カーナビのノースアップとヘディングアップの割合から見た、ヘディングアップ割合は増加する一方である理由を解説します。
ノースアップとヘッドアップの割合
大学生の地図リテラシーと情報リテラシー
大学生の地図リテラシーと情報リテラシーの相関:デジタルマップの有効性に関する考察
江戸川大学の林香織准教授が2015年にまとめた論文、「大学生の地図リテラシーと情報リテラシーの相関」には、大学生141人を対象にしたデータが載っています。なおリテラシーとは、読み書きする能力とか、活用する能力という意味です。
【質問A 地図を自分の進行方向に回した方が使いやすいか?】
はい―82%
いいえ―16%
その他―2%
周囲の地形と地図の向きを合わせるヘディングアップ表示の方が、わかりやすいと思う結果、割合がデータからも見て取れます。ナビが標準設定としているのも、当たり前の結果から導き出された当然の設定値と言えます。GPS地図初心者である大学生が対象ですが、カーナビ地図をすんなりと受け入れる「ゆとり世代、Z世代、スマホ世代」であることが読み取れます。
ヘッドアップの方が使いやすいだけでなく、リアルな地形と地図を一致させることです。
それは「地図を覚えること」に繋がるのです。タクシーや飛行機、船舶、測量、登山など、業務利用・プロフェッショナルな用途では、かなり前から紙地図が完全に淘汰されています。
紙地図は、地名や県庁所在地を覚える学校教材に過ぎない事を明示しているのです。
この程度の知識を現実にオーバーラップさせ、「紙地図を覚えていることが凄いと勘違いしている」ノースアップユーザーの唯一の「よりどころ」すら、時代に淘汰されたのです。
「ノースアップ派」割合は7%!絶滅危惧種の昭和脳
ほとんど「北が上」7
すでに2012年、hatenaサイト上でのアンケート結果(100人中、7人のみノースアップ)、現在、この数値が激減していることが予想されます。ノースアップ:7%、それ以外:93%
純正や社外品を問わずカーナビのメーカー標準設定は「ヘディングアップ指定」ですから、初心者マークの方は当たり前のようにヘディングアップに順応していきます。
ナビ本来のヘディングアップに順応できず、ノースアップを偉いとする昭和脳は、完全に絶滅危惧種となり、時代から淘汰された事がデータからも読み取れます。地図が読めない、方向音痴の方がヘディングアップを使っているのではなく、絶対的多数派の方は、カーナビゲーション本来の使い方に順応していると言えます。頑なにノースアップ設定(北固定)に執着する使い方が、完全な昭和脳であることを物語っています。
ヘディングアップの利用者割合
Microsoft Word – GISA2008論文集_若林080822.doc
- 2008年とデータとしてはやや古く参考レベルに留まります。
- スマホ時代の現在では、機器の推奨設定となる「ヘディングアップ設定」利用者が多い結果とと推測されます。
- 男女問わず、約7割から8割弱がヘディングアップを利用する割合となっています。
- 全体地図の目的地検索では、地図帳ベースのノースアップで検索し、実ナビゲーションでは、ヘディングアップが効率的であるという結果でしょう。
観光案内地図の合理性が示すものとは
カーナビはヘディングアップが正しい標準設定です。ヘディングアップ標準だからこそ、カーナビはあるべき進化を遂げています。
街中に設置された近隣案内図
観光地などにある案内図は、自分の居る地点や道路に対比する地図をヘッドアップ表示しています。それは、観光地を知らない人にとって最善の地図だからです。見る人の位置を現在地と表記し、それに対応するヘッドアップ地図が空間把握にはベストなのです。もし、ノースアップ地図(北固定)を表示しているとしたら、単なる手抜き地図です。
観光客にとって全く意味不明な地図になる事は、言うまでも無いでしょう。
走行ミスを減らし効率的な走りに繋がる
二画面表示の地図で、ミス軽減に繋がる
ヘッドアップ派は、ナビ本来の使い方をするので、ノースアップ地図としての全体的なイメージは、あらかじめ頭の中に入っている方も多いでしょう。
ノースアップ設定の方と違い、ヘッドアップ広域図をリアルに理解する能力(脳内変換)が自然と出来るのです。ノースアップ地図しか受け付けない昭和な脳とは違うのです。
ドライバーは、ヘッドアップの縮小・拡大図の2点セットで視覚的に認識することで、判断力を高め3つ先の交差点を右折するという動作をミスなく行えるのです。
目的地ラインというナビ機能の活用
目的地ライン表示とは、目的地の方角に対して自車位置と最短距離で結んだ直線になります。
カーナビでは、当たり前の機能です。カーナビのヘディングアップ表示に慣れると目的地ラインをよく見る方も多いでしょう。
目的地ラインを参考として、曲がる回数を減らしたり近道を選んだりする方も多いのです。
ヘディングアップ+目的地ライン+2画面表示という、今となっては当たり前の機能を享受できるのです。
ナビの初期値はヘディングアップ
それは、なぜでしょうか?ノースアップ派が語る「地図の読めない人向け」ではなく、「絶対的多数の地図が読める人向け仕様」なのです。その理由とは、実際走る道路に見合った風景となる地図を正確に表示させるからです。それは、正確な判断を間違いなく瞬時に下せるからなのです。
地図が回転するのは、フロントウインドウに映し出される周囲のリアル風景と地図を一致させているに過ぎません。カーナビゲーションにとって、運転者に目標物との位置関係を素早く認識させるには、ヘディングアップ表示がベストなのです。地図を正確に読み取るには「北」という目印は全く不要であり、実際に走る道路と周囲の目標物が一致していることが重要です。コンパスと紙地図からGPSナビとなった現在、ノースアップ表示がいかにナンセンスな表示形態かご理解いただけるでしょう。
勿論、ハンディタイプのGPSがあれば、現在位置と目的地までの距離感や目標物が正確に認識できる点で、山登りでもヘッドアップ設定が標準なのです。
それは、当然地図が読める山岳登山の方向けにもヘッドアップ表示がベストな設定である事を物語っています。
ノースアップにバードビュー(3D)表示は無意味
2000年代には登場していたバードビュー(鳥瞰図)は3D表示で見やすく、リアルな表示に進化しています。紙地図イメージのノースアップは、平面図として紙地図と見比べることに存在意義があるため、バードビュー化してしまうと紙地図イメージが崩れてしまうデメリットがあります。
よって、ノースアップ派にとっては3Dのバードビュー表示は無意味な機能なのです。
グーグルマップ・ポケモンGOはヘディングアップが標準
社会現象ともなったポケモンGOです。あらゆる場面でモンスターを見つける必要があります。今、自分のいる位置と周りの地図をオーバーラップさせるにはヘッドアップが合理的です。それは、ノースアップよりもヘッドアップが、ベストな表示方法であることが理解できると思います。世界標準アプリとして、ヘッドアップの表示形式が採用されているのです。
ウェブサイトのグーグルマップは、ナビでなく紙地図イメージですから当然ノースアップですが、カーナビモードでは、ヘディングアップ指定になります。
ポケモンGO上で、あえてノースアップ設定を行っている方は、「個人タクシードライバー伝説」のように洗脳されている昭和脳なのかもしれません。モンスターを捕まえるのは、ヘディングアップが一番合理的な表示形式と言えます。
究極のナビ「ヘッドアップディスプレイ(HUD)」
すでにフロントウインドーにナビの案内をオーバーラップさせる機能を搭載したナビが登場しています。これはヘッドアップディスプレイ(HUD)と呼ばれます。
パイオニア製カロッツエリアの市販ナビとしては2012年に登場しています。ヘッドアップ画面のリアルタイム表示させる画面が最終的な姿になるでしょう。2020年代となり、フロントウインドーに進行方向を簡易表示する高級車も増えています。
メルセデスのMBUX
(Mercedes Benz User Experience)は、「はーい、メルセデス」でお馴染みのインフォテイメントシステムです。2018年から装備化が進み、車載カメラ映像とナビ画面をオーバーラップさせる機能が実装されています。パイオニア製ナビと同等機能が、メーカーナビにも実装され出したという事です。当然、進行方向メインのヘッドアップであることは言うまでもありません。
ドローンはヘッドアップが当たり前
ドローンが物流を変えるとも言われています。目的となる被写体を正確に捉えるのがドローンの目的です。物流となれば、スタート地点とゴールの関係に過ぎず、これもヘッディングアップで搭載カメラが、障害物を避けながら正確に荷物を目的地に届けるが使命です。
自動車の各種安全装備が、事故率を低減させてきました。その場面では、ノースアップ「紙地図」という概念が全く登場しないことが理解出来るでしょう。
横長の画面はノースアップで活用できるという説は誤り
2000年以降、ワイドディスプレイが増えてきました。
限られた車内スペースの中で横長にすることは表示面積を稼ぐためと思われます。
目的地までの進行方向としては縦長表示の方が都合が良く、横長はノースアップに適しているという説をネットで見かけました。それは本当でしょうか。実際、カーナビの使いこなしが上手い方はツインビュー表示で、片方は縮小、片方は拡大で使う方が多いです。そのため、超ワイドモニターもツインビュー(2画面表示)にすることでヘッドアップに適した表示方法となるのです。
縦長画面の合理性が示すもの
目的地へのカーナビゲーションという意味では進行方向の先の先が見えると非常に便利です。一部車種で採用されている縦長の画面が便利なのです。ツインビュー(2画面表示)による表示は、グルグル回るシーンでは全体像を把握しやすいため、場面によって使い分けると効果的です。画面形状のメリデメを整理します。
- 縦長画面は、ヘッドアップで進行方向が見やすい。(ツインビュー表示の上下分割も可能)
- 横長画面は、ツインビューの表示が見やすく邪魔になりにくい。
スマートフォンは大画面化に伴い、縦長になる一方です。
この画面表示に慣れた世代にとっては縦長画面との親和性が高いと言えます。
縦長センターモニター採用車種
- スバル
- ボルボ
- ルノー(最新モデル)
カーナビのヘディングアップ割合は増加する一方:まとめ
北が上で覚えた昭和
地図帳学習からの紙地図、ノースアップ設定は、カーナビ創成期の話で終わっていました。
- 地図が頭に入っている俺エライ
- 見知らぬ土地に行く際には、事前に地図を頭に入れておく
- 地図を見なくても、現在地さえわかれば良い。俺スゴイ
このような発言は、平成までで淘汰されたと考えられ、現在では絶滅危惧種の扱いでしょうか。
ヘディングアップを普通に使いこなすのが令和
時代は一変し、ネット検索という初期の目的地検索では「ノースアップで」確認し、ナビゲーション時は「ヘディングアップで」という使い方が一般的となりました。
勿論、マップ設定によっては、全てヘディングアップというケースが多いでしょう。
よって、時代にマッチしたヘディングアップを使いこなすのが正しいカーナビユーザーの姿です。