
トヨタが2024年に新型4気筒ターボエンジンを開発中との情報に今さら感が漂います。その理由と状況について解説します。
新型4気筒エンジンは、排気量で1.5L/2.0Lの2タイプ
排気量とターボの有無
1.5L版は、NAとターボの2タイプが存在
型式 | 排気量 | NA | ターボ |
---|---|---|---|
X15(G20) | 1.5L | NA | ターボ |
X20(G20) | 2.0L | 設定無し | ターボ |
3気筒はメリットの方が大きい
- 1気筒あたり、500ccの排気量は、効率面では、むしろコチラが上
- 3気筒の方がトルクが大きくなり、ドライバビリティに貢献
- エンジン軽量化、コストダウンに繋がる
- 3気筒のネガティブ面では、音や低速域の振動面も最新BMW製3気筒エンジンでは、48Vマイルドハイブリッドによるモーターがデメリットをカバーし、使い方次第とも言える
X15新エンジンの特徴
- 従来の直3エンジンに比べて、エンジンは体積・全高で「10%減」「全高10%減」とありますが、当然、ビッグボア、ショートストローク化による、トルク不足などのデメリットが大きく顔を出してきます。
- 3気筒から4気筒化による音や振動対策の軽減はメリットになります。
- 一方で、重量増、コスト増加のデメリットとなることは言うまでもありません。
X20新エンジンの特徴
- 従来の2.5L直4NAエンジンに比べて、エンジンは「体積20%減」「全高15%減」とありますが、排気量0.5L削減ですから、当たり前の話でしょう。
- この手の話を誇張するプレゼン資料は、おなじみのマツダ感が漂っています。
- むしろ、世界的にも2.5LのNAエンジンを存続させていた方が、時代遅れ感満載であり、差運サイジングターボ化しなかったのが、不思議なくらいです。
ハイパワー版は「G20E」が正式名称か
G20Eと6速の手動変速機を組み込んだレクサス「RCF」ベースの車両が2025年に公表されました。今となっては世界的にも恥ずかしいレベルに古くなってしまったV8-5.0LやV6-3.5Lのリプレースとして期待されていることでしょう。
コンセプトは全て欧州の二番煎じ
トヨタユーザーは認めたくない事実ですが、すべてBMWの二番煎じ、欧州車の二番煎じとも言えます。
水素エンジンや合成燃料に対応可能
もはや、将来的に水素エンジンや合成燃料が、コスト的にBEVに勝てる見込みはありません。
そもそも、FCEVで失敗確定なのに、他の化石燃料に未来などありません。インフラ整備以前の問題であり、オワコン化する以前の問題なのです。
マルチソリューションというキーワードを出すことに虚しさを感じます。
せっかくの新型エンジンを台無しにしている感があります。


縦にも横にも置ける(BMWが先)
- 直6ターボやシャーシを丸ごとスープラとして利用(共同開発という名の丸ごとBMWを利用)
- ダウンサイジングターボのコンセプトなどは、全て欧州車が先行
- 2.0L直4エンジンの縦置き・横置きの柔軟性もBMWが先
せっかくのトヨタ製ダウンサイジングの流れも後回しに
トヨタでも2010年代初頭から、ダウンサイジングターボの流れを受けてオーリスやレクサスにも搭載を開始し始めていたものの、本流はハイブリッドNAエンジンの燃費スペシャル化が優先され、ダウンサイジングターボは後回しになっていたです。
むしろ、高速はNAエンジンのパワー不足を補うべく排気量拡大に至る始末(プリウス搭載エンジンでいえば、1.5L→1.8L→2.0Lと世界の流れに逆行)
世界から取り残されたダウンサイジングターボ開発
欧州市場ではガソリン・ディーゼルのフルラインが確立していた2010年代初頭です。
その時点で欧州メーカーは、タウンサイジングターボ+ハイブリッドを登場させていました。タウンサイジングターボ+PHEVもトヨタより登場は早いです。
トヨタ製は2015年から出始めた状況です。スープラにBMW製エンジンが搭載されたのは、当然の流れです。
トヨタ製ダウンサイジングターボの変遷
- 8AR-FTS:2.0L直4ターボ(245ps/350Nm:2014-)欧州製に比べて出来がイマイチ
- 8NR-FTS:1.2L直4ターボ(116ps/185Nm:2015-)短命
- V35A-FTS:3.5L-V6ターボ(422ps/600Nm:2017-)V8を延命させ搭載車種を増やさない
- T24A-FTS:2.4L直4ターボ(279ps/430Nm:2021-)6速ミッションに不満多発
- G16E-GTS:1.6L直3ターボ(304ps/400Nm:2020-)
新型直4ターボエンジンの熱効率は悪化
- トヨタのプリウス2.0用Dynamic Force Engine:熱効率41%
- 日産のe-Power発電専用エンジン:熱効率43%
熱効率を求めるなら、エンジンは「ロングストロークタイプ」となります。
新型直4ターボは、エンジン直結モードやハイパワーターボ版も用意し、エンジン全高を抑える「ショートストローク」タイプであり、熱効率は41%以下と考えられます。
(熱効率は悪化しているのか発表なく、エンジンの小型化アピールがメインになっている)
新エンジンによるスバル・マツダへの影響
コンパクトターボによりスバル・マツダに変革が起きる
今回の新エンジンでは体積の削減だけでなく、エンジン全高の削減をアピールしています。これは、何の意味を指しているのでしょうか?
スバル水平対向1.8Lターボ、マツダ製2.5ターボは消える運命
エンジン高の低いスバル製水平対向のターボエンジンは、このトヨタ製ダウンサイジングターボに置き換わる可能性が高いでしょう。
マツダが国内外向けのハイパワーモデルとしてラインナップしている2.5Lターボもトヨタ製に代わる可能性が高いでしょう。
スバル・マツダ製直4NAエンジンは全て淘汰される
縦置き・横置きの柔軟性に加え、コンパクト・ハイパワー・低燃費を3拍子揃ったエンジンを採用し、旧態化したスカイアクティブD/G/Xは一掃します。
採用したばかりのスバルエンジン+THSも、1.5ターボ+ハイブリッドが出てきたら、勝ち目は無いでしょう。
スカイアクティブZは全く眼中に無いのでご安心下さい
新型エンジンにマツダ技術採用という、妄想メディアニュースが必ず登場する可能性がありますが、絶対にありませんので、ご安心ください。

マツダはターボとハイブリッド嫌いのDNA
ライトサイジングターボを提唱した筋金入りのターボ嫌い


遅きに失した感のトヨタ新型直4ターボの実態:まとめ
- ヤリス3気筒エンジンは、燃費性能に特化しすぎた失敗エンジンだった
- ヤリスの失敗エンジンを改良せず、新型4気筒エンジンの開発を優先した
- 未だに燃費最優先で存命しているトヨタ製NAエンジンも新型ターボで一層される(一部残る)
- 高いだけのヤリスクロスと呼ばれるレクサスLBXが、新エンジンの静粛性で一番の恩恵を受ける可能性
- 出来の悪いトヨタ製ダウンサイジングターボについて、新型エンジンにより、全てリプレースする計画
今後の電動化(PHEV)を見据えた流れ
- このエンジンで、水素エンジンやe-fuelを出すことに虚しさが漂う
- トヨタ製ストロングハイブリッドといえども、欧州規制をクリアできない状況
- これが、欧州に15年遅れでダウンサイジングターボの流れが訪れた「まとめ」になります。