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「全方位戦略」はオワコンなのか、全方位戦略の失敗説

査定君
査定君

ネット上の記事「BEVが次世代車の“本流”にならない4つの理由 「全方位戦略で考える」に違和感を感じましたので意見を書いてみます。

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全方位の脱炭素戦略を宣言

BEVが次世代車の“本流”にならない4つの理由 トヨタ「全方位戦略」で考える
トヨタが「ル・マン24時間」に、将来的に水素エンジン(内燃機関)車で参戦する方針を発表し、その試作車を公開。水素エンジン車の投入はトヨタの脱炭素戦略における水素エンジン開発の本気度を示している。

米国のテスラ、あるいは中国のBYDなどがBEV(バッテリー式EV)車市場をリードし、世界の自動車業界は激変の様相すら感じられます。そんな中にあって自動車生産台数で世界のトップをいくトヨタは、BEV車一辺倒ではない全方位の脱炭素戦略を宣言しているのです。

トヨタは環境対応車の戦略として「全方位戦略」は正しいのでしょうか。
バッテリーEVは、テスラやBYDがリードしており、欧州や米国の老舗自動車メーカーもBEVでシェアを確保している中で、一辺倒でなければ、出遅れではありません。
しかし、BEVを推進する他の自動車メーカーからは、トヨタの戦略は明らかに異質に映ります。

トヨタが全面BEV化を否定する3つの理由

  • 充電時間
  • 電力事情
  • 産業構造

上記の3つを挙げているようです。
これは、反BEVな方々が語るお馴染みの内容ですね。
これもBEVに好意的な諸外国から見れば、今さら感のある誤った内容でもあります。

BEV普及1つ目の課題「充電時間」

23年6月時点での国内の充電スタンド数は約2万カ所、充電機は約3万3000基ですが、その3分の2以上は普通充電機であり、急速充電機はまだ1万基未満です。早期に国内で大半の自動車がBEVに代われば、急速充電機の設置数が爆発的に増えない限り、慢性的なスタンド大渋滞が想像に難くないのです。

日本における年間平均走行距離は、約7000キロ弱と言われています。
一日当たりの実走行距離は、19.2キロであり、基本的に家のコンセントで充電した充電量で足りるレベルです。
日本の世帯数5500万世帯で、そのうち「一戸建て住宅」に住むのは3000万世帯です。
少なくとも過半数以上の方が、家充電を行うことに何ら問題はないでしょう。

BEV普及に経済力の壁 新興国で課題

先進国では数年間で各家庭に1基の充電ステーションが整うかもしれませんが、経済的水準の低い新興国での対応は至って難しいのです。

これも、途上国における充電コンセントの設置は、ガソリンスタンドの設置よりも安価であり、インフラの発展スピードはガソリンスタンドの比ではないでしょう。
むしろ、家のコンセントで事足りる途上国にマッチしたインフラなのです。
BEV専用の急速充電器を話題に挙げることがナンセンスと言えます。これは長距離移動でしか使わないものです。

BEV普及2つ目の課題「電力事情」

化石燃料に依存する状況でBEV普及を進めれば、電力需給が一層ひっ迫する可能性もあるのです。

これも毎度おなじみの論点です。
過去の電力不足時の事例を挙げて、BEVが一斉に充電したら逼迫するという話です。
BEVが徐々に増えていくわけですから、いきなり電力事情が悪化する事には成りません。
あくまで、可能性レベルで騒ぐ必要はありません。

BEV普及3つ目の課題「産業構造」

トヨタの場合、連結企業だけでも37万人もの従業員とその家族の生活を支えてきているわけであり、自動車産業の裾野の広さを考えれば、トヨタがもし全面BEVに突き進むならば、とんでもない数の人たちの生活を脅かしかねないのです。

このような、わかり切った話を2023年に語るのは、もう手遅れです。
欧米中韓は、2010年代にはBEV化をメインとして企業内グループの再編を早々に着手し、国や労組と一体になった施策を進めているのです。

電動化推進で8万人が失職の試算も

過去最高益を挙げている企業の言い分など、世界に通用しません。
日本以外の自動車メーカーが、BEVを推進しているのにトヨタだけが失職を恐れて、BEV推進しないなど許されません。

車載電池シェア50%が中国製 「経済安全保障」課題に

中国以外の自動車メーカーにとってリスクであるからこそ、自国内生産化などの規制を強化しているのです。
欧州や米国内に電池メーカー工場を建設させることで、地産地消のルール化を進めているのです。