第6世代のマツダCX-5がフルモデルチェンジしていません。
第7世代のマツダCX-50へ代替せずに日本で売り続ける理由とは何かを解説します。
最新プラットフォームはラージとスモール2本建て
車体を構成するシャーシを「ラージ」と「スモール」で分け、搭載するボディを乗せるイメージです。
スモール群
リヤサスは「トーションビーム」というチープなサス形式です。MAZDA2レベルのコンパクト車なら許せるでしょう。
202x年基準では、大きな2.0Lエンジンを搭載するCセグメントのワールドモデルとしては有り得ないコストを削ったチープなリヤサスペンション形式を採用しています。
6速ATも他社ライバルに対して古さ、チープさを演出しています。
- MAZDA3
- CX-30
- MX-30
- CX-50:米国新工場で生産する海外向けSUV
ラージ群
後輪駆動ベースのプラットフォームに縦置き直列6気筒のガソリンとディーゼルは3.3Lという異例の排気量の大きさです。トルコンレス8ATは、高級車に似合わない変速ショックと伴っています。
高級SUVにも関わらず、なぜこの形式を採用したのでしょうか。
世界を知らないマーケティングが露呈しています。
- CX-60
- CX-70
- CX-80
- CX-90
旧世代プラットフォームの車種
シャーシ性能より「NAガソリンエンジン、6AT」という基本性能の圧倒的な古さが目立つモデル。
トヨタ製ハイブリッドを流用したアクセラも積極的な展開を実施せず、あっと言う間に消滅。
上級モデルでは、スカイアクティブDというディーゼルエンジンをメインの展開。
一時的なリコール連発などにより、2015年当時の勢いは無くなりました。
- デミオ/MAZDA2:2014~
- アクセラ:2013-2019
- CX-3:2014~
- CX-5:2017~
- CX-9:2014~2023/6(米国向け販売終了)
グローバルの主力モデルCX-5の現実
未だに6ATを搭載しており、エンジンも突出した魅力はありません。
リヤがマルチリンクサスを採用している点では、新スモールシャーシよりもコストが掛かっており、旧世代シャーシの方が良いという状況が発生。
- 2.2Lディーゼルターボ6AT
- 2.5Lガソリンターボ6AT
CX-5が売れる理由
- すべては、マツダCX-5のデザインが良いから
- 今までのマツダ成功を支えてきたのは、このマツダデザイン一択であることを証明しているのです。
- ユーザーは、エンジンとかメカニズムとか、時代遅れのスカイアクティブに望むものは全くない。
- デザインもメカニズムもイマイチなCX-60が低迷し、相変わらずCX-5が売れてしまう構図
マツダ車購入者は、CX-5のデザイン一択
- 6ATなど、メカニズムで見劣りする点は眼中に無い
- 価格設定や中身、機能については、ハリアーに劣る点は眼中に無い
プラットフォームの世代移行を無視した計画がアダ
旧モデルから新モデルへの移行を促すような代替車種を用意していないのです。
移行が上手くいった例はMAZDA3のみ
旧アクセラが低迷しており、モデルライフサイクル的にもMAZDA3への移行は上手くいったように見えます。ただ、販売結果の低迷はご存じの通りです。
不人気車として、モデルチェンジが実施されたため、影響が無かったと判断するのが妥当でしょうか。
新旧併売のCX-3とCX-30
CX-3とCX-30比では、10センチほどサイズが拡大され、内容的にも違和感なく移行できたでしょう。しかし、併売を継続している点で、マーケティングとしての移行プロセスを全く考えておらず、CX-30コンセプトは失敗であり、完全に詰めが甘かったといえるでしょう。
CX-60はCX-5の代替なのか
BMW X3を意識したサイズ感は、まんまX3なのがCX-60です。
車高の高さを強調するデザインは、ローアンドワイドなCX-50とは相反する兄弟関係を全く考えていない、パクリデザインであり、マーケティングの考慮不足さを感じるものです。
上級モデルの価格帯やサイズ感としては、CX-5の乗り換えを促進するモデルとして計画された可能性もあります。FF4気筒モデルから、FR直6モデルへの上級モデルへの移行を促すことで、購入価格帯のランクアップにも繋がります。
CX-5の購入検討者が、無理してCX-60に移行している可能性は高く、発売当初は販売目標2000台を超えていましたが、現在は低迷しています。今となっては、3.3Lの大排気量に糸目を付けない層に行き渡ったという流れでしょう。
2023年10月の実績
- CX-5:2669台・・・モデル末期にも関わらず、RAV4より売れている
- CX-60:976台・・・アウトランダーより売れていない
CX-5からCX-60へ、乗り換え戦略は短期間で破綻したようです。
まだまだ、屋台骨モデルであり、老朽化したCX-5を廃版とするわけにはいかない状況です。
CX-50はCX-5の代替に値しない
スペック | CX-5 | CX-50 | CX-60 |
---|---|---|---|
全長 | 4575mm | 4720mm | 4740mm |
全幅 | 1845mm | 1920mm | 1890mm |
全高 | 1690mm | 1613mm | 1685mm |
ホイールベース | 2700mm | 2815mm | 2870mm |
CX-50は、北米専用モデルとして企画され、全幅は1920ミリもあります。
CX-60は、1890ミリです。
CX-50は弟、CX-60は兄という上下関係です。
CX-50はスモールプラットフォーム、CX-60はラージプラットフォームという関係です。
しかし、上下関係を逆転させてしまう車幅には、マーケティングとして理解に苦しみます。
そもそも、マツダ全体としてのグローバルなロードマップ、モデルラインナップの戦略を何も考えていないことを示しています。
CX-50は、立派なボディサイズにも関わらず、リヤサスはトーションビームという安物形式です。
CX-50のデザイン優先のサイズが適当過ぎる
CX-50のボディサイズは全長4720mm、全幅1920mm、全高1605mm
北米工場で作られた北米専用モデルですが、CX-4同様に中国市場を意図しているのでしょう。
あまりにも無駄にフェンダーのボリュームを増し、居住性に全く貢献していない1920ミリもある車幅は、居住性に全く貢献しておらず、大柄な米国人にも狭いと感じる車高はSUVとしては低すぎの1605ミリ。
まさにデザイン最優先のCX-4を成功体験事例を踏襲し、あまりにも無策なやり過ぎ感満載です。
CX-5からCX-50という流れを全く無視した、北米・中国の特定地域に特化したボディサイズ。
本来、マツダという限られたリソースを有効に活用するなら、特定地域向けの車種よりも、屋台骨モデルの代替策を真剣に考えるべきでしょう。この無策っぷりが凄いです。
ローアンドワイドなボディ、フロントウインドウが寝ていれば売れる訳ではなく、クーペ風デザインがウケたわけでなありません。デザインの成否は、フロントとテールの顔で決まるのです。マツダ鼓動デザインが売れた本質を全く理解していないようです。
CX-50にトヨタ製ハイブリッドを今さら組み合わせる
スカイアクティブXがマツダの救世主であるとの妄信から、HVを軽視した施策を推進したマツダ。
ここにきて、今さらHV車を出すようです。
もはや10年遅れのツケは、手遅れの様相でしょう。
CX-5のフルモデルチェンジ時期とは
2024年、2025年とも予想されるCX-5のフルモデルチェンジ時期です。
代替車種のCX-50を日本に導入するには、無謀過ぎます。
CX-xxに移行すべきなのに破綻している無謀な戦略
- CX-3を廃止し、CX-30に移行すべきところ、両者を併売
- CX-5から、CX-50に移行すべきどころ、現ユーザーのことなど全く考えていない、無策すぎるマーケティング戦略と車名設定
- チープなスモールプラットフォームは、リヤトーションビームのチープサス
安易なCX-50移行は、ユーザー軽視に繋がる恐れもあります。経過10年超の旧式プラットフォームは、ガワを変えマツダ金太郎飴の鮮度維持を保っています。
この商品力を超えることは、簡単ではありません。
なにせ、マツダの主力モデルとして屋台骨を支えているのは旧式のCX-5なのですから。
旧式のCX-5がフルモデルチェンジしない理由のまとめ
- CX-50をCX-5の後継とすべきなのに一部海外マーケット専用設計
- CX-x(一桁)から、CX-xx(二桁)に世代へ移行するという、本来あるべき、まともなロードマップが全く描けていない。リソースの少ないマツダにとって致命的
- CX-60が国内で不人気。中身を見れば当たり前の結果。CX-5からの買い替えユーザーに対して、ほぼ行き渡った感
- スモールプラットフォームをトーションビーム専用とした安易な計画
CX-8を廃止し、CX-80が後継モデルですが
- CX-8は、CX-90/80/70へ計画通り移行できるコンセプトなので、問題無く廃止確定
- ただし、CX-60の低迷から、CX-80の雲行きがあやしい状況
2025年のフルモデルチェンジCX-5で唯一成功する策とは
スモールプラットフォームを使うCX-50は、トーションビームです。このサイズ感で有り得ないチープサスペンション型式になります。よって、新CX-5に採用するような劣化は、許されません。
新CX-5相当モデルは下記を希望します。
ラージプラットフォームのFRベースシャーシの場合
- 静粛性も回転の滑らかさも感じないディーゼル6気筒とか、誰も求めていません。
- 2気筒削って、縦置き2.2L直4ディーゼルターボ、ガソリンターボ
- エンジンを小型化した分、ATにスペースを割り振り、コストを掛けトルコン8AT化
スモールプラットフォームのFFベースシャーシの場合
- リヤサスをチープなトーションビームから、マルチリンク化
- 1.5/2.0Lガソリンターボを追加(NAエンジン全廃)
- トルコン8AT化
CX-XとCX-XXという、新旧混在の構成はマーケティングの迷走を招いています。この原因はスカイアクティブエンジンを救世主とする施策が全ての失敗要因であるとする「まとめ」になります。