マツダがCAFE規制対応を目論み、2019年登場の「スカイアクティブX」です。スペルは「SKYACTIV-X」が正しく「SKYACTIVE-X」ではありません。
市場の声として「SPCCI失敗」「失敗作」の烙印が確実視されたと感じます。スペックから判明したデメリットや燃費が悪い理由を解説します。
発売当初、Web上にはジャーナリストの賛美記事が溢れた状況でしたが、現在ではX廃止と噂されるまでに至りました。もはやファンですら見放した、失敗の評価は誰でも理解できる内容となっています。
スカイアクティブXは失敗作のなのか?
「失敗」「失敗作」「期待外れ」の声が多くを占めるようになったのが、昨今の状況では無いでしょうか。
2023年9月、CX-30でスカイアクティブX搭載モデルが廃止されています。
スカイアクティブXの当初目的
マイルドハイブリッドやスーパーチャージャーなどの明らかな補助装置が満載で、純粋な「X」の性能が微妙です。発売前の当初目的・スペックを列挙してみます。
- HCCIの実現
- SKYACTIV-GとSKYACTIV-Dのガソリンとディーゼルの良い点を融合
- トルクアップ:全域で10%以上、最大で30%
- 燃費:20~30%の改善。10年前の同社ガソリンエンジンと比べ、35~45%の改善
上記目標は、何一つ達成出来ず、大失敗に終わっています。
HCCI失敗(圧縮着火は目標未達成)
欧州においてディーゼルエンジンから脱却が進んでいます。そこでガソリンとディーゼルのいい所取りのイメージであるガソリンと空気の混合気をディーゼルのようにピストンの圧縮によって自己着火させるエンジンの開発目標を掲げました。「圧縮着火(Conoression Ignition)エンジン」で20~30%の燃費向上のメリットを打ち出しましたが、目標未達成に終わりました。
HCCIエンジンの燃焼方法
HCCIとは「Homogeneous Charge Compression Ignition(予混合圧縮着火)」の略。ガソリンと空気を十分に混合することで、スパークプラグなどを用いずに圧縮自己着火させる燃焼方式のことです。自動車の急速なEV化により、世界各国のメーカーが開発に取り組んだものの、内燃エンジンの効率化分野として、HCCIに将来性無しと見捨てた分野です。
仕組み的には、ディーゼルエンジンに近い、圧縮比18という数値でエンジン内で「空気とガソリンの混合気」を「勝手に発火」させて燃焼させます。
「エンジン内のあらゆるところから一気に」燃焼が起きるイメージです。
HCCI失敗で当初目標は、全て未達成
燃焼温度が低いために有害な窒素酸化物やススがほとんど発生せず、また高い圧縮比と超希薄燃焼、素早い燃焼、ポンプ損失の低減などにより、優れた熱効率を実現することができるというのが、当初目標でした。
マツダが想定するHCCI燃焼を利用したエンジンの圧縮比は18:1で、理想空燃比(14.7:1)より48%も空気の量が多い超希少燃焼が可能。
第1世代のスカイアクティブ・ガソリンエンジンから約30%の燃費改善ができるとしていました。基本的に、ディーゼルと同様、プラグ無しで点火することでしたが、目標は未達成となりました。
技術的に無理ゲーだった目標値
HCCI燃焼は、エンジン回転数が高くなると燃料と空気の混合が間に合わずに失火、低回転域では温度が低くなって失火、さらに高負荷の状態では異常燃焼が発生、低負荷では燃焼効率が悪化、などです。多様な問題が発生した。現段階ではHCCI燃焼が難しい領域ではスパーク点火による燃焼を利用するしか代替手段が無かったようです。
SPCCI失敗(性能は当初目標未達成)
「HCCI」は燃焼を制御することが非常に難しく、低速域では「ノッキング」を起こしてしまう状況になります。そこで、低回転ではスパークプラグを使用する「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition)」と呼ばれる方式を採用し、当初のHCCIから全く別物となっています。
SPCCIに名前を変えたものの、圧縮比も当初の18から大幅に下がっており、燃費性能も大幅に目標を下回っています。
低回転域ではスパークプラグを使う本末転倒
当初の目的は、プラグを使わない圧縮着火エンジンを目指していたのではないでしょうか。
しかし、蓋を開けてみれば、以下の状況です。
- 今どき、2リッターという大排気量
- スーパーチャージャー過給
- ただのプラグ点火、ごく普通のエンジン
このスペックを見れば、燃費が悪い80/90年代エンジンと何ら変わらず、燃費悪化は避けられないことは素人が見ても明らかでしょう。
本来、絶大な低速トルクが得られるであろうディーゼルエンジン並みの性能が全く得られていないのです。ディーゼルエンジンと同等のメリットを得られおらず、全く不完全な性能だと言えます。よって、低回転域ではディーゼルエンジンとは根本的に仕組みが異なる事になるのです。
コスト面の失敗とデメリット
高応答エアー供給機は単なるスーパーチャージャー
このアクティブXを実装するには、それなりの装備が必要なようです。
勿論、通常よりも高い圧縮比に耐えられるシリンダーブロック、ヘッドが必要かもしれません。普通のガソリン車用シリンダーブロックをそのまま流用しているのか微妙です。
高応答エアー供給機と呼ぶ装置は「エアーポンプ」などという玩具みたいな表現をしているサイトもありますが、実質スーパーチャージャーです。
マツダとしては、既存のエンジンに対して以下の装着で可能だという事です。
- 筒内圧力センサー
- 高圧燃料系 (直噴インジェクター)
- 高応答エアサプライ(スーパーチャージャー)
実際、この内容を見ただけ、ダウンサイジングターボ以上のコストが発生している事が、素人でも判断できます。
高応答エアサプライの実態
吸気にイートン社製スーパーチャージャーを使ってエア供給しています。実態として、SPCCIの燃焼コントロール用途に高応答で空気を供給するためにスーパーチャージャーを使い、「高応答エアサプライ」という機能にシフトしたものです。一般的な「スーパーチャージャー」としての低回転域からの図太いトルクやパワーを発生させる本来の機能が、一切発揮できていません。現状、スカイアクティブXは、価格に見合わないパワー不足が指摘されていますが、上記の機能のためです、スーパーチャージャー本来の機能として、パワー増大のために燃料噴射を増量すれば、燃費のさらなる悪化が予想されます。
- 高応答エアサプライ:空燃比コントロール用・空気供給装置
- スーパーチャージャー:過給機(本来の用途・機能、パワー・トルクアップ装置)
上記、2点の機能を同時に実現することは不可能と判断できます。
ターボより、効率が悪いスーパーチャージャー
ターボは、排気ガスの圧力を利用しているため、従来は捨てていたエネルギーを効率的に利用しているだけですが、スーパーチャージャーは、駆動力を利用しているため、パワーロスが発生し燃費にも影響します。
本来、燃費向上策としてのスカイアクティブXでありながら、本末転倒な実態です。
ダウンサイジングターボよりも高いコスト
追加装着の仕組みを見ると、単なる直噴ターボとコスト面で、なんら変わりません。「高応答エアサプライ」という一見意味不明な名称ですが、対外的には、単なるスーパーチャージャーの追加コストが発生しています。
結局、マツダ3、CX-30に搭載の2リッターのスカイアクティブXを例に見てみると、2リッターNAにターボを追加したコストを遥かに超えているでしょう。国産や欧州の1.0~1.5リッターのダウンサイジングターボの方が断然安上がりで燃費も良く、パワーも十分かと思われます。
実際のSkyactiv-Xのパワーは、2リッターという大きな排気量でありながら、パワーが180PS、トルクがたったの22.4kgm(初期X)です。トルクは、ディーゼルに遠く及ばす、1.5Lのガソリン直噴ターボにも劣っています。
例としてホンダの1.5リッター直噴ターボが以下のスペックです。
- 搭載エンジン:直列4気筒1.5L VTECターボエンジン
- 最高出力:172PS/5500rpm
- 最大トルク:220Nm/1700-5500rpm
スカイアクティブXスペック(初代2019)
- 搭載エンジン:直列4気筒2.0L スーパーチャージャー、マイルドハイブリッド(初期X)
- 最高出力:180ps/6000rpm
- 最大トルク:224Nm/3000rpm
ダウンサイジングターボは、1700~5500回転の幅広い回転域で最大トルクを発生(フラットトルク化)しています。一方スカイアクティブXは、3000回転という大昔の低速スカスカのドッカンターボのような発生回転数です。これでは、低速トルクも薄いことは言うまでもないでしょう。
スーパーチャージャーといえば、排気ガスの利用できない極低回転域用途で使う車が多い中で、Xは高回転で使用しているようです。中高回転域ならターボが活用できるにも関わらず、ターボ嫌いのライトサイジング提唱者の影響からか、スーパーチャージャーを採用するという本末転倒ぶり。
この回転域なら、通常のターボの方が排気ガスを使う分、パワーロスも少ないでしょう。
現時点でパワーは1.5Lターボ相応で、スペック的にかなり見劣りします。公称スペックに対して、実態は、3割程度ダウンすると考えるのが現実的な数値でしょうか。
ダウンサイジングターボを軽視するマツダの苦肉の策
- 無点火が目標 →目標未達成で、プラグ点火へ変更
- 高回転域のパワーが出ない →初期型は180ps(2.0Lなのに、たったのこれだけ)
- ダウンサイジングターボ車を非難・否定し、ライトサイジングという意味不明なワードを提唱していた手前、ターボを使用できない。(そうだスーパーチャージャーを使おう)
- 低回転域のトルク不足 →発生回転数3000rpm(直噴ターボなら1500rpmで最大トルクなのに)
- スーパーチャージャー追加で高回転域のパワートルクを捻出。高速域は、ターボチャージャーが得意分野の領域ですが、スーパーチャージャーの誤った使い方
- スーパーチャージを高回転域に使ったため、低速トルクがスカスカの状態に。
これを補うために、マイルドハイブリッド追加し、モータートルクで低速域を補う結果に。 - 燃費もマイルドハイブリッドで嵩上げ
- 2.0Lという元々、大きな排気量に対して、スーパーチャージャー、マイルドハイブリッドなど付加装置てんこ盛りで、コストアップ。なのにハイブリッドやダウンサイジングターボに劣る性能。
- 追加装置てんこ盛りで、重たいディーゼル車よりも重量増加。(当然燃費も悪化)
という本末転倒の集大成スペックで市販化してしまったのが、スカイアクティブX失敗の実態なのです。
マイルドハイブリッドを搭載して燃費アップ
「ピンポイントの最大熱効率を競う競争に巻き込まれたくない。むしろ幅広い負荷領域で高い熱効率を持つエンジンを目指す。そこにごく小型のモーターを併用したマイルドハイブリッド(HV)で、ストロングHVとの効果を出したい。大きなエンジンと大きなモーターを使うストロングHVは車2台分を1台に詰め込んだようなもの。車のみの燃費は良くても社会的・環境的負荷は大きい」
エンジン単体のスカイアクティブXだけかど思えば、マイルドハイブリッドを併用するという事です。実質、エンジン単体の効果は微妙なので、マイルドハイブリッドを追加搭載して、総合力で燃費効果を補助している可能性もあります。
純粋なアクティブXエンジンとして、本来のHCCIエンジンとしては不十分な性能しか出なかったスペックなため、かなりグレーゾーンを多用している事がわかります。EVのCO2を非難しているマツダが、ハイブリッドを採用するって、どういう事でしょう。
マイルドハイブリッド装着車であれば、スカイアクティブX無しでも達成できそうな数値であることがご理解いただけると思います。勿論、ダウンサイジングターボで、1.2/1.5Lターボであれば、同等の性能の燃費も達成できそうです。
電気に頼らず、SPCCIエンジン単体での性能を誇示してほしいものです。
スカイアクティブXの価格68万円高は高すぎ
【理想の技術…でも68万円高は高すぎ!!?】マツダの宝「スカイアクティブX」なぜ苦戦!??
マツダ車としては、このようなエンジンラインナップになると思います。
- SKYACTIV-G(ガソリンモデル)
- SKYACTIV-HEV(マイルドハイブリッドモデル)
- SKYACTIV-X(SPCCIエンジン搭載モデル)
- SKYACTIV-D(クリーンディーゼルモデル)
- ハイブリッド(トヨタ製ハイブリッドシステムは、見送り)
SKYACTIV-Xは、下記の3点が必須の高コストシステムとなっています。
- HEVのマイルドハイブリッドを搭載
- ディーゼル並みの高圧縮燃料噴射
- SPCCIとしてのスーパーチャージャー過給
価格的にはガソリン車でありながらディーゼルモデルを確実に超えてくることが予想されます。そもそもパワー不足のために排気量が大きなエンジンを搭載しており、トヨタ製ハイブリッドのアクセラを超える可能性もあります。
1.5リッターのガソリン直噴ターボの方が価格も燃費も訴求力は十分あり、スカイアクティブXの存在価値は全くないと言えるでしょう。
45万安の「スマートエディション」は装備大幅削減モデル
2年経過し、スカイアクティブXの売れ行き不振が価格にあるとメーカーも認識したのでしょう。
45万円も安い、装備を大幅に削ったスマートエディションを追加しました。
安全運転支援、LEDランプやパワーシートを削り、18インチから16インチへのダウンなど、強烈に装備カットした圧倒的なチープ装備モデルとなっています。
ここまで装備を削ったスカイアクティブXに魅力も価値も無く、このエンジン指名買いのユーザーなどいないでしょう。
価格差を埋めるには、距離を走る必要
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのメリットが合わさっているので、デメリットはほとんどありません。少し車体価格が高くなるので、ガソリンエンジンとの価格差を埋めるには、距離を走る必要がある点くらいでしょう。この点は、ハイブリッドも同じですので、さほど大きなデメリットとは言えません。
本当でしょうか?。Web記事といえば、レスポンスといった感じですが、プリウスとは比較にならない燃費、価格性能比で距離を走って、元が取れる訳でもありません。補器類だらけでコストアップ、故障の発生確率も高まり、デメリットだらけです。とても有識者書いた記事とは思えない完全な誤記事です。
ウェル・ツー・ホイールを引き合いに出す本末転倒ぶり
マツダの公式サイトではアクティブXのメリットとして「ウェル・ツー・ホイール」の概念を提示しています。
非常に偏った概念図です。素人が見ても偏り過ぎでしょう。
実際の電気は、高効率な原子力発電やクリーンエネルギーの水力、太陽光発電などが含まれており、非効率な火力発電だけでは無いのです。燃料採掘時から車両走行時まで「ウェル・ツー・ホイール」の考えに基づいた、CO2排出量削減だけを捉えた比較論はナンセンス過ぎます。
実際の二酸化炭素の排出量で比較するとガソリン車の改善が電気自動車には遠く及ばないのです。
- ガソリン車 :193 g-CO2/km
- ガソリンHV車:123 g-CO2/km
- 電池電気自動車:49 g-CO2/km
他社エンジンとの比較したコスト
仮に、車両製造コストは下記とすると価格に見合った性能が求められます。
コストの安い順番は下記になります。
- 1.5リッター・ターボ
- 2.0リッター・NA
- 2.0リッター・ターボ
- 2.0リッター・ディーゼルターボ
- 2.0リッター・スカイアクティブX
スカイアクティブは、実質スーパーチャージャーという過給機を装備する点と直噴燃料噴射やセンサーが必要であり、2リッターNAエンジンに比べたコストアップは避けられません。実際、マツダ技術者の言うスカイアクティブXの優れたエンジンの性能が、コストに見合った性能で無ければ、絵にかいた餅で終わる可能性が高いです。今後、1.2~1.5リッターターボでも十分というユーザーが増えれば、高コストなスカイアクティブXは、デメリット満載で市場価値は全くありません。
現状でも、日産のノート・ハイブリッドなど、売れ筋一番モデルは、エンジンがオマケなのです。
パワー・トルク面の失敗とデメリット
発売前の微妙なスペック
公式発表前の記事を引用します。「Xデーは2019年にやってくる! 次世代SKYACTIVがかなえるマツダの近未来の姿とは?」
https://www.webcg.net/articles/-/37332?page=3
試乗した2リッター版SKYACTIV-Xの最高出力/最大トルクの目標値は190ps/230Nm。デミオクラスならば「フォルクスワーゲン・ポロGTI」に匹敵する走りを見せることだろう。(鈴木ケンイチ)
ジャーナリストとしての知見を疑う記事です。最新2019ゴルフGTiのスペックは、230ps、トルク350Nmと性能は比べるまでもありません。
匹敵もなにもポロのGTi、200ps、トルク320Nmにも劣る性能。
(ポロは、排気量がたったの1リッター直3 DOHC 12バルブ ターボです)
スカイアクティブXの大排気量2.0Lスーパーチャージャーエンジンは、単なる1.0Lダウンサイジングターボに比べて、圧倒的に高コストかつチープな性能であるか、ご理解いただけると思います。
過給機付き2リッターで、たったの180馬力
■SKYACTIV-X(欧州仕様・初期モデル)
- シリンダー配列:直列4気筒
- 排気量:1998cc
- 内径×行程:83.5 mm×91.2mm
- 圧縮比:16.3
- 最高出力:180ps(132kW)/6000rpm
- 最大トルク:224Nm/3000rpm
- 給気方式:スーパーチャージャー
- カム配置:DOHC
- 使用燃料:RON95
試作車の190psから10馬力もダウン
試作車の230Nmから6Nmダウン
2リッターの排気量ならNAエンジンでも達成しそうな貧弱なパワーです。
馬力もトルクもNAエンジンに毛が生えたようなレベルで誰が買うのでしょうか?
アピールポイントとして残るのは燃費性能ですが、欧州複合モード燃費が23.3km/リットルです。マイルドハイブリッドを追加して燃費性能を向上させており、320万からエントリーモデルとなる価格設定のコストパフォーマンスは限りなく微妙です。
実際、燃費重視ならハイブリッド車が買える値段ですし、性能的にも2.0LのNA車に毛が生えたレベルですから、パワー重視なら他車を選ぶのが賢い選択でしょう。
0-100km加速は、たったの9.73秒の遅さ
トルクが良いとのメーカー資料も、最大トルク発生回転数は、3000回転と他社ダウンサイジングターボに比べて高いようです。当然、トルク数値や回転数は、メーカーの言う内容に説得力はありません。そして、決定打が0-100km加速のタイムです。9.73秒と言えば、エンジンのパフォーマンスを語る車の数字ではありません。
この速さなら、320万円で燃費重視のハイブリッド車の方が良い選択となるでしょう。
燃費と欧州規制面での失敗とデメリット
欧州規制にすら届かない燃費
欧州で2021年から本格的に始まるCO2排出量の規制値に、スカイアクティブX搭載車が達していないことです。企業平均で95g/km以下(NEDCモード)にすることを求める厳しい規制だが、欧州仕様のマツダ3は、6速自動変速機の搭載車で117g/km(NEDCモード)と2割近くも届かない状態です。
これにより、1台あたり10万円程度の罰金が発生する見込みとなります。
マツダは、将来的な欧州規制をクリアするために無謀な目標を掲げて、スカイアクティブXというスカイアクティブDとGを開発してきました。しかし、欧州市場に2019年投入したものの規制クリアは失敗に終わりました。スカイアクティブXの当初目標は完全に失敗したのです。
マツダ資料の数字根拠が疑わしいとする記事
引用元:ベストカーWEB
しかし! データの根拠を見て驚く。だって電気自動車の電費を4.7km/kWhという、普通なら考えられないほど悪い数字とし、いっぽう、アクセラの燃費は19.2km/Lでエコランやったように超すばらしい数字!
アクセラのJC08燃費って1500ccでも20.4km/L。ちなみにリーフのJC08電費は9.5km/kWhである。
マツダが示したデータとJC08燃費を照らし合わせると、アクセラはJC08燃費の95%達成なのに対してリーフだと半分。こんな数字を使って内燃機関の優位性をアピールしちゃアカンと思う。
マツダのプレス向け情報に違和感を唱えた内容となっています。
EV車に対して、従来のガソリンエンジン技術も十分対抗可能と言いたいのでしょうが、客観的測定されればすぐにボロが出る内容ですね。さらに賛美記事に仕上げてしまう凄さです。
実際、シリンダー内圧力をセンサーで常時監視し、スーパーチャージャーから送られる空気量と、ディーゼル並みの高圧直噴システムで供給される燃料をきめ細かく制御という仕組みです。
スパークプラグが完全に無くなったエンジンでもなく、現行のガソリン直噴ターボの圧縮比をさらに高めたレベルと考えれば、二酸化炭素の排出量がその延長線レベルであることが容易に想像できます。
トヨタ製THSを超えるとする記事
前述のとおりSPCCIエンジン(SKYACTIV-X=仮称)搭載車を設定してくる。エンジン本体の排気量は2Lだが、通常のスパークプラグ点火と圧縮自己着火を組み合わせたいわばガソリンとディーゼルの良いトコどりした世界初のパワーユニットとなる。当然ながら抜群の高燃費を実現しているが、さらに発進時にモーターアシストする12Vマイルドハイブリッド・システムを組み合わせることで、現行アクセラのストロングハイブリッドを超える燃費を実現してくるのだ。それゆえ、新型ではTHSを用いたハイブリッド車はラインアップされない。
何やら盛り過ぎの記事内容です。特に現行アクセラのTHSを超える性能とか書いてしまって良いのでしょうか。ダウンサイジングターボ全盛の小排気量低燃費の中で、時代に逆行する2.0Lというアセラのボディに似つかわしくない大きな排気量。
圧縮自己着火が得意とする低速トルクがイマイチの性能であるがゆえに、マイルドハイブリッドを追加するというダマシ技術は、ストロングHVユーザーへの訴求力も弱いです。
ディーゼルエンジンに劣る燃費
マツダ3のディーゼルは、WLTCモード燃費が19.8km/L(2WD/6速AT)だから、スカイアクティブXの17.2km/Lと比べても優れています。ディーゼルが使う軽油は、価格(正確には軽油に含まれる税金)が安くなります。
太いトルクを生かした加速性能と、低燃費で人気の高いクリーンディーゼルのXDの買い得感が際立っており、購入時に納める税金でも圧倒的に優位です。
コンセプトモデル登場後に予想CG記事を書くSPYDER7
次期型に関する最新情報を入手した。レスポンスの兄弟サイトSpyder7が作成した予想CGとともに紹介しよう。
CG:レスポンスより引用
実際のアクセラ
コンセプトモデルが登場済であるにも関わらず、予想CGが出すのは、有り得ません。Spydar7の記事内容に疑問が湧きます
SKYACTIV-X発売後の低迷
- (2019年10月発売予定/7月予約受注開始)で発表されました。
- 直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴(SKYACTIV-X)
- 排気量1997cc、ボア×ストロークは83.5mm×91.2mm、圧縮比15.0
- X PROACTIVE:3,140,000円 2WD(AT)
スカイアクティブX搭載のエントリーモデルとなります。
燃費面でプリウスに対して全くアドバンテージは無く、ひとクラス上の高級なカムリハイブリッドも327万円で買えます。もはや、この価格をマツダ3に出すのは熱狂的なSkyactiv-X信者ぐらいなものでしょう。
MAZDA3(SKYACTIV-X)の高すぎる価格設定で在庫の山
ブランド力が未熟なのに価格だけを上げて、ソッポを向かれた日本でのアウディ戦略に似ています。
日本の販売は5%以下の低迷
日本の販売台数は、5%以下で、実際には中古車サイトを検索するとskyactiv-x車が「新古車」として大量に出てくる始末です。全く売れず新古車市場に大量放出している実態が見て取れます。
一方、欧州では4割の販売台数ですが、これはマイルドハイブリッド車の価格設定が高く、X搭載車が割安に見えるから売れているという意見があります。今後、2021年の欧州CO2規制でPHV車やEV車が優先されるなかで大苦戦が予想されます。
Spirit1.1のソフトウエアバージョンアップの性能
- 最大トルク:224Nm/3000rpm → 240Nm/4500rpm
- 最高出力:180PS/6000rpm → 190ps/6000rpm
2020/11のソフトウエアバージョンアップ(スピリット1.1)により、パワーが、たった10ps向上しています。ノーマル比68万アップの価格を見れば2Lの過給機なら240ps程度は必要で、全く足りません。トルクは回転数が3000rpmから、4500rpmへ1500回転も上昇しました。
最新のダウンサイジングターボに比べ、30年前のエンジンかと思わせるような旧世代の超ドッカンターボを思わせる超高回転型の最大トルク発生回転数です。1500rpmも回して、たったの10psアップとは誰もが呆れていることでしょう。
これは、ターボ嫌いな方のお陰で、本来低速向けに使うスーパーチャージャーを使っているのですから、開いた口が塞がりません。
もはや、次のバージョンアップとして、性能アップのマージンが、全く無いようなスペックです。
この発生回転数から、すで内燃エンジンとしての限界が見えます。
ラージにはXが搭載されず
FRベースシャーシに縦置き直4、直6エンジン搭載モデルとして、ディーゼルや48Vマイルドハイブリッド、PHVが燃費向上の主役として登場しており、ラージ・6気筒スカイアクティブXの記載はありません。 (CX-60~90搭載エンジン)
パワーや燃費で将来性が全く無いと見なされ「失敗X」として認定されたと判断するのが妥当でしょうか。
HCCIは未達成、トロイダルCVTは達成という違い
そもそも「HCCIは未達成」です。日産のトロイダルCVTは、市場から消えてしまったものの、完全実用化している点では、同列に比較することは難しいでしょう。
ストロングハイブリッドやダウンサイジングターボを軽視し、Xを神格化してマツダを没落させた要因は、セドグロに搭載されたトロイダルCVTの比では、ありません。
スカイアクティブX失敗・デメリットのまとめ
スカイアクティブXの失敗とデメリットをまとめました。
- HCCI失敗(当初目標値未達成の失敗)
- SPCCIもプラグ点火で本来の意味を逸脱(当初目標値未達成の失敗)
- スーパーチャージャー追加により、コスト軽減に失敗
- スーパーチャージャーを「高応答エアサプライ」と呼びエンジン単体でのHCCI化に失敗
- マイルドハイブリッドを追加し、燃費とトルクアップ。エンジン単体での燃費向上に失敗
- 本来の欧州規制クリアの目標が失敗。ガソリンエンジン延命の本題が失敗
- 2Lスーパーチャージャーという大排気量、パワー・トルク値の失敗
- 他メーカー1.5L直噴ターボに劣るスペック・価格性能比の失敗
- 補器類追加のコストアップで、ノーマルエンジン比、68万円高の価格設定の失敗
- マツダの本命でありながら、実質販売シェア5%以下の致命的な失敗
- spirit1.1のバージョンアップで、エンジンチューンの限界が見えてしまった状況
- CX-30からXグレード削除、残るはマツダ3のみという有り様
マツダのスカイアクティブXは、2割、3割アップの燃費効果が得られるのでしょうか。プレスの試乗記事を見る限り、過大な内容と思えてきます。
価格もアップするとなれば、スカイアクティブXにコストメリット・市場価値は全くないでしょう。このようなデメリット満載のスカイアクティブXについて勝算はあるのでしょうか。先代アクセラはトヨタ製ハイブリッドを搭載し250万円もしましたが全く売れませんでした。まずは価格を下回ることが必勝ラインとなります。
スーパーチャージャーやマイルドハイブリッドのコストを抑え、230万を下回るイメージでないと、誰が買うのか?
・・・それは熱狂的なマツダ信者だけという事になりそうです。
絶賛・称賛したメディアが知らんぷり:まとめ
コストに性能が見合わない技術オタクの究極
夢の高性能エンジンの位置付けであり、スカイアクティブGの代替モデルではありません。
スカイアクティブXは、最上級モデルの位置付けとして、68万のコストアップは当然なのです。
しかし、パワートルク・燃費性能の全てが、トップモデルに相応しい性能を何一つ兼ね備えていない点で、失敗は発売当初から確定していたようなものです。
当時から素人でも見抜ける内容を絶賛したメディアの凄さ
本記事を公開したのは2018年です。ネット記事の胡散臭さを指摘し、その問題点を指摘して記事を更新してきましたが、当然の結果になったと感じています。その問題点の背景はターボ嫌い・ハイブリッド嫌いに起因しています。
当時、これを絶賛したジャーナリストの凄さ・多さは、日本の自動車メディアの黒歴史・象徴的な事象として刻まれたことでしょう。
マツダファンは、現実を見ない様子
http://bbs.kakaku.com/bbs/K0000584329/SortID=21975384/
当記事について、こちらでスレッドが立っていましたので、ご紹介します。
SPCCIなので、プラグ着火によるシリンダー内加圧で連続着火してます。これは正常な動作です。
スーパーチャージャーも、安定した燃焼の実現に必要なので、単なるいちゃもんです。
マイルドハイブリッドは、出だし、低速領域でノッキングを起こさないために必要です。
特に驚くのは、マツダの言い分を鵜呑みにし、全く疑問にも思わず、賛美的な解釈に行き着くところです。一部のマツダ賛美ジャーナリストと全く同じです。
目的達成のためには補器類の増設は当たり前なのではなく、増設した結果、ディーゼル車やダウンサイジングターボよりも陳腐かつ高コストな性能では全く意味が無いのです。
現状のダウンサイジングターボやストロングハイブリッドに対して勝ち目、メリットというメリットが何一つ見当たらない点が問題なのです。
「性能がイマイチだろうが、コストが高くてもマツダの技術は凄いんだ!」という一般の自動車好きには全く理解不能ですが、マツダファンの熱い思いが伝わってきます。
このようなマツダファンの熱い思いは、一般の自動車購入者には全く理解されないでしょう。
雑誌やWeb上で、いかにスカイアクティブXを絶賛しようとも、一般ユーザーには理解されず、マツダ離れ(売り上げ減)を加速させるだけです。
2024年のXと、次期Zに期待しない業界とユーザー
2024年、Xが消えるのは時間の問題とも言えるモデル設定に絞られました。
2025年、次世代スカイアクティブXエンジンが登場ニュースも消えました。
X搭載ソフトウエアのバージョンアップもSplit1.1止まりで打ち切りです。
次期Zに望みを託すようですが、業界・ユーザーは、Xの実績から何も期待していないでしょう。