この事故が死亡事故になった要因は車体の設計にあります。カーボンモノコックのキャビンをスペースフレーム構造で衝突エネルギー吸収を行う設計は世界的に見ても稀で、もちろんトヨタはLFAまで作ったことがありません。
    いろいろ異論はあるかと思いますが、根本的な死亡事故の要因は車体構造に無理があった(欠陥とまではいいませんが)と私は革新しています。

    • スリップ痕でわかりますね。ABSも作動していて、センターライン側に寄ってきている。向こうから来たクルマの速度が速いことに気づき、OUT側にハラんだため、手前からのクルマがIN側に切れ込んで逃げようとした。オーバースピードのクルマはOUT側にしか行こうとすることを知っているから。IN側に逃げたことを、センターを超えた、として報道した可能性が高い気がします。私の推測です。しかし真実は神のみぞ知る。誰にも確認しようがありません。

      • すみません、自己レスです。よく見るとスリップ痕ではない可能性もある気もしました。綺麗ではない気がします。路面のシミかもしれません。ただLFAから見て左コーナーだと仮定すると、IN側に切れ込んだことは変わりません。INに入った理由ですが、マスタードライバーが、会社の極めて特別な試作車で、テストコースで十分できるのにわざわざ公道で、しかも対向車線にまで出てINを攻める可能性は、極めて低いと思います。色々な可能性があるので真実は確かめようがないです。実はLFAは向こうから来たのであって、スピンして映像の配置になった可能性や(スピンのスリップ痕が無いので考えにくいが)、マシントラブル、急病、本当にきりが無いです。亡くなったり重傷を負った方がおられる事が一番残念ですが、次に残念なのは、生きている人同士で、この事故に関する反対意見の人に対し個人攻撃をしていることです。(某動画サイトで)

        • >マスタードライバーが、会社の極めて特別な試作車で、

          2009年10月21日に購入希望受付が開始されています。(事故日:2010年6月23日)
          極めて特別な試作車という段階ではないと判断できます。
          当然、ボディ全体が偽装ステッカーで覆われた状態ではありませんね。

          >テストコースで十分できるのにわざわざ公道で、しかも対向車線にまで出てINを攻める可能性は、極めて低いと思います。

          トヨタ・テクニカルセンター・下山は、この事故後に建設されたものです。
          当時は、ニュル周辺の一般道テストは当たり前だったのです。
          ヘルメットを被ってまで、公道上でテストを行うような、開発担当側モラルの低さとメーカー側のコンプライアンス不備が招いた結果です。(BMW側も重症で済んだのは運)

    • 同感ですね。また文章が短くていいです。成瀬氏の人柄を知る人は、その説明で安堵されるでしょう。私は氏を存じませんが、通常の事故のパターン(危険回避方法)は多くあるように思われますが、実際はそんなになくて、常に人や動物の命を左右すると考えて運転する人は、その場面1つ1つの対処方法を決めています。そして日々それをより確実にする練習を、運転と同時に自習していると考えています。よって運転技術や性能確立に優先するものを知っていた人の、事故解説になると読みました。

      • >初瀬川俊八さん
        成瀬氏は、プロドライバーではなく、テストドライバーです。
        一般公道上で、車、人、動物の正面衝突回避のテスト項目を行うようなテスト項目を一切見つけることが出来ませんでした。
        当時、自動ブレーキの機能も実装されておらず、当然、テストドライバーが確認する項目ではありません。

        車体設計一筋30年さんが書かれた、車体構造の欠陥を示すような証明・確認も出来ておりません。
        事故車両は、追加されたニュルブルクリンクパッケージ相当であり、サーキットのタイムアタックを見据えた仕様です。
        標準よりも強化された仕様と考えれば、普通BMWセダンより車体構造として劣っているとする考えは一般的ではありません。

  3. GRMNヤリスの発表に伴い、いろいろネットサーフィンしていたらたどり着きました。
    HANSデバイスはご存じだと思います。その誕生の経緯を考えると、国沢氏の論調を真っ向から否定するのは強い違和感を覚えます。
    この事故においてHANSをしていれば助かったかどうかはもちろんわかりませんが、4点式シートベルトをしていてHANSなしでヘルメットを被った状態で正面衝突した、ということを考えると、体は固定されたまま(4点式でも若干は伸びますが)ヘルメットの重さが加わった頭が前方に強く引っ張られ、頚椎を損傷したということもひとつの可能性として十分に考えられるのではないでしょうか。

    • >とくさん
      ご意見ありがとうございます。
      レース車両は、エアバッグを装備しておらず、頚椎損傷の可能性があります。
      市販車では、レース車両とは大きく異なり、エアバッグが機能します。頭部の「可動域が制限」され、頚椎損傷を回避できる可能性が高まります。
      それは記事中、エアバックが全開している写真からも判断できますので、エアバッグ機能を任意的にオフしたとする説も正しくないと判断できます。

      >車体設計一筋30年さん
      ご意見ありがとうございます。
      正確な事故状況は確認できていませんが、現地報道(警察見解)はLFAに不利な内容です。
      その内容からは、BMW側の過失に転嫁するのは難しいでしょう。

      カーボンモノコックを採用するレース車両は、キャビン保護最優先の設計思想であり、市販車にも適用されているでしょう。
      それを証明するように、記事中の写真では、運転席のキャビンは潰れていません。
      強度不足でキャビンが潰れたり、エンジンがキャビンを突き破ったとする欠陥説は誤りと判断できます。