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ダウンサイジングターボのメリットとデメリット

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査定君
査定君

2010年頃に欧州車で登場したダウンサイジングターボです。従来のNAエンジンに比べて、圧倒的な低速トルクによる運転のしやすさや低燃費により、ユーザー評価を得て、NAエンジンが駆逐されてしまいました。国産車でも5~10年遅れでダウンサイジングターボが増えています。なぜ増えているのか、そのメリットを解説します。

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ステップワゴンのダウンサイジングターボの威力

ダウンサイジングターボの特徴

  • シリンダー内の直接燃料噴射により、最小のガソリン使用量にコントロール可能。
  • 従来のターボでは考えられない圧縮比10以上。
  • 1500回転程度で最大トルクを発生。

従来の大きな排気量から排気量を小さくし、パワーダウンした部分を直墳システムとターボで補う仕組みです。従来では考えられないような1500回転程度のエンジン回転数で最大トルクを発揮しますので、エンジンが唸るようなパワー不足になりません。結果、エンジンを回さず、低速トルクのストレスを感じずに加速が完了するのです。

欧州に遅れる事、5年で日本車も

日本車では先代ホンダステップワゴンに搭載された 1.5L直噴のダウンサイジングターボの登場により、注目を浴びました。それ以前にもレヴォーグやレクサスNX など、日本車でもダウンサイジングターボを搭載した車が登場してはいましたが、 ステップワゴンの注目度の比ではないでしょう。
重たく大きいワンボックスと1.5L直噴ターボの低速トルクのメリット、活発な走りと燃費の両立という点が注目されたものと思われます。

さらば、ダウンサイジングターボ
ホンダステップワゴンのダウンサイジングターボを貶している記事かと読み進めてみますと、最大トルクの発生回転数に一切触れていない内容を見れば、乗ったことも無いのが一目瞭然ですね。さらに、結論は、マツダスカイアクティブXを賛美する内容に唖然としてしまいました。これは、マツダ賛美記事の典型的パターンですね。

ステップワゴンに搭載のメリット

  • 2リッターからの排気量ダウンによる、税金のメリット
  • 2リッターエンジンに比べて、低速域の分厚いトルクがドライバビリティに貢献
  • スカのNAエンジンに比べたパワーフィールの向上が全てとも言って良いでしょう。

走行シーンにより、実燃費が2リッターと変わらないケースもありますが、カタログスペックはNA2リッターより向上していますし、ユーザー実燃費でも勝っている結果となっています。

ターボ車の歴史として

  • 1962年:アメリカ、GMオールズモビルのカトラス・ジェットファイアーにオプション設定。
  • 1973年:ドイツ、BMW2002ターボ
  • 1979年:日本、日産セドリックターボ(430型)

となり、高出力な反面、燃費やメンテナンスに課題を抱え、次第に排気ガス規制の強化によりターボ車は消えていく運命となります。
そして、2006年以降のダウンサイジング直噴ターボにより、新世代ターボ車が脚光を浴びることとなります。

ダウンサイジング化が始まって数年が経過したBMWにとっては、その性能と効果の変化の大きさは説明する必要もないでしょう。
日本車オーナーにとって、ハイブリッド全盛の日本においては、まだ始まったばかりであり、 ダウンサイジングターボ車に対して従来の価値観、 誤った価値観、認識が多いのが事実である。

従来ターボ車のデメリット

  • ターボ車は燃費が悪い。
  •  回すと燃費が悪くなる。
  • 壊れる。寿命が短い。

どれも、30年前のターボ車に対する古い価値観が、正論として語られている。

ステップワゴンが売れない本当の理由
査定君 5代目ステップワゴン(2015年登場)モデルの販売不振について、意見を書いてみます。2022年の新型ステップワゴンも失敗のようです。リンク追加しました。 フロントデザインの失敗で販売苦戦は決まったようなもの 過去のステップワゴンを見...

しかし、30年前のターボと現在のダウンサイジングターボ車では、全く事情が変わったのである。ちなみにステップワゴン不振の理由は、そのスタイリングに原因あり、エンジンが原因ではない。

ダウンサイジングターボのメリット

  • 1500回転程度から、ターボによる最大トルクが得られる。
  • 30年前には無かった直噴エンジンの効果でもある。
  • 30年前には無かった7/8/9/10速ATやCVTの効果も大きい。
  • 結果、エンジン回転数を上げずに加速が完了する。
  • オイル、ターボの精度、周辺装置、コンピュータの品質向上効果。
  • 排気量削減による燃費向上効果
  • 気筒数削減によるフリクションロス削減効果
  • エンジンがコンパクトになることによる重量削減効果による燃費向上
    エンジン重量バランスの改善による運動性向上
  • エンジンがコンパクトになり、エンジンルームに余裕が生まれ熱対策の相乗効果

燃費の向上

ダウンサイジングターボエンジン搭載車は、排気量が小さくなる分、燃費と環境性能が向上します。ハイパワーな、高回転域を多用すれば、ターボ過給による燃費消費量の増大もありますが、排気量を下げた効果により、全体として燃料消費量が軽減される効果があります。
ターボチャージャー自体は、捨てている排気エネルギーを再利用しているので燃費の悪化要因にはなりません。
従来はターボチャージにより、多くの空気とガソリンを吸い込んでしまい燃費も悪化してしまいましたが、20年前のターボ車とテクノロジーのとしての最大の違いは、以下の点です。

パワーが向上することも

排気量を小さくしていながらも、ターボによりパワーダウンは回避されています。それだけでなく、高効率のターボを搭載している場合、もとの性能やパワーよりも向上していることがあります。

自動車税が安くなる

排気量を小さくしたことで、排気量によって税額が決まる自動車税が安くなります。

ダウンサイジングターボのデメリット

特に頻繁なアイドリングストップによる停止によって、タービンの冷却やオイルメンテナンスがデメリットとして挙げられるでしょう。

また、価格の安いダウンサイジングターボが、価格の高いハイブリッド車の売れ行きに悪影響をもたらす可能性もある。
これが、日本での開発が遅れた理由の一つかもしれない。日本ではハイブリッド車がベストであるとの論調が以前からあり、ダウンサイジングターボを軽視する傾向である。

まだまだ、ターボといえば燃費の悪いドッカンターボのイメージを持っている方も多い様子。
ハイブリッド全盛の時代に今さらターボなんて、何を考えているのだろうという国産信者の方も多い。

ターボということでアクセル多めにしていれば燃費は悪化します。
ターボチャージャーの熱管理でタービンの焼き付きなどの恐れもあるでしょう。
部品点数の多さによる故障。6気筒から4気筒にダウンサイジングしたことによる音の劣化。これらがダウンサイジングターボの欠点となるでしょうか。

ただ、排気量はダウンサイジングしていることから、NA状態での燃料消費量は確実に下がっています。キャブレターやEFIに比べても直噴化による燃料消費量は下がります。
ターボタイマーを装着している車は、全く無いので熱管理やオイル問題もアイドリングストップの登場により、技術的に解決しているものと思われます。

日産、トヨタでも大排気量NAエンジンが、フルラインナップされているところを見るに付け、 欧州車と比較した場合に時代遅れ感が目立つ。
vw-eup.jpg
写真はVWのEV車(e-up)
ハイブリッド車は確かに燃費も良いが重量増や価格、バッテリー寿命など問題点も多い。
今後、価格競争力の高いダウンサイジングターボが消費者に受け入れられる状況となった場合、 さらに圧倒的な燃費効率で、アピールしていくしかないだろう。
ただ、直噴エンジンは最近、VWで話題のNOxも多め出すのがやや欠点ではある。

寿命と耐久性とは

高圧の燃料噴射装置インジェクターの故障が2010年当時は、よく見られましたが、製品の精度向上から最近の不具合としては、聞かれなくなりました。

30年前には良く見られたターボタイマーなる後付け部品も、現時点で装着車は見られません。オイルや品質面の向上からターボの耐久性も劇的に向上しています。

直噴の処理による燃焼室内の煤の付着も挙げられますが、ガソリン車としてはディーゼル車に比べた影響は軽微でしょう。

高性能エンジンの象徴でもあったターボは半世紀以上の歴史を誇ります。ダウンサイジングターボ自体は登場してから10年を越えます。「寿命や耐久性、ターボ=燃費が悪い」とするネットの意見は、過去のイメージで語っていると思われ、ターボを敬遠することは過去の話と言えます。

日本車が遅れたダウンサイジングターボ化

日本車は、まだまだハイブリッドが主流

http://engineer.typemag.jp/article/turbo_motorshow
日本車というとハイブリッドエンジンが売れ筋ですね。

トヨタクラウンはハイブリッドが7割のシェア

トヨタのクラウンでは直4のハイブリッドだけで7割を占めているということです。
ほんの数年前、ターボ車は燃費が悪いという昔のイメージが強いせいか、欧州車のダウンサイジングに疑問を持つ方も多いようでした。
しかし、実際に燃費は向上し、ターボトルクによる使い勝手も向上してくると、高コストのHVだけではパンチ不足というところでしょうか。
今後、国産車でも直噴ターボを搭載したエンジンが続々と登場してくる様子。

直噴ターボとハイブリッド、NAの加速比較

0-100km加速
・BMW320i:7.3秒 :2リッター直4、直噴ターボ
・レクサスIS300h:8.3秒 :2.5リッター直4、ハイブリッド
・レクサスIS250:8.1秒 :2.5リッターV6、NA
320iのエンジンで言えば、184psという控えめなパワーは動力性能の向上を追い求めたものではなく、 エフィシェントダイナミクスとしてのパワーと燃費向上の両立を目指しているものとなります。

日本車はハイブリッドで直噴ターボで出遅れ

日本車はハイブリッドだけに資金を投入し、ディーゼルや直噴ターボ化エンジンのラインナップは欧州車に比べてかなり遅れているとも言えます。
今後、日本車の大排気量車がダウンサイジング化した時、 ハイブリッドエンジンとの共存関係に興味がありますね。

いまだに大排気量NAエンジンのトヨタ3.5V6の置き換えとして、今後、2Lダウンサイジングターボと2.5L・HVとの価格設定バトルにも注目です。

2015年、日本車でも直噴ターボ車が増える

日本車でもダウンサイジングターボ車が増えてきました。

  • レクサスRX,NX,クラウンなど2リッター直噴ターボ
  • レヴォーグの1.6,2リッター直噴ターボ
  • ステップワゴン1.5リッター直噴ターボ

価格はダウンサイジング前のNAエンジン搭載車と同一価格レベルであり、
逆に値上がりするような価格設定ではないようです。
やはりハイブリッド車のほうが燃費は良く、価格設定の関係ではダウンサイジングターボよりも ハイブリッド車の方が高性能、高価格ということでしょうか。

NAエンジンの直噴ターボ化により、日本車も欧州車のようにNAエンジンが置き換わっていくと予想されます。

日本車のハイブリッドはガラパゴス

海外でハイブリッド車は売れているのでしょうか。日本の混雑した道路事情と異なり海外では高速で飛ばせる国も多いです。そうした道路事情ではハイブリッド車がエンジンを回すことになり燃費効果は期待できません。

よって、ハイブリッド先進国の日本は世界を制したと思う国産車信者も多いのですが実態は、ダウンサイジングターボやディーゼルターボがシェアを伸ばすのが実態なのです。

欧州車はHVをパスしてPHVへ

欧州車は、HVをパスしてPHV(プラグインハイブリッド)が増えており、HV(日本車のハイブリッド)のガラパゴス事情は今後も変わらないでしょう。