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トヨタはEVを作れないのでなく作らない

査定君
査定君

トヨタ製電気自動車(EV)を作れないという声が聞かれます。実際にトヨタは作れないのではなく、作らないのか、その真相に迫ります。

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トヨタはハイブリッドを重視している

ハイブリッド車はエンジンがメインであり、バッテリーも走行主体の大容量を搭載してはいません。エンジンとモーターを相互に稼働させる技術はトヨタ製HVシステムが有利な点に異論はありません。しかし、日本ほどハイブリッド車は世界で売れていないのです。
2015年以降、日本のメディアは、ハイブリッドで世界一、延長線上のEVも世界一を取れるという説を展開していました。しかし、2020年以降、その主張も陰りが見えます。

マスコミだけでなくトヨタ社長ですらEV市販が後手に回っている事実を早期に認識しています。EV車を作る技術的な側面でなく、内燃エンジン城下町を温存する施策こそ、日本のガラパゴス化を招いている原因を理解していないようです。

ハイブリッド技術があってもEV車は発売出来ず

インバーター、モーターなど流用できるのですが、プリウスはモーター主体で走っているわけではありません。HVバッテリーはEV車とは比べ物にならない小型サイズであって、大容量なEV車とは根本的に異なります。
バッテリーを使い切ればエンジンを使えるHVやPHVと異なり、バッテリーのみを使うEV車とは電気エネルギーのマネージメントが根本的に異なります。
EV車はハイブリッドの延長線上と考える方は、永遠に理解できないでしょう。
HV車の延長線上にあるのであれば、エンジンの代りにバッテリーを大量に積めば良いのでしょうか。2017年には、トヨタ製EV量販車が存在せず、公に登場したのは5年後でした。初代リーフが登場した時点で、プリウスの敵では無いとトヨタ経営陣は考えたのでしょう。しかし、リーフが航続距離400キロを超えてくると話は変わってきます。

日産リーフ、BMW-i3などのようにマイナーチェンジを重ねてその欠点を改良している車とプリウスPHVでは比較することすらナンセンスであり、ジャーナリストの誤った擁護発言に驚きます。

HV技術はEVへ転用出来ない実態

この危機感は、トヨタの販売サイドや製造現場でも大きな懸念点となっています。
現場の危機感は、理解不足によるものなのでしょうか。マスコミの指摘も同様なのでしょうか?

現在、トヨタはHVシステムの優位性は、世界的にもトップレベルかもしれません。しかし、EV車が一台もない以上、EV市販車が後手に回っている点は、社長が認識している通りです。
バッテリーの劣化や寿命などで、中古車の値崩れしている現実や性能から、電気自動車が主力になることは、まだまだ先になるとトヨタは考えていたのでしょう。
BMWや日産などのライバルメーカーがすでに市販車を2015年以前に登場させ、何年も経過していますが失敗策だと笑っていたのでしょうか。トヨタがFCVが本気で次世代を握れると思っていたのでしょうか?

欧米中韓の独自規制がHV車を対象外とし、EV化の独自ルールを推進した時点で、EV化の流れは明らかだったのです。プリウスPHVの登場すら色褪せていた感があります。
CO2の排出量で正論を述べたところで、強国の強引なEVルールの前にして、トヨタ・マツダ擁護、国内雇用重視の施策では、競争力を生まないどころか、ガラパゴス化を加速するだけです。

BMWはトヨタHV技術など不要だった

BMWはトヨタの提携を通してトヨタ製ハイブリッド車の供給があると誰もが考えました。しかし実態はどうでしょうか?トヨタ製エンジンを積んだBMWは全く登場していません。トヨタとの提携時点でBMWは、BMW製HV車市販車がすでにあり、高速域が不得意なトヨタ製HVについては全く魅力的に映らなかったと言えます。

提携後のトヨタHVシステムについては、将来性や優位性が無く、BMWにとって魅力的な技術でないことを早期に見切ったのでしょう。BMWは、カーボンシャーシやダウンサイジングターボ、ディーゼルターボに加えて、EV市販化では、トヨタに対して遥かに優位な状況です。

  • 欧州車がパワー補助型HVが主体で、燃費重視HVに見切りを付けたのはなぜか?
  • HVを捨て、PHVのラインナップをトヨタ車以上に作っているのはなぜか?
  • BMWは水素自動車でも早めに将来性に見切りを付けたのはなぜか?

トヨタがHVで世界一となり、自己満足している間、欧州や北米、アジアではHVの将来性が無い現実が表面化してきました。

提携先のBMWの方がEVで数年先を進んでいる事実

トヨタはHVで世界一だから、EVもすぐ追いつけると考える方がいますが、それは正しいのでしょうか。2017年時点、HVの先のPHVはプリウス1車種しかありません。
BMWは、すでに5車種のPHVラインナップを備えています。(2017/9)

BMWとトヨタは提携しましたが、トヨタのユニットを使う訳でもなく、純BMW製PHEVユニットです。また、BMW iブランドでは、i3などのEV車が2013年には市販され、改良を重ねています。
早くから、EV車両の軽量化を図るため、カーボン素材をシャーシに利用し市販化を行っています。この実績がドイツを含むEU諸国のEV化に踏み切らせる自信に繋がっているのです。ディーゼル排ガス問題は、キッカケに過ぎず、日本メーカーよりもはるかに進んだEV事情が背景にあったと言えます。

今後の次世代バッテリーは、トヨタだけが独占できるはずもなく、自動車以外の他メーカーとも競合になるでしょう。エンジンだから自動車メーカーが優位に立てただけです

テスラにとってトヨタHV技術は不要

テスラとトヨタの提携により、EV製造としては、RAV4ベースの市販車が登場しました。
協業が上手くいかず1900台で終わりました。以降、トヨタはFCVの水素自動車に力を入れた点で、テスラとは方向性が異なり、提携を解消しています。

トヨタの財力があれば、資本比率を高め次世代自動車の選択肢としてテスラ技術を利用する選択も出来たはずです。今では、EV技術にしても自動運転技術にしてもトヨタの遥か先であるテスラです。

テスラとの提携を解除したトヨタの敗因

トヨタはFCVの水素自動車を今後の本命と考えていただけに、テスラ首脳陣のEV本命との考え方にギャップが生まれ、提携解除となったようです。当初、EVの航続距離がとても実用的では無かった5年前から急速に実用的な距離になり、コストも大きく下がって来ています。
トヨタやホンダも自動車メーカーでしか製造できないエンジン技術を温存したい思惑もあり、水素を使う燃料自動車・エンジンが本命と予見したようです。しかし、欧州メーカーが飯のタネである燃料エンジンを捨てて、EVに舵を切ったことでトヨタやホンダ、マツダの思惑が総崩れとなっているのです。
複雑なエンジン製造こそ製造業の主軸であり、多数の雇用を抱える自動車関連企業にとって、自動車メーカーの優位性を保ちたいとの発想が裏目に出てしまいました。

テスラと提携を継続していれば、テスラOEM車をトヨタブランドとして早期に市場投入できた可能性もあります。結果的にトヨタ首脳陣の経営ミスと言えるでしょうか。

トヨタはEVを作れない

HVハイブリッド車(HEV)の技術があっても、EV電気自動車(BEV)には、すぐ転用できないのがご理解いただけたと思います。
結果、2023年時点でレクサスUX300evとBz4Xの2車種に留まっています。

作ろうと思えばBEVを作れる

現時点でEV車は作れています。結論から言うとトヨタでも基本的なバッテリーとモーターマネージメントの技術があり、EV車も作れるということになります。

EV市販車が後手に回っていると叩かれても作らない

メディア会見の際、EV車のコンセプトカーという名のハリボテのようなモデルをズラリと並べたパフォーマンスを行っているほどです。

新社長発言でもレクサスEVは3年後

2023年新社長に交代し、「レクサスEVを3年後に登場させる」と発言されました。
すでにBz4XというBEV車の市販車を登場させており、次は安価なエントリーモデルやダイハツの軽自動車EVなどを優先させるのが妥当と考えます。
しかし、レクサスEVで専用EVモデルを登場させる理由はなんでしょうか?

HEVのマーケット温存

2020年代に入り、トヨタは販売台数でも連続の好況を持続しており、HEVと内燃車を引き続き販売したいのでしょう。
海外メーカーは、BEV/PHEVの開発と販売を優先させており、現状では、安価なトヨタHEVに流れてしまう結果となっているのでしょう。

海外でのBEV/PHEV市場でトヨタの衰退が顕著

世界の自動車販売台数は、好調な成績を維持しているものの、BEV/PHEVのシェアに目を移すと、トヨタがランキング上でベストテン圏外になっている状況が継続しています。
もはや、バッテリー資源確保もBEV生産も完全に諦めモードという状況です。

それでもトヨタはEVを作らない

米電気自動車(EV)メーカーのテスラは、普及価格帯セダン「モデル3」を発売し約380万円に設定しています。この価格帯まで下がってくると大手メーカーを脅かす可能性があります。日産もカタログ値の航続距離400キロのリーフを発売し、好調な出だしです。むしろ、トヨタプリウスPHVよりも安いグレードもあります。

一方でトヨタと提携したBMWは、トヨタのハイブリッド技術を得るために提携したと予想されました。しかし、2017年時点では、トヨタ製PHEVですら完全に市販車が少ない状態となっています。欧州車ではHVはおろか、プラグインハイブリッド搭載車のラインナップはトヨタ車を圧倒しています。BMW iブランドにより、すでに電気自動車のi3が発売済です。

販売台数を見れば、テスラ、日産、BMWという3社の独走態勢となっています。それに引き換え、トヨタは、ショーモデルでの出品レベルに留まっています。(2016年)

水素自動車はEVに勝てない

特に水素自動車は、そのデビューが速いもののインフラ面でEVに対しての優位性を保てないでいます。その理由とは、水素スタンド、水素ステーションを作るインフラ投資には莫大な投資が必要だからです。水素補充の必要があったり、その維持管理にもコストがかかります。EVスタンドのように、電気が通っていれば作れてしまうインフラとは全く異なっているのです。
家庭充電も可能であり、家庭用太陽光発電との連携も可能であったり、EVのインフラやコストの点で水素に勝ち目はありません。
当初は、ガソリンの代替として水素自動車の方が実現性があると思われていました。しかし、電気自動車の性能アップとコストダウンのスピードが、水素自動車(FCV)の性能向上を遥かに超えてしまったためです。ホンダもFCVクラリティの販売を中止しました。ガラパゴスなガラケーの二の舞のようです。もう、FCVが日の目を見ることは無いでしょう。

新型ミライ(2020モデル)も売れない可能性

大幅な性能向上を遂げた新型ミライもインフラ面でEVスタンドに大きく水をあけられてしまいました。乗用車では難しく、トラック用途に活路を見出す他ないでしょう。車両価格面でも電気自動車にリードされつつあり内燃機関としての水素の立ち位置は厳しい状況です。

ライバル・異業種の動向

マツダとの提携に意味はあるのか

某自動車ジャーナリストの賛美記事が目立つマツダとトヨタとの提携ですが、トヨタにとってHVのパッケージを売り込む車種が増えるだけでしょう。
マツダのSKYACTIVE技術など、EV転換の流れの中では、どうでも良いテクノロジーなのです。
マツダにとっては、HV,PHV,EVに乗り遅れた時点で将来的に淘汰される運命であり、トヨタ陣営として資本提携は最終的に多いに意味があると言えるでしょうか。

今こそ日産陣営の商機

一足先にEV車を市販した日産ですが、シリーズハイブリッド(発電エンジン駆動モーター)の日産ノートで販売台数1位となりました。
新型ノートの販売も好調です。このタイミングで、プリウスはカッコ悪い、時代遅れなハイブリッド的なイメージが消費者に認知されると一斉に日産車に関心が向く可能性もあります。日産eパワーも第二世代を迎え、シリーズHVとEVではトヨタの先を進んでいます。

日本メーカーとしてテスラに勝る安さのリーフを市販している日産に期待がかかります。

自動車メーカーとディーラー既得権を守るガラパゴス日本

自動車メーカーはエンジン製造のために膨大な従業員を抱える城下町を形成しています。簡単にガソリンエンジンを切れない事情があるのです。そのための延命措置としてのハイブリッドであり、FCVだったのでしょう。しかし、トヨタの思いとは裏腹に世界の情勢は、トヨタ首脳部が描くビジョンの先を進んでしまっています。ある意味、ゴーンの日産は世界的な視野とビジョンでリーフを市販していることがわかります。

欧州がエンジンを捨て、2040年の完全EV化を発表

日本メーカー絶対主義の某Iジャーナリストが、欧州車の環境汚染のツケだとか意味不明なコメントを行っていますが、実情は異なります。それは、日本メーカーよりも進んだEV車技術により、EV化の目処が立っているからです。従来の燃料エンジンを捨てるという自動車メーカーにとって影響のある計画を早期に認識し、計画的にEV化への転換を図ることを意味しています。それは、エンジン製造に関する雇用が奪われる可能性を認識しての決断なのです。

EV車の将来は明るいのか?

リチウムイオンバッテリーの寿命や価格など、まだまだ超えるべき難題は山積みとなっています。ただ、リーフやBMW i3を見れば性能は価格は、年々良くなっていることは事実です。ダイソンなどの家電メーカーや中国資本のロータス買収を見れば、自動車のシャーシ技術を買収したり、コンピュータ解析したりすることは可能でしょう。少なくともガソリンエンジン製造に比べれば、シャーシ製造のハードルは低い訳です。中国の自動車メーカー乱立を見れば、基本的にはパクリからスタートします。製造技術は、中国弱小メーカーでも開発可能なのであり、100年もかかるテクノロジーでは無いのです。

少なくともEV車は、スマホや家電で駆逐された国内家電メーカー同様に、国内自動車メーカーの脅威であることをトヨタの社長も十分認識しているはずです。販売網にしても、ダイソンのネット販売を見れば、全国のディーラーネットワークなど不要であることは言うまでもありません。
家電ストアの店頭に展示するスペースも設けても良いのです。

プリウスハイブリッドの大失速


プリウスの低迷が続いています。原因はスタイルなのは社長も認めている通り、奇抜すぎるデザインが原因です。しかし、それ以外にも先代に比べて評価が多くあるようです。一方で、モデル末期の日産ノートは、シリーズハイブリッドで9月はプリウスを抑え込んでいます。

トヨタはGRモデルなどという、BMWのMやメルセデスのAMGをパクったスポーツシリーズをラインナップ化しています。しかし、割高感が強すぎで欧州車ほどは売れないでしょう。欧州車のマネなどしている場合では無いのです。
日本市場は、このままでもHVで売り上げを死守できるかもしれませんが、海外でのジリ貧は間もなく訪れます。VWや日産ルノーグループに販売台数で抜かれるのも時間の問題でしょう。

 

EVとFCV併存不可で水素自動車を捨てる選択を迫られる

水素自動車に莫大な投資を行い、実用・市販レベルに漕ぎつけたトヨタ。
現時点では世界トップレベルです。ガソリンの代替となる液体燃料が水素だとすれば、勝者はトヨタミライになるでしょう。しかし、水素スタンドは全く増えず販売もジリ貧です。
トヨタは水素自動車の失策を認め、早々にFCVを捨て去りEVに軌道修正することが求められます。
もはや完全なガラパゴス状態なのですが、政府の補助金政策は、ガラパゴス化を助長させるだけです。

政府はFCVへの補助を止めて、EV補助を増やすべき

政府の有識者もトヨタ・ホンダの水素自動車に対する失策と見通しの甘さ、将来性の無さに気づいている方もいると思います。世界の潮流がEVの方向性になった以上、FCVステーションの増加などは負の遺産です。

早々にFCVから撤退し、電気自動車に対する補助金を増やすべきです。
家電業界がガラパゴス化し、中国や韓国に席巻された現在、残された数少ない日本の強みが自動車業界です。

もはやハイブリッド技術で先進的だったのは、2代目プリウスの時代で終わったのです。後は枯れた技術の延命策でした。その間に欧州メ―カーは自国におけるHV車の性能が使い物にならない事に気づき見切りを付けます。

欧州の排気ガス問題がEV化に走らせたのか

EV化に走った理由は、BMWiブランドによる電気自動車やカーボンシャーシなど、テスラやリーフと同等以上の技術を持った点が挙げられます。
BMWi3のように補助の発電エンジンを積む手法は、今後も継続すると思われ電欠を多少はカバーできます。当然、問題のVWも電気自動車開発を早急に進めており、技術的なメドと見通しが立った事で、2040年というビジョンを立ち上げたのです。田氏は、欧州車はPHVのラインナップでもトヨタPHVを完全に凌駕している事実を知らないのでしょう。

その時期に向けてEU内のエンジン産業に関わる人たちの改革を促進する意味もあるでしょう。

トヨタはEVを作れないのでなく作らないのまとめ

欧米中のEV化は、想像を超えたスピードで進み10年以上先を進む

EVでは中国勢が台頭し、自動運転分野ではITなどの異業種が参入しています。
EV、PHVのラインナップでも欧州勢に完全に後れをとっているトヨタ。マツダとの提携強化など足を引っ張る荷物でしかありません。
米国のカリフォルニアZEV規制、中国のEV優遇政策、欧州の2040年EV化など、あらゆる世界情勢がEV化へ突き進んでいます。

日本では550万人の雇用温存のためHEV重視とした施策が敗因

  • 将来は、エンジン車からFCV(水素燃料電池車)を未来の車に据えた
  • EV車は小型車で普及するとの計画を立て、軌道修正しなかった
  • 世界は、トヨタの想像をはるかに超えるスピードでEV化が進んだ

EV車を本気で作ろうとしておらず、作れないのではなく、作らないのです。
それは、従来のエンジン主体の企業構造からの転換が難しいまま、放置したからに過ぎません。