ハイブリッドシステムとして日産の第2世代「e-POWER」とトヨタの「THS II」。
具体的なメリットとデメリット、優劣について解説します。
日産e-Powerの特徴
e-POWERはガソリンエンジンを発電専用とし、電気モーターを駆動用に利用するシリーズハイブリッドという方式になります。
日産の電気自動車「リーフ」と同じ大容量モーターを使用し、エンジンで充電するため、充電が不要になる点が特徴です。また、ブレーキを使わずアクセルペダル1つだけで減速と加速が行えるという「e-POWERドライブ」という機能が使えるのも特徴です。
不慣れな時点では、デメリットですが慣れてしまうとモーター走行がメリットと感じる方が多いようです。この点がe-POWER搭載車が売れている理由でしょう。
2026年までにエンジンと同等コストまで削減する想定の5in1新ユニット
e-POWERのメリット
e-POWERのメリットは以下の点があります。
- モーター駆動のため、加速性能がいい
- モーター駆動によるアクセルのオンオフで加減速ができる「ワンペダル走行」便利
- エンジンも回さないためにモーター駆動できるため、低速時は静かである点
- ガソリン発電のため充電不要の点が挙げられます
- 100V AC電源(1500W)をオプション装備(車種限定)
e-POWERのデメリット
e-POWERのデメリットとして以下の点があります。
- バッテリー搭載量が少なく、エンジン発電の頻度が多い
- 「ワンペダル走行」の加減速に慣れるのに時間がかかる
- モーター駆動分のコストがかかり、エンジンカーと比べ価格が高い
- モーター駆動系の故障修理はディーラーに限られる
デメリットとされるているが、そうでもない事項
- 140km/h以上の高速域が苦手(この手の車で問題になることはない)
- エンジン発電のため、エンジン音が室内に侵入してしまい、煩く感じるとされるが、最新型はエンジン音が低く抑えられている。
- 高速走行、実燃費が悪化する。(純内燃車と比べれば良い)
トヨタTHS2の特徴
Toyota Hybrid System(THS)と呼ばれるシステムであり、エンジン駆動による走行とモーター駆動による走行をシーンによって自動的に切り替えるハイブリッド車です。
最新モデルでは「トヨタシリーズパラレルハイブリッド」へ名称変更しています。
遊星歯車を用いた動力分割機構を備え、発電用モーターと駆動用モーターのふたつを制御し、エンジンのエネルギーを、駆動や充電に振り分けます。
シリーズパラレル方式とは
3パターンの駆動を自動的に切り替えて走行するハイブリッドシステムです。
- 電気モーターのみでの駆動
- ガソリンエンジンのみでの駆動
- モーターとエンジンの併用で稼働
THS2のメリット
やはり、トヨタ製ハイブリッドとしての信頼性の高さが挙げられるでしょう。
- モーター駆動のため、加速性能がいい
- 走行シーンに応じたエンジンとモーター駆動を切り分け、燃費効率が良い
- 低速域ではモーター駆動できるため、低速時は静かである点
- エンジン駆動時やブレーキング時のエネルギーを電気として蓄えることが可能
- ガソリン発電のため充電不要の点が挙げられます
- 100V AC電源(1500W)をオプション装備可能(車種限定)
THS2のデメリット
THS2のデメリットは以下の点があります。
- 高速走行時は、エンジン駆動となりパワー不足や燃費悪化が避けられない
- 複雑なシステムのため、価格が高い
- 各種駆動電気関連の故障修理はディーラーに限られる
e-POWERとTHS2との比較、優劣
トヨタは1997年の初代プリウスにTHSを搭載し、進化と熟成を重ねてきたシリーズパラレルハイブリッドです。
一方、日産e-POWERは、純EVから派生したシリーズハイブリッドです。
2世代目に進化し、エンジンの静粛性を一段と向上させ、よりEVに近いフィールとなっています。
項目 | トヨタTHS/2 | 日産e-POWER |
---|---|---|
発売年 | 1997年 | 2016年 |
総合燃費 | ◎ | 〇 |
高速時燃費 | 〇 | △ |
低速時静粛性 | 〇 | △ |
低速域パワー | 〇 | 〇 |
高速時静粛性 | △ | 〇 |
加速性能 | 〇 | ◎ |
ワンペダル走行 | × | ◎ |
AC1500w | △ | △ |
今後のEV化を見据えた場合、100%モーター駆動のe-POWERの方が、電動化に適したシステムと言えます。
燃費面ではトヨタ製THS2がやや有利である点で、燃費重視ならTHS2、ワンペダル走行の新しいフィール重視ならe-POWERという選択をお勧めします。
コメント