長安汽車(中国マツダ)で登場した、セダンとSUVモデルの2車種です。
マツダ金太郎飴デザインは、良い方向に進化したようです。その内容を解説します。
長安汽車のEZ-6(セダン)とARATA(SUV)
2024年ショーモデルに登場した長安汽車のEZ-6/ARATAについて解説します。
長安汽車、長安マツダとは
- 重慶長安汽車股份有限公司(英語名:Changan Automobile Co., Ltd. )本拠地は重慶市。
- 第一汽車、上海汽車、東風汽車、長安汽車、奇瑞汽車という5大中国メーカーの一つ。
- 長安マツダ:子会社(資比率はマツダが47.5%、長安汽車47.5%、中国一汽 5%)
- テスラ、BYDを含むBEVランキングでも5位と内燃メーカーとしても電動化にも強い。
EZ-6(セダン)
- 旧マツダ6セダンの後継電動化専用モデルの位置付けです。
- PHEVモデルは、1.5Lエンジン+18.9kWhと28.4kWhのリン酸鉄リチウム電池。
- 中国国内向けのため、日本導入予定無し。
セダン不人気からマツダ6を廃止したばかりで、日本に導入しても売れないでしょう。
ARATA(SUV)
旧マツダCX-5の後継電動化専用モデルの位置付けですが、メーカー側の公式発表は無し。
新・金太郎飴のデザイン評価
フロントは合格点
EZ-6(セダン:マツダ6相当)ARATA(SUV:CX-5相当)
- FFレイアウトの電動化プラットフォーム
- このムダに長いフロントノーズが、従来のFFモデル金太郎飴デザインを踏襲
- 最新トレンドを取り入れた薄型ライトデザインへ進化
CX-60~90の絶壁かつショートなノーズデザインは、完成形に近かった金太郎飴デザイン路線を劣化させてしまいました。違和感があるラージデザインの流れを上手く断ち切り、
FFロングノーズなデザインに原点回帰したと判断できます。
リヤテールランプも合格点
ARATAリヤテール形状テールランプも薄型で金太郎飴リヤテールランプを最新トレントに昇華させています。
センターのMAZDAロゴも良い感じですね。
MAZDA3の悪夢が再来
ARATAのリヤデザインですが、力強い、極太Cピラーは、マツダ3の再来です。
このデザイン自体は悪くもなく存在感、斬新さもありますが、斜め後方の視界は最悪です。
マツダ3ハッチバックが「売れない要因」であったことをふまえると、ARATAに採用する選択は、かなり理解に苦しむところでしょう。この失敗経験を学習していないのでしょうか。
売れなかったマツダ3デザインを継承した「コダワリ」は、今のマツダに必要なのでしょうか。
逆スラント基調のリヤデザインが微妙
- CGデザインを具体化したコンセプトモデルとなっており、再現性の高さが裏目に出ました。
- シックスライトのサイドは、最近の電動化モデルに有りがちな流れ無難なデザインです。
- ヒップアップ、テールアップを強調し、リヤウイングとテールランプが張り出し、トランクが引っ込んでいる大胆なデザインです。
- ただし、逆スラントは見慣れないデザインであり、好みが分かれる所でしょう。
- ハイデッキ化に伴い、テールランプの位置を持ち上げたところまでは良かったのですが、バンパー上端部が低すぎます。
- その結果、「テールとバンパーの間に間延びした空間」が出来上がっており、絶対的なデザインの消化不良が見られます。
違和感のある実車
現状バンパー位置を補正後(かなり雑な出来ですが、イメージは伝わるでしょうか)↓
CGのディテールをそのまま具現化して失敗するケースが多い
CGイメージは、極端かつ大胆でダイナミックなスケッチがベースとなり、特徴的なディテールを残しつつ、現実路線に落とし込まれていきます。
最終イメージに対して、上席責任者が「OK」を出したものをそのまま忠実に具体化するケースが多いですが、これが敗因でしょう。
自動車の黄金比デザインとして破綻しているブサイクデザインも多くあります。
AI機能を駆使して、CGレベルでNG判定できそうですが、デザイナーが普通に気が付いても良さそうなポイントです。
デザイナーは大胆かどうかでなく、黄金比として違和感がないか、に注力すべきでしょう。
デザインが全てのマツダの未来:まとめ
長安マツダのデザインを見る限り、リアデザインに不安は残るものの、概ね金太郎飴な「魂動デザイン」が正常進化しているように見えます。
スカイアクティブ・テクノロジーを謳う技術的部分について、販売促進の効果は一切ありません。
全世界で旧世代シャーシ・旧世代エンジンのマツダ車が、今も売れている要因は、「魂動デザイン」一択なのです。
国内では、CX-60が登場後、たった一年で失速し、マツダの戦略にも陰りが見え始めています。CX-60については、中身が原因とされていますが、CX-60/70/80/90は使いまわしパーツだらけであり、鮮度の劣化が激しく、早々に飽きられる可能性が高いと予想します。
ただ、今回の長安マツダの電動化モデルはFFベースなレイアウトで、「魂動デザイン」が蘇った感があり、このモデルだけは安心できそうな「まとめ」となります。