CNFは、EVよりも採算に見合う未来の救世主なのでしょうか。
この期に及んで「CNFのゲームチェンジ」などという論調が現実的でなく、CNFゲームチェンジは来ない理由を解説します。
CNFは現時点マイナーであり王道に成り得ない
CNF(カーボンニュートラル燃料)は、なぜ普及しないのでしょうか。
バッテリーEVの問題点を否定するレベルに達しておらず、CNFを取り巻く環境は、将来BEVをこえることなど、夢物語な状況を理解する必要があります。
マルチソリューションとして、CNFの選択肢は否定しませんが、現在のBEV普及速度と世界の規制強化の状況を考慮すれば、BEVと同等以上の土俵で語ることは意味が無いでしょう。
CNFはオワコン化しつつある
- 水素
- バイオディーゼル
- バイオエタノール
- メタノール
- E-FUEL
- バイオマス
上記の中で、採算と一定のシェアを一部の地域で確保できたのは、「バイオエタノール」のみです。
「バイオエタノール」はブラジルにおいて、化石燃料並みのコストで流通させることが可能となっています。
バイオエタノールの欠点・デメリット
森林破壊と食料生産との競合
一見、クリーンエネルギーのように見えます。
しかし、バイオマスエネルギーを大量に確保するためには、森林の破壊が起こっています。
サトウキビやパーム油のような作物のために森林が伐採され、先進国がバイオエネルギーを安易に輸入すると破壊が拡大することが指摘されています。
さらに、バイオエタノールの生産には、食料生産との競合問題があります。
燃焼により、二酸化炭素を排出する本末転倒
せっかく、原料の植物が生長する過程で光合成によって吸収した大気中の二酸化炭素です。
しかし、バイオエタノールの燃焼によって二酸化炭素を排出し、大気中に戻してしまっては、温暖化を減少する効果を望めず、現状維持です。
地表の循環炭素量を増やす事が無い点は、メリットでなく、デメリットなのです。
これでは「カーボンニュートラル」に繋りませんね。
バイオエタノールがエンジンを腐らせる
バイオエタノールは、そのまま利用したり、ガソリンと混ぜたりすることで内燃機関の燃料として活用することができます。ガソリン用のエンジンでも、構造上はエタノールを燃料としても問題はないとされています。
ただし、現在のガソリンエンジンはアルミニウム部品が多数利用されており、これがエタノールによって腐食するという問題が残されています。
現在の日本では、E3(ガソリンへの混合率3%)までならば安全であると見なされており、より高濃度の混入に対応するために、技術指針の整備などが進められています。米国の一部の州ではE10(混合率10%)の販売が義務づけられており、またブラジルではE20(混合率20%)のエタノール・ガソリン混合燃料が一般に販売されています。
このリスクを冒してまで、バイオエタノールを使うメリットは、ブラジルなどの国に留まるでしょう。
バイオエタノールの生産地域は限られる
サトウキビやパーム油を生産する温暖な地域と土地は、限定されます。
地域限定作物であるがゆえに、生産・運搬・精製の問題が生じます。
夢のような代替燃料として語られるバイオエタノールですが、BEVやガソリン・ディーゼルに比べて、その実用度や普及度は限りなく低いと言えます。
CNFがロータリーや水平対向エンジンを延命する救世主なのか
水平対向エンジンの継続利用は、THS2の併用化による延命策であって、CNFが要因ではありません。それは、ロータリーも同様です。
バイオエタノール先進国のブラジルの自動車販売台数(2023)において、現代自動車に次ぐ5番手にトヨタが登場する時点で、スバルやマツダにとって、内燃エンジンの救世主としての役割は一切ありません。
もはや、トヨタもCNF、特にバイオエタノールを救世主に位置付けているわけでもない点は明確でしょう。
メディアは、どうしてもBEV敗北、内燃エンジン勝利のシナリオに持っていきたいようですが、CNFやロータリー、水平対向エンジンを出した時点で、やり過ぎ感が漂う、強引過ぎる内容と言えるでしょう。
CNFはゲームチェンジャーでなくオワコンである:まとめ
- CNFのほとんどは、採算に見合わないオワコン燃料
- 唯一、希望の光であるバイオエタノールは、欠点だらけのオワコン燃料
- バイオエタノールは燃焼時に二酸化炭素を排出する
- バイオエタノールは、森林破壊を招く本末転倒
- バイオエタノールは、食糧生産と競合する
- バイオエタノールは、気候的な地域限定の生産品
- ロータリーや水平対向エンジンにおける希望の星でもなんでもない
- 現時点、CNFはBEVに対して優位性を語る次元に無いという「まとめ」になります。