ホンダの新フラッグシップセダン「新型アコード」です。
これは、ダサイのか失敗なのか、セダン不人気の日本における新アコードの動向を解説します。
新アコードの価格とグレード体系
11代目の新アコードは2024年3月発売、価格は544万9000円から
先代10代目は2023年1月に生産終了しています。(写真は11代目)
グレード名 | 北米価格 | 日本予想価格 |
---|---|---|
LX | $27,895 | 404.5万(日本導入無し) |
EX | $29,910 | 433.7万(日本導入無し) |
Sport Hybrid | $32,195 | 466.8万 |
EX-L Hybrid | $33,840 | 490.7万 |
Sport-L Hybrid | $34,175 | 495.1万 |
Touring Hybrid | $38,190 | 553.7万 |
日本は「TOURING LINE」と「SPORT LINE」の2グレード設定
日本向けは、2.0Lの全車ハイブリッドのみ
メーカー小売希望価格は消費税込みで544万9400円より(2024/3)
- EX:ツーリングライン相当
- Sport:スポーツライン相当
Honda|Honda Access|アコード 早くもアクセサリーのラインナップが先行公開
北米価格を見れば、妥当か
日本ではレジェンド無き現在、ホンダフラッグシップモデルとして、中心的なグレードは、EX-L/Sportのハイブリッドのグレードとなるでしょう。
ひと昔前は、北米価格は、割安な価格設定に思えましたが、現在の円安の状況下では、日本と大差無い価格設定と感じるかもしれません。(1ドル145円換算)
ライバルはカムリ
- アキュラインテグラ:$31500-36500
- アウディA4:$40300-42400
- トヨタカムリ:$24200-36645
ボディサイズ、価格レンジ、ハイブリッドモデルも含め、北米における想定ライバルはカムリになります。
カムリは、モデル末期による、現地の値引きなどで商品力を維持できているように思えます。(日本では生産終了)
価格とサイズ感がカムリ級、日本ユーザーには響かない
最新ホンダアコードは、11代目となりました。(全車、タイで生産)
カムリに比べた商品力が劣っていた先代アコード10代目は、2020年に登場ですが、非常に短いライフサイクルで消える運命となりました。(走行面では優れているものの、それ以外は割高感もあり、微妙な立ち位置)
今回のモデルでは、先代アコードに比べて、かなり商品力を強化してきました。
ただし、ハイブリッドモデルでは込500万超えとなりますので、欧州勢や国産SUVに対して魅力的なコスパがあるのか微妙なところでしょう。
また、スカイラインやクラウンクロスオーバー、レクサスES/IS購入検討層にとって、同じセダンとして気になる存在る存在かもしれませんが、全く眼中に無いと思われます。(自動車評論記事にありがちなライバル対決は無意味)
DセグメントかEセグメントか
Dセグメントの代表車種、BMW3シリーズにメルセデスCクラスに対して、アコードは、果たしてライバル車たるスペックでしょうか?。価格もサイズもプレミアム度も上記の欧州ライバル車とは程遠いのですが、Dセグメント「アコード」と語るメディアが多いです。
一方、サイズ感は、メルセデスEクラス級のEセグメント。
本来、ライバル車相当のカテゴライズを語るマーケティング用語だった「セグメント」なるキーワード」は、現時点、基準が完全崩壊しています。むしろ、現時点のセグメントとはボディサイズ全長を語るだけに留めるべきです。
本ページでは、アコードをEセグメント(全長サイズのみで分類)と定義します。
アコードブランドは、レジェンドに成りえない
レジェンドは生産終了となり、日本向け最上級セダンはアコードがその役割を担うようです。
しかし、ホンダ関連の関係者以外、レジェンドの代替車として購入しないでしょう。
ボディサイズ的にEセグメント、カムリ級の魅力は備えていますが、旧レジェンド、旧レクサスGS級のオーラ、高級感を兼ね備えてはいない点がポイントです。
伝統のアコードは格付けイメージは、ホンダファンの価値観として染み付いており、北米市場ならいざ知らず、日本ではセグメントの変更に顧客は追従できません。
- 国内向けオデッセイを生産中止し、ステップワゴンで代替するぞ
- ステップワゴンの全長を拡大
- 後期型オデッセイ販売上向きなのに、急遽販売中止の無策
- ステップワゴン大ゴケ・・・中国製オデッセイ輸入で、販売再開の顛末
センターモニターは、7インチと12.3インチ
この価値観が5年、10年遅れています。
今どき、低グレードであっても「7インチスタート」は有り得ません。400万超えのクルマに7インチを設定する愚策が、海外に軸足を置いているホンダマーケティングの選択なのでしょうか。
さらに上位グレードの12.3インチも今となっては、ごく普通のサイズであり、新プリウスレベルです。レジェンドの代替としてのフラッグシップなら、メーター液晶12.3インチ、センターモニター液晶は14インチ越えでしょう。
まず、コストを掛ける最優先のポイントは、センターモニターの大きさが正義です。
なお、ヘッドアップディスプレイは11.5インチです。
新アコードのボディサイズ
ボディサイズ
- 全長:4971mm(先代比70mm拡大)
- 全幅:1862mm
- 全高:1450mm
- ホイールベース:2830mm(先代同様)
全長約5mに迫り、全幅1850mm超えとなり、日本の駐車場環境では厳しいケースも出てくるでしょう。完全に海外向けEセグメント級のサイズとなりつつ、価格帯ではその下級ゾーンを狙うコンセプトになりました。ボディサイズ感的には、日本のアッパーミドルセダン層にとっては、覚悟を持った取り回しサイズとなります。
このサイズなら、100万、200万上乗せして欧州車という流れになるため、カムリが撤退した日本市場においては、厳しい戦いが予想されますね。
プラットフォームは先代共用
プラットフォームは先代使い回しとなり、ホイールベースは変わりません。
そのため居住性には寄与していないでしょう。
全長5mに迫るサイズが売れないのか
アコード | レジェンド |
9代目:全長4862mm | 3代目:全長4955mm |
10代目:全長4900mm | 4代目:全長4930mm |
11代目アコード:全長4970mm | 5代目:全長4995-5030mm(生産中止) |
先代アコードユーザーにとって、このサイズが敬遠する理由にはなりません。
もともとデカイのです。11代目から離脱することはないでしょう。
離脱するとすれば、違う理由です。
一定のユーザーに行き渡ったあとは、先代同様に低空飛行となることが予想されます。
エンジンは、1.5ターボと2.0ハイブリッド
エンジンについては、いずれも二重丸の評価としておきます。
LX/EX:直列4気筒1.5L直噴ターボ
十分なパワートルクで日本の環境においては、必要十分以上の性能です。NA2.5L相当以上のパワーフィールです。残念ながら、日本導入予定無しです。
- 直列4気筒DOHC直噴ターボエンジン
- 型式:L15C
- 排気量:1496cc
- ボア×ストローク:73.0mm×89.5mm
- 圧縮比:10.6
- 最高出力:192ps/6000pm
- 最大トルク:26.5kgm(260Nm)/1700-5000rpm
ハイブリッド:直列4気筒2.0NA、モーター(ハイブリッド)
第4世代2モーターハイブリッドシステムとなった新ハイブリッドの性能はプラスの評価です。
エンジンスペック
- 直列4気筒DOHC直噴アトキンソンサイクルエンジン
- 型式:xxxx
- 排気量:1993cc
- ボア×ストローク:81.0mm×86.7mm
- 圧縮比:13.9
- 最高出力:146ps/6100pm
- 最大トルク:18.5kgm(182Nm)/4500rpm
モータースペック
- モーター
- 型式:xxxx
- 最高出力:181ps/5000-8000pm
- 最大トルク:34.1kgm(335Nm)/0-2000rpm
新アコードの外観とインテリアは合格点
エクステリア、外観の評価
最近のホンダ顔、ホンダのデザイントレンドを踏襲し、ワールドモデルとして無難なデザインにまとめてきました。一見、見慣れたデザインを拒絶するユーザーも少ないでしょう。
北米向けデザインだと決めつける評論家意見もありますが、むしろスクエアな形状が昔の日本車的デザインに戻った感があり、アクの強くない点は、アジア圏でも受け入れられるワールドモデル向けと思います。
バンパー下部のデザインなどが大人し過ぎる感じもしますが、無限オプションエアロに期待します。
- 某評論家ブログでは「日本じゃ99.99%売れないデザインだ」とのコメントもありますが、売れない要因はデザインではなく、新アコードに関して致命的なブサイク要因は無いと思います。
- ステップワゴンのように開発担当によるマーケティング無視の失策(オラオラ全否定)もありません。
- フィットのように、明らかに好き嫌いがわかれるような、犬顔ライト、日本人受けしないグリルレスなどの大失敗デザインでもありません。
インテリア、内装の評価
シビックの延長線上にも感じる直線基調の空調パネルなど、変わり映えの無いデザインですが、マイナス評価では少ないでしょう。
メーター液晶、センターモニター液晶も可もなく不可もなくの普通サイズを装備しています。
質感も高く、アンビエントライトなど、相応の装備は網羅されています。
世界展開の上級車において、アンビエントライトは、必須装備ですから、アコードにあることは当然ですね。グローバル展開の新型クラウンには、未装備のアンビエントライトですが、そのマーケティングに呆れる部分もあります。
ただ、旧レジェンドオーナーを取り込むレベルの絶対的高級感、上級プレミアム感はやや乏しいと思われます。
センター空調下部のダイヤル式のコントローラが斬新
- 車載O/SをAndroidベースのシステムへ一新、グーグルとの連携機能が圧倒的に強化されています。グーグルマップ利用可能。ユーザーインターフェース(空調やナビ、オーディオ、各種操作)系がかなり進化し、ホンダの独自O/Sが過去のものとなりました。
- 先進の全方位安全運転支援システム「ホンダセンシング360」を日本仕様として初搭載したのも大きなポイントです。
中国向け「インスパイア」とは
海外向けにインスパイアというネーミングがあるなら、国内もインスパイアの方が価格帯やブランドイメージに対して違和感が無いように思いますね。なぜ「アコード」ブランドで売るのか、ホンダの無策っぷりが残念です。
テールランプは、コチラの方が良いです。太いLEDはBMW風のL字テールの逆パターンタイプです。
フロントは、ZR-V風のおちょぼ口、フグ風のグリルとライトを無理やり連結した意味不明デザインです。これは、今回のアコードの方が良いですね。
新アコードはダサイのか、失敗なのか:まとめ
エンジン、グーグルO/Sなど、魅力的な内容が多い
新型の二軸式モーターのハイブリッド、グーグルO/S(ホンダ初採用)など、外観さえ気に入ればアコードは買いでしょう。ただ国内セダン不人気の中で外観が大人しすぎるのが欠点かもしれません。
安価なスポーツバージョンを出すべき
- 1.5Lターボ
- 12.3インチセンターモニター
- ホンダのスポーツイメージを押し出したエアロパーツ
- 19インチアルミ
- 400万円台前半
日本のホンダファンに向けて、スポーツセダンとしての立ち位置を訴求してはどうでしょうか。この装備内容で、400万前半のモデルが用意できれば、シビックに満足できない本来のアコード層を取り込むことが出来るように思います。
アコードは、レジェンド級のイメージが確立していない
クルマの評価は高く、コスパも高く見えますが売れないでしょう。
自動車評論家は、セダン不人気と片付けるでしょうが、それとは別問題です。
理由は、カムリがクラウンにはならないのと同様、アコードはレジェンドにはなりません。
アコードブランドは、所詮アコードなのです。シビック同様、日本で構築したブランドイメージが足を引っ張る存在なのです。高齢者富裕層の所有欲を満たすブランドイメージを確立できないまま、不人気モデルとなったことが原因です。
日本では、アコードを指名買いは一部ファンのみ
544万9400円スタートです。もはや、アコードのブランドに価格が追いついていません。
ライバルのクラウンクロスオーバーのチープ内装を凌駕し、センター液晶も14インチ超えにするなど、もうワンランク越えのインパクトとコスパが欲しい所です。
生産終了のレジェンドユーザーの取り込みなど、勘違いもいいところで、近年のオデッセイ取り込みに失敗したステップワゴンの戦略を彷彿とさせます。
目標月販1000台以下の設定が予想され、発売直後のスタートダッシュ以降は、超低空飛行が予想されます。もともと、日本車Eセグメントのセダンは不人気ジャンルであり、「ダサイ・失敗の烙印を押す車ではない」のがアコードであるという、まとめになります。
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