SDVとは「ソフトウェア・デファインド・ビークル」の略です。車と外部との間の双方向通信機能を使って車を制御するソフトウェアを更新し、リリース後も機能や性能を向上できる自動車のことです。日本車は、この機能出遅れているのかを解説します。
SDVの本質とは
この部分では、テスラが圧倒的に進んでいて、同等レベルで中国車が追従している形でしょう。
テスラはIT企業としての発想がベースにあり、通信によるソフトウエアアップデートにより、不具合の修正を予め考慮した設計としたことです。
さらに、自動運転、車載エンタメ機能の統合化など、ソフトウエアアップデートを想定した設計が2010年代前半から実施されていた点が強みです。
最新のSDV
- SDVにより、有料でソフトウェアをアップデートすることで、新たなサービスや機能を提供
- これが、SDVによる新時代の収益源となる
- すでに米テスラは無線通信を使って車の機能をアップデートするサービスを提供
テスラは、IT的な発想ベースであり、当たり前の話
PCや家電、スマホでもソフトウエアアップデートは、当たり前となっています。
自動車とて、一部のECUに限定されず、分散化したCPUを一纏めにして統合制御する方が合理的であるとの結論になるのは、ごく自然な流れと言えます。
従来自動車メーカーとの大きな違い
老舗自動車メーカーが築いたテクノロジーが最新であり、効率的であったとする考え方は、テスラの登場により、もろくも崩れ去りました。
- 内燃メーカーのプラットフォームの方が優れているはず
- 内燃メーカーのハイブリッドテクノロジーがあればBEVでもトップを取れる
- ハードあってのソフトウエア
- ハードとソフトウエアの性能はイコールであるはず、もしくは超えられない
このような、内燃メーカー、ハードファーストな考え方のメディアもまだ存在するようですが、それは誤りです。
ソフトウエアファーストは正しい
極端に言えば、O/S(オペレーティングシステム)の基礎がしっかりしていれば、何でも良いわけです。基礎がダメでも更新が可能であれば、アップデートによる改善も可能です。
- CPUの性能:低機能、高機能
- 自動運転:センサー、カメラの質や量
- 駆動ユニット:ICE/HV/PHEV/BEV/FCEV
- 快適装備、安全装備の種別
ハードウエア、接続デバイスの性能や新旧種別を判断し、それに適合したドライバーやソフトウエアをインストール、更新すれば良いのです。
最終的な姿で言えば、駆動ユニットの種別も問わなくなり、集中ソフトウエアで制御できるようになるのです。
ハードは単なる部品でしかない
ここまで理解いただければ、最終的にハード側が一定の性能を保持していれば、数年のバージョンアップに耐えられ、最新の機能を享受出来るという話です。
旧式のアイフォンであろうが、「最新ソフトさえ動けば」、相応の品質にアップグレードできるのです。ハードが旧式であれば、「一部の機能が使えないだけ」、という話です。
ハードとソフトの機能が同期する必要はない
ハードとソフトは両輪関係であるという話は、ごく一例に過ぎません。
よって「最新ソフトウエア >= 低性能・旧型ハード」の関係が成り立ちます。
さらに、ハードの性能を超えるソフトを積んでも宝の持ち腐れですが、ソフトウエアの高機能化によって、古いハードをカバーするような、ソフト的な使い方も出来るようになるのです。
ハードはボルトオンで交換、ソフトはアップグレード延命できる
PCのスペックは低くても、可動スペックさえ満たしていれば、最新O/Sとアプリが動きます。
ハードが、高速通信で結ばれ、規格さえ統一できていれば、将来的にボルトオンで交換出来るのです。
CASEによる車載システムの変革期
CASEとは(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)略です。
- 通信ネットワークにより、繋がる(Connected)
- 自動運転の高度化(Autonomous)
- 共同利用、サービスの提供(Shared & Service)
- 電気自動車によるCO2削減(Electric)
この点でも日本メーカーの出遅れが目立つ
電気自動車で世界のトップに立つ事を後回しにして、内燃エンジンベースの雇用温存を重視し、FCVなどに遠回りしてしまったが故に、電気自動車的な合理化の発想に出遅れてしまいました。
これらは、部品点数の少ない電気自動車だからこそ、既存の発想に囚われない大胆な合理化に踏み込めたと言えます。
しかし、純内燃車やハイブリッド車で、全くできなかったかと言えば、それは言い訳に過ぎません。
動力源の部品として考えれば、ICEもBEVも一緒
自動車も以下のように、2つの機能に大別した場合、ICEもBEVもO/Sから見れば、単なるデバイスに過ぎません。
- パワーユニット(ICE or BEV)
- それ以外のハード全て
自動運転制御において、パワーユニットへの命令は、アップ・ダウンでしかないのです。
ICEとBEVの微細な差異をO/S側で行うのか、デバイス側で受け持つのか、メリデメもあるでしょうが、処理を効率化すれば、とことんソフトウエアの進化で吸収でき、ハードウエアの部品点数を削減できるのです。
ECUでも日本車が出遅れ
現在の自動車にはECUが搭載されており、その数は100を超えるとも言われています。
ECUとはElectronic Control Unitを意味しており、システムを電子回路を用いて制御する装置(ユニット)の総称のことで、主に自動車に搭載されるものを指しています。
日本車では、この取り組みが遅いことが指摘されています。
各ハード部品毎にECUを分散させることのメリットもありますが、最終的には末端のECUを減らし、集中制御させていくことにより、ソフトウエアファーストをさらに高度化させていくことが出来ます。
引用:ev-smart
上記のテスラ方式は、部品点数を減らし、ハード・ソフト共に合理的であるか、分かり易い図です。分散化として一見合理的であるものの、統合ECU側が直接ハードを制御できず、非効率です。
日本車はSDVで出遅れなのか
ソフトウエアファーストな考え方がクルマを変える
- SDVの対応範囲が広がりバグ改修、機能追加など様々なメリットに繋がる
- ハードは単なる機能に徹し、コントロール制御を集中化させ、ADASの効率化にも繋がる
- いまどきハードウエアファーストな考えを唱えるメディアは日本だけ