ホンダと日産のEV全振りは失敗だとするメディアってどうなんでしょう。
CO2規制強化、BEV化は避けられません。最大の中国市場を捨てたとしても日本メーカーのBEV出遅れは避けられない状況を解説します。
世界のCO2規制強化は、何ら変わっていない
- CAFE規制
- ZEV規制
- NEV規制
世界的なCO2規制強化は決定・合意済事項です。特に欧州規制は厳しく法的な拘束力を持つものです。これを自動車評論家は知らないはずはありません。
VWの生産縮小やBEV低迷のニュースを大々的に取り上げたところで、世界的な決定事項・合意事項を破棄するに至っていません。
BEV推進は失敗だったと、全世界が失敗認定宣言していない
日本国内の一部評論家の主張は、BEV推進から手のひら返しです。
- VWの生産縮小でBEV失敗は確定した
- テスラの前年割れでBEV失敗は確定した
- 欧米市場でもBEVのシェアは予定通り進捗していない
- トヨタHEVが正しかった
- よって、日産ホンダのBEV推進策は失敗である
- 即、HEV/PHEV開発にシフトすべき
しかし、世界最大の自動車市場となった中国では欧米日韓の自動車メーカーの販売低迷が顕著となり、中国製BEVとテスラのみに絞られるような極端な状況となっています。さらに、このまま進めば日産ホンダも撤退は免れないような状況となっています。
欧米中地域のHEV排除のカウントダウン
欧州委員会のCO2規制事項に変更はなく、強力な規制(fit for 55)により、ストロングハイブリッド車ですらクリアが厳しくなるような強烈な施策が実施されます。
中国では自国製BEVが席巻する勢いであり、日本製HEVが強みを発揮できるのは、日本と北米市場しか残らないような状況なのです。
(日経モビリティ、引用2024/11)
欧州連合(EU)が2025年に強化する新車(乗用車)の二酸化炭素(CO2)排出規制について、現状の水準ではトヨタ自動車など自動車大手が軒並みクリアできないことがわかった。米非営利団体「国際クリーン交通委員会(ICCT)」がこのほど調査をまとめた。23年実績で規制値を達成しているのは大手では米テスラとボルボ・カー(スウェーデン)だけにとどまる。
フランスや欧州自動車工業会(ACEA)が2025年規制の延期を求めていますが、現時点ではこのまま続行する可能性が高いようです。
ホンダ日産はEV出遅れの状況は変わらない
日産リーフという、テスラよりも安価なBEVを世界市場で早期に投入した日産です。
FCV要因で周回遅れとなった日産ホンダ
当時の世界の最先端技術でもあった日産製BEVを中心とした電気自動車を国策の中心として推進すべきところ、オワコン認定され市場から消えつつある水素燃料電池車(FCV)に傾注した結果、日本製電気自動車(BEV)は、世界市場から完全に周回遅れとなりました。
ホンダFCVクラリティも全く売れず、失敗・撤退となりました。
トヨタに翻弄された日産・ホンダ
プリウスという低中速の燃費向上に特化したハイブリッド車に影響され、電気自動車という世界の潮流を無視し、ハイブリッド開発に邁進していきます。
プリウスを意識し過ぎて、「i-DCD」という欠陥ハイブリッドを生み出したりしました。
日本市場や政府が、トヨタだけを向かず、世界市場を意識したBEVインフラの促進に努めていれば、日産リーフがここまで長寿になることは無かったかもしれません。
トヨタ製THSに頼らない独自HEVシステムが確立
某一部評論家は、ネガティブな記事を連発していますが、ホンダも日産も各種ハイブリッド製品の試行錯誤を経て、ホンダ製e-HEVと日産製e-Powerは世界市場でも戦える性能と競争力を保持していると言えます。特にe-Powerは欧州アウトバーンでも使えるシリーズハイブリッド性能を保持しており、某評論家の論調は誤りです。
ホンダ日産陣営のEV推進はオワコンなのか
e-HEV、ePowerはダメとしたいメディア
特定の一部評論家が、ダメ出ししていますが、HEVがCO2規制強化で市場から締め出されるまでの間は、ホンダ日産製HEVであってもモデルラインナップの主力として戦えるだけの商品力を保持していると言えます。
- 日産ePowerは、欧州アウトバーンでも使えます
- ホンダe-HEVは、ハイブリッドでも熟成の域
- 北米ホンダのプロローグは売り上げを伸ばしている
ホンダ日産陣営のEV推進は世界の潮流に沿っている
VWのように急ぎ過ぎは禁物ですが、日本の全メーカーはBEV/PHEVランキングに一台も入っていない状況下、出遅れていないとする論調はナンセンスです。
2025年の欧州規制値は、あのトヨタ製ハイブリッドも超えられない
2025年の欧州規制値は、あのトヨタ製ストロングハイブリッドも超えられないのです。
2030年、2050年のゴールポストが変更される可能性は、無くはないのですが、ただでさえ純100%バッテリーEVで遅れを取っている日本メーカーですから、ホンダ・日産の施策方針は、何ら変更する必要はないという結論です。
ホンダ:BEV出遅れの実態
ホンダeは論外とすれば、欧州、中国市場における、ヴェゼルベースのBEVを市販化済。
その他、新開発のBEVも続々ラインナップ済ですが、中国勢に比べて時期を逸していると言えますね。北米プロローグは好調のようです。
日産:BEV出遅れの実態
e-Powerというハイブリッドモデルは、独自進化を遂げて、シリーズハイブリッド最強モデルになっています。欧州アウトバーンにも対応するエクストレイル用1.5Lターボe-Powerがあれば、アルティマもカバー出来るでしょう。
BEVとして、最新アリアは世界市場では、コスト競争力でかなり劣っています。よって、日産リーフやアリアで、日産EV技術が「出遅れていないとするメディアは完全な誤り」です。
ホンダと同様に世界市場で、まともに売れるBEVとしての進化は、まだまだ必要なのです。
欧州メーカーのEV化が座礁し、慌ててHEVやPHEVにシフトしているのか
日産やホンダはEV全振りは失敗とする誤ったメディアが溢れる中、もっとも誤りなのが、欧州がEV頓挫で、HEVやPHEVにシフトという話です。これが一番の誤りですね。
ISG(エンジンとミッションの間に配置)のベンツ登場は2018年で開発はもっと前です。
BMW i8のPHEVも2014年登場であり、パワーアシスト型HEVであれば、2009年まで遡ります。
欧州規制クリアのため、48V-MHEVやPHEVのモデル数は、国産車の比でないことをメディアは報じていません。
EV全振りは失敗なのか、日産ホンダの施策変更は不要:まとめ
バイデン政権下でも欧州ほど、北米市場はBEVの規制強化を強行していません。(カリフォルニア州などの一部地域を除く)
これは、日本と同様にBEVを推進したくない化石燃料系の抵抗勢力および内燃エンジン業界・ユーザー層の強力なチカラが働いているからです。
世界最大の中国市場は撤退が濃厚
ハイブリッドが強いトヨタですら、シェアを大きく落としており、内燃エンジンの販売シェアは縮小の方向感です。日本製PHEV/BEVの競争力は低く、中国市場で入り込める余地はなく、中国国内の販売は、ジリ貧確定でしょう。数年後には、見る影も無くなっている惨状(撤退も含めて)も予測されます。
日本と北米市場だけなら、今のままで良いのか
アメリカ国内での生産以外は、高関税を課す流れです。メキシコやカナダ製は、高関税となる可能性が高く、価格面でのメリット・競争力を失います。
日本は、トヨタHEV/FCEV政策支援一択のため、BEVについては軽視のスタンスであり、オールジャパンで戦う体制では一切ありません。
日本と北米市場だけでは、規制も緩く内燃エンジンやHEVを主力販売できるのですが、日本と北米市場だけでは、現在の生産体制を日本製メーカーは維持できなくなることが確定しており、生産規模の縮小は免れないでしょう。
2030/2035/2050の電動化規制強化のカウントダウンに備えて
EV全振り施策を変更する必要など一切ないという「まとめ」
すでに欧州2025年にタイムリミットが迫っていることを国内メディアは全く報じませんが、トヨタ製ハイブリッドがクリアできない規制強化が実施されます。
よって、いまさらHEV開発など、どうでも良いのです。
ホンダ・日産はBEV出遅れを挽回しつつ、既存のe:HEV/e-Powerのモデルラインナップを拡大することぐらいしか、残された手段は無いのです。
ホンダ日産は、国内メディアの論調など気にする必要はありません。
世界市場の電動化の潮流は、全く弱まっていません。BEV推進と既存HEV拡充でもシェア低迷から抜け出せなければ、日本製自動車のオワコン化により、ガラケーの道をたどる運命です。
その根本原因は、全て水素燃料電池(FCV)を推進した失策であったと言えます。