休日の大渋滞、ホンダのハイブリッド車が立往生しているという目撃事例が多発しているようです。ホンダの「i-DCD」は欠陥なのか、その原因を探ります。
ホンダのi-DCDとは
i-DCDとは、エンジンとモーターを組み合わせたホンダ独自のハイブリッドシステムです。
SPORT HYBRID i-DCD(スポーツ・ハイブリッド・アイディーシーディー)の略です。
従来ハイブリッドシステムの軽量・コンパクトさを継承しながら、優れた燃費性能と力強い加速を実現していました。
- エンジン
- 高出力モーター
- 7速DCT
エンジンとモーターを7速DCTで制御しながら、動力を伝えるハイブリッドシステムです。
フルハイブリッドやストロングハイブリッドのジャンルに分類され、当時、初代トヨタアクアなどがライバルとされていました。
i-DCD搭載車種
- 初代ヴェゼル・ハイブリッド
- 3代目フィット・ハイブリッド
- 2代目フリード/フリード+・ハイブリッド
- ジェイド・ハイブリッド
- グレイス・ハイブリッド
いずれもハイブリッド車のみに搭載されたトランスミッションです。
なお、最新型のe:HEVは、この形式ではありませんのでご安心ください。
i-DCDの機能と特徴
- i-DCDは、デュアルクラッチトランスミッションを搭載し、オートマチック車として一般的なトルクコンバーター(流体クラッチ)ではありません。
- 奇数段用と偶数段用の2系統のギアセットと機械式クラッチを持ち、クラッチを交互に接続することで変速を行うものです。
- 走行中には次のギアをスタンバイさせておく
- スタンバイ済のギアに順次に変速する
- 伝達効率が高く、鋭いレスポンスやダイレクト感ある加速が得られる点がメリット
i-DCDの欠点・デメリット
- エンジンとミッションを繋ぐクラッチは、マニュアル車のような機械式のクラッチが担います。
- 機械式のクラッチは摩擦熱が発生するため、大渋滞や坂道渋滞など、半クラッチ状態が続き、熱負荷がかかり高温となります。
- 一定の高音に達すると安全機能が働いてエンジン停止します。
デュアルクラッチトランスミッションの一般的なデメリット
- 発進時や変速時に、ダイレクトな変速ショックを伴う点で、高級車のような滑らかさに欠ける。
- CVTやトルコンの滑らかな変速ショックに慣れた日本人にとっては違和感がある。
異常な高温で安全装置が作動
この結果、日光いろは坂など、大渋滞と坂道負荷が掛かる道路上で、一部特定のホンダハイブリッド車だけが、トラブルで停止している光景に繋がったものです。
エラーメッセージ
以下のような警告メッセージがメーター上が、温度状態応じて、順番表示されるようです。
- 「トランスミッション高温」
- 「トランスミッション高温:安全な場所に車両を停車して下さい」
エラー回避策
ミッションが高温になる、渋滞時のノロノロな連続走行が原因です。
極低速の半クラッチ走行を避け、ゴーストップのメリハリを付ければ良いのです。
前車との車間を開けて、歩くようなスピードでのノロノロ走行を避ける運転が必要になります。
勿論、いろは坂での渋滞、真夏の環境下であれば、避けようが無い可能性もあります。
具体的走行例
- 車間距離を大きく取る(後続車をイラつかせないメリハリが重要)
- 走る・止まるのメリハリ
- 坂道発進時の一時的な負荷は避けられません。
1~5キロ以下のノロノロ走行時間と回数を軽減させるのがポイントです。
避けるべき道路
- いろは坂のように、路肩スペースのある坂道は、まだマシです
- 追い越しが厳しい、狭い坂道で発生したら大ヒンシュクです!
- 気温20度を超えるような季節(真夏以外でも危険)
欠陥のハイブリッドなのか
そもそも、日本市場に合ってない
ホンダ技術陣が、VWのDSGに影響されたのか、クラッチの伝達効率を優先して、燃費性能の数値向上のために、DCT(i-DCD)を採用した結果が裏目に出ました。
さらに、燃費数値は、最大のライバルとされたトヨタのTHS2システムに及ばず、トラブルを連発し、変速ショックも大きいなど日本市場のユーザー向けには全く不向きな結果となり、DCTを採用した意味は無かった結果になりました。
結果、市場では散々叩かれる事となり、i-DCDを搭載した各モデルは一世代で市場から消え去る運命となりました。
渋滞路にはトルコンが合っている
北米やアジア圏では、トルクコンバーターAT比率が高く、高温多湿でノロノロの高負荷・渋滞路にマッチしており、理にかなっているのがトルクコンバーターと言えるでしょう。
ダイレクトなシフトフィール感など、二の次と言っても良く、滑らかな変速フィールが第一優先とされます。ホンダも大失敗と迷走時期の経験を経て、現在のハイブリッドシステムに繋がっています。
メーカーの再発防止策は十分なのか
i-DCD以降、最新のホンダハイブリッド車では、本型式の採用を見送りました。
リコール問題の対応後も、未だに巷を騒がすi-DCD搭載車です。先代フリードが市販されていたのは、まだ最近であり、黒歴史としての大汚点は、今後も続くでしょう。
精神論的な注意書き説明では、立往生は防げませんので、メーカー側として抜本的な対策品が望まれるところです。
ホンダの「ハイブリッド車」立ち往生多発:まとめ
- 日本の渋滞シーンを全く考えていない欠陥品という評価が「i-DCD」
- 海外でも慢性的な渋滞、地球温暖化により、同様のクラッチトラブルのエラーが出ている可能性大(VWやアウディのリコールが物語っている)
- よって、一般市販車において、利用形態を考慮しなくてはいけないような、DCTの仕組み自体が、そもそもの問題点
- 渋滞シーンにおけるホンダ車の恒例行事となり、今後もSNSを賑わすネタになる予感
- DCTは日本市場に向かないことをユーザーは学習済
- 未だに、日本製でDCTを採用するモデルがいくつか存在し、シフトショックは高級感の欠片もないですが、そもそも日本市場優先でない理解が妥当か
- DCT搭載車においても、トラブル多発車は、一部メーカー・車種に限定している状況。
マニュアルトランスミッションでは、半クラッチ操作を続ければ、車もドライバーにもキビシイことは明らかです。これを機械に自動的に行わせる事で、一般ユーザー側で問題が多発することは事前に予測できるトラブルであるという「まとめ」になります。