91万人の会員を誇る個人間でも車を貸し借りできるカーシェアサービス「Anyca」(エニカ)が2024年末でAnycaサービス終了となった理由、なぜか解説します。
個人間のカーシェア「Anyca」の概要
2015年にサービス開始
Anycaは、個人間カーシェアサービスとして、DeNAが2015年9月にサービス提供が開始されました。スマートフォンの公式Anycaアプリなどを通じて、「個人が所有する車を登録」して「他のユーザーに貸し出せる」シェアリングエコノミーのサービスとなります。
その後、個人だけでなく、自動車ディーラーや企業が所有する車両などにも対象を広げました。
日本国内最大の個人間カーシェアのプラットフォームであり、提供サービスとなります。
2019年に株式会社DeNA SOMPO Mobilityが事業継続
DeNAとSOMPOホールディングスが立ち上げた合弁会社が事業継承
2024年12月31日にAnycaのサービス提供終了
- 2024年10月15日:新規の登録受付終了
- 2024年10月31日:新規シェア予約受付
- 2024年12月31日:サービス終了
個人所有の車をカーシェアするメリット・デメリット
メリット
- 個人の愛車を貸し出すことで、貸出費用を車検やガソリン代などの維持費に充当する
- 長期間乗らないことによるバッテリー上りを防げる
- 長期間の出張や旅行などで使わない期間、車の有効活用に繋がる
- 個人間の貸し借りによる個人の繋がり効果
- 都市部、駅に近いなど利便性が良い場所だと、収益も向上
- 人気車種だと、収益も向上
- 経験値、評判・評価を上げる努力により、収益も改善
- レンタカーよりも安い費用で高級車や旧車に乗れる
- カーシェアプロテクト(ドライバー保険)でリスクを一定カバー
- 個人所有の資産(車)を有効活用(カーシェア)により、副収入に繋がる
- シェア率が高い場合、車の維持費を超えるような、収入源になる場合も
- 貸出と返却時、対面および非対面のどちらかを選べる
- 個人シェアだけでなく、一部ディーラーもシェアに参入
デメリット
- アプリの使い勝手が悪い
- 一時的なシステム遅延の発生があった
- 不便な場所、田舎など、利便性が悪い場所だと、収益も低下
- 不人気車種だと、収益も低下
- 経験値、評判・評価を上げる努力を怠ると、収益も低下
- 利用者評価が新規や低い方による転売事例の発生
- 全く知らない第三者に車を貸すことのリスク全般
- 貸与後のキズや事故、汚れ、匂い、雑な扱いなど不具合発生リスク全般
- 貸与中のキー複製による事後盗難
- あくまで個人間シェアという扱いであるため、個人に委ねる点とリスクに対する保険の範囲が曖昧
- 借主側が、保険に入るのですが、その費用が高い(事故率が高いので当たり前)。その結果、街中の一般レンタカーと価格が逆転するケースもある
- 万が一、事故発生後、費用は全額保険会社が持つものの、各種手続きや交渉が発生
- 貸出側が、給油、駐車場所移動、清掃や盗難対策などの事前の手間が発生
- それらの手間を惜しまず実施しても、期待したシェア収入が得られないケースも
- 利用状況が借主の自己申告であるため、利用中の実態は不明
- プライバシーの観点から借主がドラレコ削除の場合が多い
- 運営側の事務的なメール対応
- 問題発生時、運営側の警察丸投げ対応(あくまで自己責任、個人間の対処)
- 返却遅延、返却延長時のシステムが不明瞭で貸出側に不利な面も
- 上記トラブル多発により、結果的に保険料が値上がりし、レンタカーの方が安上がりのケースも
個人間カーシェア「Anycaサービス終了理由」:まとめ
個人間サービスは、ヤフオク・メルカリレベルが限界
個人間オークション売買は、世界的に普及しました。利用者において売買トラブルはゼロとは言えないものの、リスク軽減に繋がる各種取り組みがシステム化され、利用満足度の改善が図られてきました。利用リスクのデメリットよりも、メリットが上回った結果と言えます。
一方、今回の個人間カーシェアでは、いきなり保険扱い級のトラブルも発生します。
利用者満足度の低下が、改善の取り組みでも一向に向上せず、利用者拡大に寄与しなかったと推測されます。
また、貸出から返却までの利用過程をシステム的に完全モニタリングすることは、プライバシーの観点でも難しく、借主の性善説によって成り立っているサービスです。
今後、同様のサービス再開・復活は難しい可能性が高いでしょう。
Anycaのサービス終了理由(公式説明)
「サービス開始当初から描いていた規模には遠く及ばず、結果としてサービス終了を決定した」
となっています。
個人間カーシェアのサービスは画期的だったが
ビジネスモデルとしてはスタート時点では画期的であったものの、誰もが思い描くような想定リスクの対処方法について、後手後手に回ってしまったことが、利用者の増加に繋がらなかったと推測されます。
- アプリを上手に使いこなす方
- 希望の車を安く借りることが出来た方
- 休眠車を活用して、収益を上げてこられた方
上記の方は、ほんの一部に限られ、91万人の登録者の大半がメリットを感じられず、前述のデメリットにより利用率が減少し、運営会社としてサービスを継続できなくなったと推測されます。
結果、「サービス開始当初から描いていた規模には遠く及ばず、結果としてサービス終了を決定した」という、まとめとします。