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ギガキャストのデメリットとメリットとは

査定君
査定君

ネット上、ギガキャストに対して従来型の多品種少量生産を絡めて賛美したり、出遅れの国産メーカーを賛美する誤った記事が見られました。ギガキャストにおけるメリットデメリットを解説します。

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ギガキャストにおける誤った認識とは

  • ギガキャストでコストが下がるのか
  • 柔軟性に欠けるのか

これらの点について以降で解説します。

ギガキャストのメリット

ギガキャストとは

大型ダイカストマシンにより、従来は複数の部品から作られていた車体構造部品を一体成形でき、部品点数や製造工程を大幅に削減できる。

メリット

  • 従来、複数の部品を溶接し、一つのプラットフォーム(車体構造部品)にまとめ上げる作業工程が不要
  • 極力集約した部品(数個)に一体成型に削減することで、溶接加工などの組み立ての工程を簡略化
  • 部品点数が削減による強度アップ
  • ギガキャストの投資コストに見合うコスト削減効果がある

デメリット

  • ギガキャストの初期投資コストが莫大で、各メーカー、二の足を踏む
  • 部品数削減が優先されるため、個々の部位で無理無駄が生じる
  • 一体成型のため、事故時のリペア再生が難しい
  • 従来型溶接方式に比べ、全体的な重量アップ

ギガキャストでコストが下がるのか

それが、ギガキャストの目的です。コストが下がっているのは当たり前でしょう。従来の自動車メーカーの複雑な工程と比べれば、誰の目にも十分なコスト削減効果があると言えます。実際、中国テスラのモデルYでは40%のコスト削減、10%の重量削減との事です。

それが、実車の販売価格に反映されていないとする、意味不明なメディア記事がありましたが、誤りです。

単に実売価格に反映させるかどうかは、メーカーの判断です。原価数千円の高級ブランドバックと同じですね。よって、販売価格下げ圧力に対して、十分なマージンを抱えていると判断できるでしょう。ただし、テスラの設計思想を、中国メーカーが早速取り入れ、テスラのアドバンテージが消え去るのも時間の問題でしょう。

供給過多で売価が下がるのか

ギガキャストの効率化により、供給過多になり売価が下がるとか、意味不明なメディア記事がありましたが、誤りです。

販売計画に従って、部品生産するのは、当たり前の話です。
一つの部品生産効率向上したことにより、生産過剰で困ってしまうような、意味不明な部品生産管理は有り得ないでしょう。

柔軟性が欠けるのか

多品種少量生産に向かないとする意味不明なメディア記事がありましたが、誤りです。

例えば3つに分けたパーツ分割ギガキャストであれば、ホイールベースの延長にも柔軟に対応できますし、要は市販車の用途目的に合わせた柔軟な設計をギガキャストのプラットフォームを行えば済むことです。ギガキャスト=柔軟性が無いと決め付ける論調はありえません。

部品点数の削減がベストではない

前述のギガプレス化、大幅な部品点数削減もデメリットがあり、既存の自動車メーカーが踏み込まない領域に対して、デメリットを恐れずに踏み込んだ結果が、バッテリーEVとしても理想的な姿であったことです。勿論、現時点でもテスラ技術がベストとは言えず、先行メーカーとしての改良は進むでしょう。

テスラのワンピースだけを否定する意味はない

当然、1ピースではマルチ車種に展開できず、汎用性が無いことは明らかです。
それが、主力人気モデルであれば、数十万台以上の規模となり、汎用性が全くない1ピースシャーシだあろうとも、十分存在価値があることは誰の目にも明らかでしょう。
よって、テスラのように4車種しか存在しないなら、4パターンで十分という結論になるのです。
一方、数千、数万台しか売れない不人気車を「多品種少量生産」との名目で量産メーカーが作る事の不合理さは明確ですね。

シャーシは部品に過ぎません

後続がセダンでもワゴンでもクーペでもSUVでも柔軟に利用できるギガキャストを用意しておけば良いのです。ギガキャストの発想は既存自動車メーカーに多大な影響を与えている事実を無視するかのような、テスラ否定は意味がありません。
今時点の完成品が使えない、柔軟性が落ちると否定し、とある国産メーカーをアゲアゲする意味は一切ありません。

ギガキャストで重量増なのか

DセグメントのテスラモデルYでは、重量1980から2000キロです。2トン超えの車も多い中で、バッテリーEVとして見れば軽量な部類です。シャーシ単体での重量増になり、ネガティブ面を強調する記事もありますが、トータルバランスで語る話でしょう。

ポイントは設計思想次第

多品種メーカーであれば、A/B/C/D/E/Fセグメントに予め分割すれば良いだけです。
結局、従来型プラットフォームと何ら変わりません。
結局、ギガキャストの設計効率や部品活用の最適化が進めば、統合か分割かで、修練されていくでしょう。今は過渡期であり、テスラが先駆者、中国メーカーが早々に追いつき、従来メーカーはマネを始めた段階というのが実態なのです。

bZ4Xで採用済

テスラを否定し、某メーカー上げに繋げる毎度おなじみメディア記事ですが、すでに部分適用したギガキャストのパーツ利用でコスト削減を図っているのが、トヨタbZ4Xファミリーです。

バッテリーEVのプラットフォームは、ギガキャストが適していることを認め、トヨタもギガキャスト化へ向けて出遅れスタートしているのです。天下のトヨタですらBEVシャーシの効率化として、ギガキャスト化は避けられないわけです。

  • テスラ版ギガキャスト:×
  • トヨタ版ギガキャスト:〇

こんなネット比較記事が出てきていますが、テスラのギガキャスト進化が止まったわけではなく、毎度お馴染みトヨタ勝利のような論調は誤りです。

ギガキャストのデメリットとメリットとは:まとめ

  • 効率を突き詰めれば1ピース
  • 多様性を持たせるなら複数ピースに分割
  • テスラの思想は合理的
  • 自動車全メーカーに波及
  • 国産も出遅れながらマネしているのが今
  • テスラは先駆者として先を行き、従来メーカーが追従する構図に変わりない

ギガキャストでテスラを否定することは意味が無く、効率とコストを突き詰めれば、その先駆者は「テスラ」です。今後の進化改良においてもテスラは、日本メーカーの数歩先を進んでいるという「まとめ」になります。