2022年の新型プリウス(5代目)は大幅に車高を落とし、後席の狭さで大失敗したホンダインサイト2代目の悪夢が蘇ります。ダサい、評判悪い、との声が目立つ新型プリウスの失態をまとめます。
5代目の新型プリウス概要
低重心、ローアンドワイドボディで、スポーティ&スペシャリティ路線へ変更。
しかし、こんな車高の低いプリウスって誰が買うんでしょうか。ニーズはあるんでしょうか。
4代目プリウスユーザーのニーズ全無視。販売店、営業現場の声全無視。
狭い、狭すぎるとの評判
使い勝手全無視の内容に旧ユーザーも失望の声も聞かれます。
後席頭上が狭いのは当然として、運転席頭上もAピラーもかなり狭く見えます。
後席は尻部分だけ落とし、もはや「昔のセリカ・スープラ」か?というレベル感です。
実用面では致命的な車高の低さや低いシート高など、スペシャリティ用途に振った4ドアクーペ版コンセプトに失望の声が聞かれます。
評判悪い
スタイリングに惹かれ、興味深々でディーラーで展示車に乗り込むも、想定以上の酷さにネット上で不満の声、評判悪い声が目立ちます。(以下抜粋)
- 前席、後席の乗り降りが窮屈であり、日常の使い勝手が厳しい
- 運転席の着座位置がスポーツカーのように低い
- ボンネットの見切りも分かり難い
- 高齢者には酷な運転スタイルを強いられる
- 高身長男性や後席の稼働率が高い方には、厳しい居住性
- フロントウインドウ上、運転席のメーターが、はみ出し視界の邪魔
- メーターがハンドルと被り見ずらい
- 助手席のシート高が高く感じられ狭い
- 後席のドアハンドルが使いずらい、ハンドル周辺が傷だらけ
- 後席の後頭部が天井に当たる。固い
- 後席のヒップポイントが落ち込み、尻が痛く長時間乗車が辛い
- 後席の膝が曲がり窮屈を強いられる
- トランクの段差で出し入れが不便
- 後方視界が全く見えない(ココは試乗してジックリ確認しましょう)
デザイン優先のスタイリングは高評価
斬新かつ直線的なLEDライトのスタイリングは、先代の初代プリウスに比べて「カッコ悪い感」は少ないでしょう。むしろ、スタイリングについては好印象な方が多いと思います。
ただ、発表済の新クラウン・スポーツやフェラーリ・プロサングエに似ている、パクリだ!という意見も見られ、早くも新鮮味に欠けるオチになりそうな勢いです。
タイヤが19インチに大径化するなど、大径で幅の狭いタイヤは燃費最優先対策ですが、スタイリングにはプラスに作用しています。
ネット上でも先代ほど、デザイン面で致命的な欠点は無いという意見が唯一の救いです。
空力は先代と同等、使い勝手悪化の本末転倒
4代目プリウスのCd値0.24から、5代目のCd値は悪化した0.27とはどういう事でしょう。
5代目のCdA値は同等って、これだけ実用性を犠牲にしたのに、先代を超えてないって意味あるのでしょうか。居住性悪化だけの本末転倒なデザインになっています。
本来、ハイブリッドカーの燃費は空力で稼ぐものではなく、エンジンとモーターの総合性能で効率の良さをアピールすべきです。空力で稼ぐって、それでは全く意味が無いのではないでしょうか。
ちなみに、メルセデスAクラスセダン(2018)は、Cd値0.22です。居住性や乗降性も犠牲になっておらず、Aピラーを傾け車高を下げる必要なく達成可能な数値と言えます。
5代目プリウスのボディサイズ(先代比)
5代目新型プリウスのボディサイズは以下の通り。()内は現行プリウス4代目 ZVW50
もはや、やり過ぎで居住性全無視の車高。先代50プリウスでも不満の多かった後席頭上スペースから、さらに悪化した60プリウスの後席居住性。
- 全長:4600mm(+25mm)
- 全幅:1780mm(+20mm)
- 全高:1420-1430mm(-40mm)
- ホイールベース:2750mm (+50mm)
最高グレード以外、一般グレードの全高1420mmの数値は、後席が狭いと叩かれ、売れ行き不振となった「ホンダインサイトの全高1425mmを下回る低さ」であり、非常に狭い圧迫感を感じさせる、デザイン最優先の車高となっています。
Cd値は先代よりも劣り、何のためのデザインなのでしょうか。
1990年のカローラは車高1365mm
衝突安全性能が現在に比べ、圧倒的に低い時代でした。
30年以上前の標準セダンの車高は、全般的に低かったのです。
また、ボンネット高もウエストラインも低く、スクエアな形状なため、視認性も高く、AピラーもCピラーも切り立っており、実用性・乗降性は、当時も問題ありませんでした。
1980年、90年当時は、それが当たり前の価値基準であったため、問題無かったのです。
2020年代において、その価値基準は通用しないので、ユーザーの不満となっているわけです。
新型プリウスの車高
- 全高:1420mm
- 上級グレードのZ(PHEV)のみ全高:1,430mm
最低地上高
標準145mm、19インチ仕様FF/4WD共に150mm、タイヤ外形アップで走破性も向上。
一般的標準セダンと同等以上が確保されており、低い車高の割に問題ないようです。
直列4気筒2.0L PHEV
- システム最高出力164kW(223ps)
- 0-100km/h加速6.7秒
直列4気筒2.0L HV
- システム最高出力144kW(193ps)
- 0-100km/h加速7.5秒
- EPA(米国環境保護局)燃費:24.2km予想値
直列4気筒1.8L HV
- システム最高出力103kw(140ps)
- 0-100km/h加速9.3秒
グレード構成
上位グレードから、Z>G>U>X となります。PHEVは、Zのみ設定。
ショボイ装備、その筆頭が小さいメーターディスプレイ
トヨタのEV(bZ4X)で採用された「トップマウントメーター」なるものです。
ドライバーの視点移動が少ないメリット以外、デメリット満載です。
小さいメーターがチープ
上級車を見れば、デカさが正義です。センターモニターよりも小さいドライバー向け7インチモニターって有りなのでしょうか?。少なくとも日産ノートと同等以上が、プリウスの責務でしょう。
運転席に乗り込んだ瞬間、チープさが漂う小さなモニターに幻滅感大です。
スピード表示以外、各種警告表示などは従来の位置で十分でしょう。
ドライバー用のメーターモニターが、たった7インチで小さすぎます。ここコストダウンする所なのでしょうか?
視界最悪、ハンドル位置が決まらない最悪の設計思想
このトップマウントメーターにより、最悪な運転ポジションを強いられます。
- フロントガラスの上まで、はみ出し、視界の邪魔
- 通常、ハンドル越しにメーターを見るべきところ、ハンドルより上部から見る設定のため、メーターを見るため、不自然なハンドル設定を強いられます。
- 運転席、ハンドル位置決めを優先すると、メーターにハンドルが被り、メーターが隠れる設計
- 結果、運転席のポジション設定にまで影響を与えるという本末転倒なメーター設計なのです。
ただでさえ、フロントウインドーが傾斜して視界が悪いのに、フロントウインドー上にハミ出す必要あるんでしょうか?。確実に迷走設計ですね。(先代50プリウス比で前方視界も悪化)
上位と標準で差があり過ぎるナビモニター
上位・上級モデルとして、一番大きなナビモニター12.3インチは時代のトレンドらしいサイズ感のようです。逆に新型クラウンと一緒のサイズであり、クラウン側がチープに感じます。
ただし、廉価版グレード用の小さな8インチモニターは、あまりにもチープすぎます。
ここまで差を付ける必要があったのでしょうか?。
今どき液晶パネルなど安価なコストにも関わらず、8インチサイズを平気で採用するぐらいなら、スマホやタブレッド置き場を設けた方が良いレベルです。
大きなディスプレイ用のエアコン吹き出し口に比べて、明らかに釣り合わないチープな小さな8インチディスプレイが悲しくなるレベルです。
4代目はタクシーに向いていたのか
タクシーに使われたのは3代目。
4代目は後席の居住性や乗降性の悪さから、タクシーへの転用率は下がったのではないでしょうか。
プラスチッキーなインテリア
上級モデルだと450万超えとなり、ローダウンスタイルな「スペシャリティーカー」を狙うなら、豪華さを狙ったマツダ車風ソフトパッドが欲しいところですが、ほぼプラスチック感丸出しのインテリアです。
リアドアハンドルの使い勝手全無視
Cピラーに埋め込みのドアハンドルです。スポーツクーペならともかく、ファミリーカーにこのドアノブは無いでしょう。もう、デザインに全振りした新プリウスです。
C-HRが狭さや使い勝手の悪さで販売が低迷している事実を知らないのでしょうか。
C-HRと同様にスタイルが好みならどうぞ!のスタンスですから、子供や高齢者などを含めたファミリーユーザー層を完全に切り捨てたコンセプトです。
それらの不満を述べても無意味でしょう。従来のユーザー層は切り捨てられたのです。
「イヤなら他のハイブリッド車へ乗り換え下さい」のメッセージでしょう。
営業現場や従来のプリウスユーザーの声など、どうでも良いのです。
リアのテールランプがダサい
フロントも両端を下げたデザインではありませんが、リヤ両端を意図的に大きく下げています。
これは好みの問題ですが、横一直線のテールは、レクサスやハリアー、クラウンにより全く珍しくなく、むしろ平凡なデザインになりつつあります。
ただ、「テール両端を下げたデザイン」が全体のシャープさとミスマッチな感があります。
車高を低くしたスポーティ感を強調するスタイルで、ワイド感を出すなら、テール両端を「よりワイドな切れ長にすべき」ところです。にもかかわらず「両端を下げた」ために肉厚感や車高が高い感を出す結果になっています。
- リアオーバーハングの少なさ
- リヤバンパーの突出量の少なさ
上記のリアデザインと、テールランプ両端だけを意識的下げたデザインにミスマッチ感を感じさせます。
私が考える理想のリアデザインを提案します。
初期デザインスケッチをそのまま、実車化するのではなく、ダメなものは修正いただきたいですね。流麗なスタイリングを台無しにしている、リヤテールの目頭下げたデザインです。ボディサイドの切り上げラインからテールに繋がる、ごく当たり前のラインとワイドアンドローのテールランプ形状を「理想像」としてみました。
こんな新プリウスが理想像
デフォルメCGです。こんな新プリウスを旧ユーザー支持層が求めているのではないでしょうか。
3代目プリウスが売れ、ホンダインサイトが自滅した理由
3代目プリウスは大成功を収めました。理由は下記になります。
サイズ拡大による居住性の向上により、燃費やハイブリッドに興味のあった上級モデルのユーザーを取り込めたことが要因として大きいでしょう。
- トヨタのTHS2熟成による燃費性能の向上
- 若年層から高齢者まで、幅広い層に支持されたデザイン
- ボディサイズの拡大により、ファミリー層にも使える居住性により、使い勝手も向上。
インサイトが自滅した後席の狭さ
当時価格的にも安価だったホンダインサイト(2代目 ZE2/3型、2009-2015)に対して、プリウスの圧倒的な勝利で終りました。
「インサイト潰しのプリウス安価モデル設定によるもの」という全く誤った解説サイトもありますが、プリウス勝利の理由は価格ではありません。
理由は、インサイト後席の居住性(全高1425mm)の狭さが原因となり、販売不振に陥ったことです。後席が広いプリウスへ、ファミリー層が一斉に流れたことは言うまでもありません。
インサイトの黒歴史を学んだホンダ
ホンダ側では、この黒歴史を学習し、後発モデルのインサイトでは大型化を進めました。
以降、登場するホンダのHV/FCVモデルでは、居住性を無視したモデルは登場していません。(燃費優先のためにDCT採用によるリコール多発などの黒歴史もあります。)
これは、「インサイトにおける狭さの失敗事例」を学んだ経験が生きていると思われます。
プリウス販売台数推移
3代目の爆発的ヒットから、デザイン失敗による4代目の販売低下も見られますが、10万台超えの台数は、強力なプリウスブランドの成果でしょう。
年月 | 年間販売台数 | 備考 |
---|---|---|
2023年 | 99,149 | 1月:5代目発売(販売目標4300台) |
2022年 | 32,675 | ランキング20位、生産減 |
2021年 | 49,179 | コロナ影響、生産減 |
2020年 | 67,297 | 前年比52.2%、コロナ影響、ヤリス登場 |
2019年 | 125,587 | 前年比108.8%、マイナー効果 |
2018年 | 115,462 | 12月:マイナーチェンジ |
2017年 | 160,912 | ランキング1位 |
2016年 | 248,258 | ランキング1位 |
2015年 | 127,403 | 12月:4代目発売(50) |
2014年 | 183,614 | |
2013年 | 253,711 | |
2012年 | 317,675 | ランキング1位 |
2011年 | 252,528 | ランキング1位、アクア登場 |
2010年 | 315,669 | ランキング1位 |
2009年 | 208,876 | 5月:3代目発売(30):1位 |
2008年 | 73,110 | |
2007年 | 58,315 | |
2006年 | 48,568 | |
2005年 | 43,670 | |
2004年 | 59,761 | |
2003年 | 17,040 | 2代目発売 |
2002年 | 6,698 | |
2001年 | 10,003 | 初代発売 |
3代目プリウスの馬鹿売れによる方針変換
3代目プリウスが馬鹿売れし、他モデルが売れなくなったという弊害も発生しました。
上記が原因で、4代目プリウスのマーケットシェアを絞り、方針変更したというネット意見もありましたが、正しくありません。
4代目プリウスは、燃費最優先の空力デザインは「カッコ悪い・狭い」の評価となり、やり過ぎた「歌舞伎顔」のフェイスは、海外でも失敗となる結果になりました。3代目プリウスでは国内外でタクシーなどへの活用も多く見られましたが、4代目は使えない車になり、他車種を選定する結果になったようです。
海外販売台数拡大を狙った4代目プリウスの失敗
平均身長が日本人より大きな諸外国向けとして、後席が狭い車が売れるわけがありません。TNGA低重心化など、アピールポイントが並びますが、ユーザーにとってどうでも良く、特に欧米がメインターゲットなら販売低下は避けられません。
さらに、欧州車の4ドアクーペはニッチマーケット用途であり、一般人向けではないのです。
3代目プリウスの馬鹿売れから、ここまで販売低迷するとはトヨタも想定外だったでしょう。
ハイブリッド車から電気自動車やPHVに興味がシフトしたことも要因の一つです。
量販を捨てた5代目プリウス
5代目プリウスは、大幅な車高ダウンにより、完全に燃費優先のニッチマーケットへシフトしたとの見方もあります。
もはや、3代目プリウスのようなセダンやミニバンシェアを食ってしまうプリウスから、売れなくても良い、燃費スペシャリティーカー(5代目)としての存在に特化した車なのかもしれません。
ハイブリッド車のラインナップも増え、プリウスはイメージリーダーに特化した実験車両という見方も出来ます。
2023年の新型販売台数は、ブサイクの4代目を超えられず
先代4代目の年間販売台数から、目標値を大幅に削減した数字となっています。
これは、メーカー自らニッチマーケットに絞ったと言えます。ただ、2023年の目標4000台を超えており、部品共有も追いついたせいか、販売成績は好調のようです。
2023年の年間を通した販売台数は、4代目登場時の販売台数を超えることが出来ませんでした。
4代目プリウスがダサい
歌舞伎顔と呼ばれたプリウスは成功なのか
30プリウスでは、高齢者・保守層を含む幅広い世代に対して、普通のセダンからハイブリッド車の世界に引き込むことに成功した先進的なデザインが30プリウスです。そんな成功事例を完全に吹き飛ばす、4代目プリウス前期モデルZVW50型の歌舞伎顔と呼ばれたデザインです。
後期モデルは、無難なフェイスに修正されました。
最近のトヨタ車については、失敗と成功は紙一重のような、デザイン冒険モデルが続々と登場しています。
- 斬新なコンセプトが正義、これを理解できないやつがダメだ
- 欧州では4ドアクーペが流行っているとの誤認により、「セダンを強引にクーペ化するのが若返りと勘違い」する本末転倒。
(欧州ではセダンはそのまま。4ドアクーペはニッチマーケット用専用モデル。セダンとクーペを統合する暴挙は日本だけ。代表例はレクサスLS) - 燃費優先、居住性全無視(ライバルのホンダインサイトを駆逐した過去事例を学ばず)
PHVプリウスのデザインは失敗でなかった
PHVマスクなら買ったのにという声が多かったのです。フロント・リヤとも破綻は無く、今でも通用するデザインです。
ノーマルプリウスのデザインの醜悪原因は、フロント・リヤの「やっこダコ」「歌舞伎顔」だけであり、ボディラインは全体はNGでも失敗でも無かったのです。
単に、PHV版のフロント・リヤデザインであれば、良かったというだけなのです。
プリウスは冒険して良いモデルでなく屋台骨のハズだが
すでに、4代目プリウスZVW50型でも後席が狭いなど、居住性問題が表面化していたのは、周知の事実でしょう。極端に傾斜した天井と後席ドアは、乗車降車の使い勝手が最悪であり、タクシー用途は完全に不向きでした。(写真は4代目プリウス)
特にワールドワイドな量販車プリウスは、ターゲットをファミリーユーザーとして、販売台数を拡大を意図していたのではないでしょうか。
カローラ、コロナの乗り換え先として選んだ方も多く、乗り降り時の不便や狭い後席頭上など、誰も望んていなかったはずです。
燃費スペック最優先モデルのイメージリーダー、プリウスの役目は終わったのではないでしょうか。デザインにしても居住性にしてもHV燃費世界一のコダワリ感があります。
マーケティング全無視、営業現場不在の流れが見て取れます。
開発チームのプライドがプリウス自滅の最大要因
燃費性能でハイブリットを語る時代は終わった
製造コストも含めたCO2排出量としてHV車のパフォーマンスは、まだまだ一級品です。
しかし、全世界的にEV全盛となり、ハイブリッド車は過去の技術とされてしまいました。
今一度「ハイブリッドの栄光を取り戻す」という時代遅れの幻想がプリウス開発チームのコンセプトなのかもしれません。
プリウス一択の時代から、ヤリスやアクアなどの軽量コンパクトHVが存在し、燃費スペックを語る価値すらなくなったラインナップを再認識すれば、向かうべき方向は決まっています。
燃費スペシャル4ドアクーペでなく、正解は3代目回帰であることは言うまでもありません。
ユーザーニーズを全無視したトヨタ開発側のプライド・コダワリなど、どうでも良いことです。
3代目でプリウス自らが築いたコスパと居住性の両立。これを全否定する5代目。
これは、「新型クラウンの過去歴史全否定と同じ」ではないでしょうか。
トヨタガラパゴスのハイブリッド世界一思想は一掃していただき、2代目、3代目で築き上げた燃費の良いファミリーカーとしての使い勝手を優先した車が、プリウスの姿ではないでしょうか。
4代目プリウスの「カッコ悪い」意見
「カッコ悪い」と言われたので、今回は「究極のカッコ良さ」だけに重点を置いた対応に至ったのではないでしょうか。
その結果、従来ユーザーのイメージと異なる、ユーザーが求めていない車が登場して来たのです。
トヨタ車には、豊富なラインナップがあるとか
ネット上では、家族利用を無視した車になってしまった事を認める。
ただし、トヨタ車には豊富に車種があるので、それを選べば良いという、ユーザーも販売店も困らないという、いかにもな論調がありますが、ユーザー意見は下記の通りです。
- カローラは、プリウスよりも格下となり、ここまで落としたくない
- 居住性重視なら、もとともワンボックス選んでいるでしょう。
そこまで要らないからプリウスにしていた。オラオラ顔は好きでない - ハリアー、カムリなどの上級車は、価格は予算、サイズは駐車場的に無理である
結論は、トヨタ側は、ユーザーニーズを満たせていないのです。
今回はユーザーニーズを狭め、トヨタの利益獲得の機会を奪ってしまったのかもしれません。日産ノートなど、他社に流れるケースもあるのではないでしょうか。
立ち位置はBMWの偶数番
BMWの1と2シリーズ、3と4シリーズは、セダンとクーペの切り分けであり、インテリアやディメンションは共通化しています。偶数番号は、現在のフルラインナップ戦略として、奇数セダンと偶数クーペ設定に振り分けているに過ぎません。
メルセデス、アウディもニッチユーザー・隙間戦略として同様の戦略であり、今となっては4ドアクーペは、普通の車の設定です。
もし、この考えたを適用させるなら、「4ドアセダンのプリウス」と「4ドアクーペのプリウス」の2つのラインナップが必要なのです。カローラとプリウスのように全く別物車種ではありません。
BMWを例えていますが、欧州車の今では、ごく普通の実態すら理解していないようです。
また、欧州4ドアクーペは、乗り降りや後席居住性について、新プリウスほど犠牲にしておらず、新プリウスとは全く異なります。もはや、何のための車高下げなのか、非常に理解に苦しむコンセプトです。
メディアの恒例行事
大径ホイールの意見に要注意
燃費最優先で、大径細身タイヤは、BMW i3で実施済。それをプリウス5代目がパクっただけです。
細身大径タイヤは、BMWが10年前に市販済です。
今回のプリウスのタイヤサイズは「195/50R19インチ88H」です。
走りに振ったスタイリングやスポーツカーなどの賛美ワードが並ぶ記事が多いですが、195サイズのタイヤ幅を見れば、燃費最優先であり、235/40R18のシビックとは比べ物にならないグリップパワーしか得られず、チープなコーナリング性能になります。
欧州4ドアクーペは、ニッチマーケット用途
30年前、低車高のカリーナED、プレセア人気は、とっくに消滅した過去の話です。
現在、欧州の4ドアクーペには強い人気もありますが、あくまでニッチマーケット用途です。
量販車セダンにおいて、ローダウン・クーペスタイリングを語るのは、全く無意味と言えます。
ハイブリッド世界一のガラパゴス理論
カーボンボディ、レンジエクステンダー、大径細身タイヤ、などなど市販車として2013年に登場しているBMW i3です。
トヨタがBMWと提携した10年前から、トヨタ製HVを用いたBMW車は一台も登場していません。
一方で、BMW製エンジンを積んだスープラが登場する始末。
この事実から、HVは使えない、要らないと見切った欧州勢。
「欧州は、ディーゼルがNGになったから、EVに切り替えた」などというガラパゴス理論で、欧州を非難する前に、欧州側のEV/PHEV技術が、「日本よりも遥か先に進んでいた事実」がベースなのです。
「Aピラーがジャマ」を擁護する論評
プリウスの話になると相当の確率で「Aピラーが寝ていて視界悪く圧迫感もある」みたいなことになる | 自動車評論家 国沢光宏 (kunisawa.net)
- シートの設定が一番上だから、ジャマな理由
- シートの設定を一番下に下げれば問題ないらしい
こんな簡単な方法で解決するなら、誰もジャマとは言いません。
むしろスポーツカーの方が、ジャマにならないAピラーです。
2022-2023カーオブザイヤー受賞
授賞理由(本家サイトより、コメント引用)
首脳陣からはコモディティ化を進める案も出たが、それを覆したのは開発陣の熱意。クリーンな車というだけでなく、愛される車を目指した。
先代はブサイク、カッコ悪いと叩かれ、意地になっただけでは?
これまで空力性能最優先だったボディは、スタイリッシュなモノフォルムに大変身。Cd値では従来型に少し劣るものの、前面投影面積を減らすことでCdA値は従来型並みに抑えることに成功している。
これ、全く褒めておらず、完全にディスってるコメントですね。カーオブザイヤー公式サイトで、受賞車両に対して、このコメントは注目に値する内容ですね。
- 従来型に劣る
- 従来型並み
新型プリウス大失敗のまとめ
後席が狭い、運転席の乗り降りも高齢者や家族に厳しいという当たり前の声が聞こえてきそうです。
特に高齢者やファミリー層のプリウス指名買いユーザーがショールームで乗り込んだ瞬間、嘆きの声が聞こえてきそうです。「デザインは良いのに、使い勝手がダメだ」と。
燃費とか加速とか、もう歴代ハイブリッドユーザーにとって、優先順位は限りなく低いのです。
斬新なデザインも4代目で、ユーザー目線でなく、完全にスペックオタク、ガラパゴスになってしまったようです。
プリウスの手によってライバル・ホンダインサイトを駆逐した歴史を学ばず、ホンダインサイトの歴史を自らリピートする、そんな新型プリウスに未来はありません。
新型発売後の売れ行きは、先代を超えられず
この実績を見る限り、ブサイクと叩かれた先代4代目の半分にも達していません。
年月 | 年間販売台数 | 備考 |
---|---|---|
2024年上半期 | 36,790 | |
2023年 | 99,149 | 1月:5代目発売(販売目標4300台) |
2016年 | 248,258 | ランキング1位 |
2015年 | 127,403 | 12月:4代目発売 |
カッコだけが取り柄の5代目プリウスは、新型モデルに飛びつく「新しもの好きのユーザー」に行き渡ったあと、2024年以降の販売実績は、早速下降線の傾向を示していると思われます。
やはり、スタイリングで飛びついた層が、日々の使い勝手における不満の声を広めてしまうのも時間の問題なのでしょう。