ホンダシビックが売れないようです。市場では失敗確定「ダサイ」との声も聞かれるシビックの実態と現状について、独自の分析、洞察の内容を解説します。
全世界では売れているシビック
ホンダ車では世界のマーケットにおいて、シビック、CRV、ヴェゼル、フィットの順で売れています。この売れ線からも日本と世界では、マーケティングが当然異なるということが理解できます。諸外国では、シビックというネームブランドよりも車そのものの出来の良さが左右されます。
当然、北米やアジアではシビックのネームよりもホンダ車であることが重要なのです。
2017年登場のシビックは海外版をそのまま国内投入
全長は5ナンバーフルサイズ、全幅は1800mmに到達
2017年にデビューするシビックは超大型ボディ
ボディサイズは、全長4650mm、全幅1800mm
全幅はクラウンレベル。全長も5ナンバーフルサイズレベルに到達しています。
サイズも価格もアコードレベルに達しており、車の出来は悪くありません。
問題は名前です。なぜシビックという名前を踏襲しているのでしょうか?
サイズ的にもシビックの上位にあたるインテグラさえ超えてしまっています。
車の良し悪し、出来はどうなのか?
CIVICという名前と価格のアンマッチを除き、これがアコードの弟分的な位置づけであれば、車の出来は悪くありません。試乗して、同価格の280万円のマークXと比べれば全く勝ち目はないものの、まあ有りかなと思われます。
大柄なボディのセダンとして見れば、車高は低くスポーティなポジションとしての居住性の全く快適ではなく、従来のホンダ車そのものです。カッコ優先の北米市場向けに作られ、高齢者向けのセダンとして機能性は全くありません。要は若者向きの車なのです。しかし、従来型おっさん世代のホンダファンに受けるエッセンスは盛り込まれているように思います。
タイプRを除くと280万円の素シビックに価格やブランドイメージのお買い得感は全くありません。この価格を無視して飛びつくホンダファン、旧シビックオーナーのみが満足感を味わえる限られたマーケットです。
HVのインサイトも同一ネーミングのままで、価格はアコード級で登場しました。
シビックの上位モデルの設定であることからも、迷走ぶりが目立ちます。
7代目までのシビックはコンパクトハッチバック
昔のハッチバック・シビックを知っている世代にとっては、コンパクトハッチのブランド力しかありません。少なくとも7代目までは、コンパクトボディのイメージです。とても250万、300万のクラスを車ではなく、エントリーモデルレベルの車なのです。セダンといえば、おっさん世代が購入ターゲットであるなら、とてもシビックにこの金額は払えないでしょう。そして、シビックという名称に違和感を覚えます。知名度は抜群ですが、ホンダの中の人は違和感を感じないのでしょうか。
経営陣の年齢層が一番知っているのに誰も異論を唱えないのでしょうか。
エンジンは1.5リッター直噴ターボのCVTで内容的にもライバルに戦えるだけの内容とスタリングとしてのインパクトもあります。しかし「シビック」という名称が大型セダンのブランド力に相応しくないのです。シビックSiRを高い値段でも購入するマニアと異なり、一般ユーザーは高いシビックなど求めてはいないのです。
アコードインスパイア同様、派生モデルとすれば良かった
バブル期以降に売れたインスパイアはアコードの上級モデル。
同様にシビックに上級車的なサブネームを加えていればイメージも若干異なります。
経営陣の迷走「シビックブランド再構築の失敗」
DSGを捨てて、CVTやATに回帰し、技術陣の失敗を正当に評価し、軌道修正も正しく行う判断力もあり、若干まともに見えて来たホンダ。
しかし、シビックを本腰を入れて売れると思い込んでいるあたり、まだまだ経営陣の無策ぶりが目立つ気がします。
以下の写真は先代タイプRで価格は428万円(2015年、750台限定)
2017年7月~10月の販売実績と売れ行き不振
http://www.jada.or.jp/contents/data/ranking.html
事前の予約では1万台を超えたというニュースが流れています。
7月から発売の販売台数を見てみるとベスト30のランキング上に名前がありません。いったい1万台の予約した車はどこにいってしまったのでしょうか。完全に売れ行き不振のようです。やはり月販2000台の目標レベルで推移しているのが初年度だとすると、来年は最悪の状況が予想されます。一般モデルが約270万から、タイプRは450万のプライス。想定年収は600万だとか。20年、30年前の安いシビックの面影は全くありません。
メディア記事、迷走の数々
MT車が予想以上のバカ売れ…ホンダ シビック 新型、受注の半数近くがMT車に
ttps://response.jp/article/2017/11/18/302670.html
9月の発売から2か月で12000台の受注があり、ハッチバックとセダンの受注比率は半々。月間販売目標は2000台。ハッチバックの納車は来年4月で、MT比率は35%とのこと。
確かに受注台数は多いような気もしますが、販売目標と納車時期が合っていないと思われ、人気であることを煽る過剰宣伝のようです。BMWでいえばMT車はマニアなユーザーに行き渡るとその後は全く売れない傾向となるため、台数はジリ貧になることが確定です。発売時にホンダファンの購入希望者が集中し、いわば人気の先取りとなっただけと思われますので、販売台数実績でも明らかになることでしょう。
復活シビック「予想裏切る好発進」は本当か
予約台数は、いつものことです。
■子離れ層には懐かしさ、若者には新しさをもたらした
新型シビックは21世紀によみがえった「あの頃(1980年代)のホンダ」を彷彿とさせる。それが子離れ層には懐かしさ、若者には新しさをもたらした。であれば欧州向けの1L3気筒ターボ投入はどうだろうか。
若者層にはシビックの新しさが分かるとは思えません。購入した年齢層を見てみないとわかりませんが、この300万オーバーの金額を出す若者が多いとは思えません。
1.0リッター3気筒エンジンもこのボディサイズの車に対して小さすぎるでしょう。やはり、森口 将之氏の国産車評論は、一般ユーザーの観点から大きく異なる感覚のようです。
ホンダ「シビック」、日本復活から1年の通信簿
エンジンは、ターボチャージャーの過給により強化されてはいるが、回転数が低いうちは1.5Lの排気量そのままの出力であり、低い回転でやや加速の物足りなさを覚えた。しかしターボチャージャーが機能して高回転まで回した際の伸びやかな加速は印象深い。
1.5リッター直噴ターボは、車両重量の重たいステップワゴンにも搭載されているエンジンであり、軽量なシビックにおいて低回転域の不足は全くない。数値曲線上も1.5Lノンターボとは比較にならない直噴ターボ特有の低速トルクが出ています。ターボラグなど全くありませんが、従来の価値感で述べており、試乗したことも無いような旧ターボの価値観で語っている小排気量ターボ否定の参考にならないコメントですね。
2017シビックの売れ行きと2020生産中止
発売3か月経過で30位にも入らないシビック
2017年9月発売から3か月経過した11月の販売実績ですが、ベスト30にも入らないシビックです。なんということでしょう。発売時は、多少在庫を抱えた販売体制としている訳ですが、それもありません。
過去のマーケティング動向を調べれば売れるかどうかなど簡単にわかりそうなものです。ホンダでいえば、DSGやステップワゴンのデザイン、シビックの販売見込みなど明らかに経営陣の迷走が目立ちます。
3月4月の決算期で不人気のグレイス以下
計画的な生産台数とは言え、順位にしても販売台数にしても微妙な数字です。
- 47位 グレイス 9,209台
- 48位 シビック 8,750台
シビック国内向けの生産中止(2020/8)
ダの名門セダンが国内から再び撤退。2017年7月、日本市場へ7年振りとなる復活を遂げた「シビックセダン」も2020年8月の生産終了。シビックセダンは再び日本から姿を消すことになる(ただし、寄居工場では輸出用に同車の生産を継続)。
たった3年の国内向け生産中止。そもそもの失敗は当初から予定されたものの、従来はホンダの屋台骨を支えた名門ブランドも地に落ちた扱いです。
国内向けにパッとしないセダンのデザイン
- レジェンド
- アコード
- インサイト
- シビック
日本向けのセダンラインナップですが、消化不良のフロントマスク、日本では不人気の5ドア風リアデザイン。海外向けにデザインされたホンダ車は全て日本でのウケが悪いデザインになってしまいます。過去、マイナーチェンジでのデザイン修正に息を吹き返した教訓が全く生かされてないデザインの失敗は、購入のキッカケを削ぐだけに重要な問題です。
ホンダ車種廃止とシビック新型登場
2021年、シビックが早くもフルモデルチェンジ
月販1000台と先代よりも控えめ、一か月後予約は3000台と新型モデルとしてはギリギリのラインです。マニュアル車など旧タイプRが買えない向けユーザーを捉えたようですが、一時的なものでしょう。デザインは先代に比べればアメリカンな感じも抑えられ日本人向きになったとは思いますが、300万超えの価格がネックでしょう。やはり、シビックというブランドに合った価格設定ではありません。さらに、日本では5ドアハッチバックが主力モデルとして売れた歴史はありません。あくまでニッチユーザー向け市場なのです。
以下、現行モデルで生産終了
- NSX
- オデッセイ
- シャトル
- CR-V
- インサイト
海外向け専用モデルが多い中で、国内を向いたモデルも含まれ悲しい限りですね。
グリルデザインが微妙
最近のホンダデザインの特徴として「ノイズレス」というキーワードがあります。シンプルを目指したもので、ヴェゼルでは成功し、フィットでは完全に失敗したといえます。その点で、シビックはギリギリのラインを保っているという感じでしょうか。
HEV版は2リッターの本末転倒
シビックe:HEVは新開発の排気量2.0L直噴エンジンとハイブリッドユニットのモデルです。
2.0Lという大きな排気量やパワーなんて、HV購入ユーザーは全く求めておらず、燃費重視です。特にベースが軽いシビックなので、ベース排気量が1.5L以下でHVとすべきでしょう。
アコードならともかく、価格も込み400万越えとなり、シビックに誰がこんな対価を支払うのでしょうか。インサイトの廃止でシビックにその代役を務めさせる戦略だとしたら、本末転倒ですね。マーケティング不在、ド素人でも首を傾げる戦略です。
販売台数
新登場後のシビックですが、モデル末期のシャトルと変わらない販売実績です。
国内向けにシビックのワゴン版でも出せば、低迷レヴォーグのシェアを奪えそうに思います。
年 | 販売台数 |
---|---|
2023年シビック | 13,258台 |
2022年シャトル | 12,941台 |
シビックが売れない:まとめ
シビックの名前や価格を知らなければ、車単体としての出来は、全く悪くないです。むしろ良い評価となるセダンでしょう。しかし、販売戦略がこのセダンを台無しにしています。
シビックのネーミングが売れない要因
車の出来も悪くなく、大型化するのも悪くありません。しかし、世界で売れているからと言って、日本でもそのままの名前で売るべきではないのです。日本特有のマーケティング観点見れば、経営陣の失策なのは明らかです。営業現場の意見が反映されているのでしょうか。7代目までのコンパクトシビックのイメージが染みついた世代にとっては、そのネーミングが障害となりそうに思われます。
e:HEV価格「3,980,900円」が売れない要因
価格が高いせいか、今一つ販売実績に結びついていないようです。エントリーモデル324万スタートなど、もうシビックブランドの域を超えています。
カローラHVが300万未満で買えることを考えれば、厳しいことは明らかです。
アジア向けに販売している「シティ」の方が、販売に結びつき従来のイメージからも乖離が少ないように思いますが、いかがでしょうか。
日本市場は今後も少子高齢化やEVの出遅れでガラパゴス化が加速します。
ホンダの市場戦略からも取り残されそうです。