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トヨタはEVを作れないのか?あえて作らない理由

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査定君
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時代の流れはBEV一択。CO2の排出量が少ないからというハイブリッド車の優位性を語れた時代は、すでに終っているのです。
いまだに優位性を語るメディアについて、独自の分析、洞察の内容を解説します。

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CO2排出量の現実

(出典)IEA「CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION」2019 EDITION:経済産業省作成

イギリスはCO2削減の優等生

このグラフで言えば、イギリスに次いで日本は第二位です。
イギリスで日本製ハイブリッド車が貢献しているわけではありません。
イギリスの産業政策、特に石炭の削減効果が大きいのです。

EU各国も日本に次ぐ削減実績

EUでも化石燃料を削減している効果が、徐々に出てきているでしょう。
自動車においてもディーゼルやガソリンのダウンサイジングターボ化が日本よりも早く進んでおり、日本よりも平均速度域の高いEUでも削減効果が出ているでしょう。

ただし、乗用車の削減効果は微々たるもの

産業別のCO2割合を示したものですが、運輸部門よりもエネルギー(発電)部分が大きな割合を占めている事がわかります。
この部分は、イギリスを例に挙げるまでもなく、石炭発電を代替エネルギーに変えていくことで大きく減っているのでしょう。

排出量トップの中国がBEV一択

CO2排出量トップは、言うまでも無く中国です。
安価な労働力を求めて、世界の工場が集中した結果、CO2排出量もうなぎ上りとなりました。
中国では、スモッグのニュースが連日報道されていたのは記憶に新しいことでしょう。製造業向けの発電や暖房用の石炭利用が原因であることは明白です。(輸送部門よりも製造業の改善が急務)
2000年以降の伸びが原因であるとすれば、排ガス規制も一定の基準を満たしたものと言えます。
中国市場では、純内燃車をハイブリッド車に変える効果など微々たるものであり、日本側の主張など世界的に受け入れられないガラパゴス理論と言えます。

ハイブリッド BEV FCEV e-FCEV e-fuelのCO2排出量の比較

BEV、ハイブリッド、FCEV、e-fuel、などの各種動力を用いたCO2排出量について、製造から廃棄までを含めたトータルでの比較一覧です。

LCA(ライフサイクルアセスメント)の理論でもHVは勝利できない

  • 「ICE(内燃エンジン):CO2排出」
  • 「BEV(バッテリーEV):CO2排出ゼロ」

ここにLCAの話を持ち込めば勝利できるとするのがICEの言い分です。それは本当でしょうか。
ICE側の計算ロジックには、クリーンエネルギーによる発電の話は一切出てきません。
石炭発電などCO2排出量が多い手段を用いた計算であり、極端な事例が多いことに驚きます。それでは、世界の潮流であるBEV側の理解は得られないでしょう。

走行時のCO2排出量がゼロとなるBEV

BEVに対して、ハイブリッド車は全く勝ち目がありません。
そこで生産から廃棄までの工程や充電時の電力を化石燃料ベースで計算し、ハイブリッド優位としているのが、ハイブリッド推進派の理屈です。
さらに、欧州規格のe-fuelは、100%クリーンエネルギーによる製造方法を唱えるようになり、ハイブリッド車優位論は完全に崩れ去ったのです。

項目 BEV ハイブリッド FCEV e-fuel
走行時 × ×
化石燃料によるバッテリー生産 ×
化石燃料によるバッテリー廃棄 ×
化石燃料による発電と充電 ×
化石燃料による水素製造 × ×
クリーンエネルギーによる水素製造
クリーンエネルギーによるバッテリー生産
クリーンエネルギーによるバッテリー廃棄
クリーンエネルギーによる発電と充電

e-fuelは内燃エンジンの救世主ではない

欧州でe-fuelを認めたことで「内燃勝利論」が日本国内だけ、盛り上がりを見せました。しかし、国内メディアの完全ミスリードです。
e-fuelの製造には水素が必要ですが、水素製造が高コストである点で問題山積みです。
水素製造に必要な大量電力は、水素製造よりもBEVに充電すれば良く、本末転倒なのです。
欧州のe-fuel規格は、100%クリーンエネルギーを用いた電力をベースとしており、さらにハードルを上げています。
あくまで超富裕層を対象としたe-fuel専用エンジンに対応し、超高額燃料で楽しむものなのです。よって、EU側としては、「やれるものなら、やってみな」のスタンスです。

e-fuel(合成燃料)はオワコンか、内燃エンジン車に未来はあるのか
EU(欧州連合)委員会が2035年に内燃エンジン禁止案を撤廃し、e-Fuel(合成燃料)利用可を方針を採択しました。 e-fuelは、内燃エンジンにとって救世主に見えますが本当でしょうか。 一方でe-fuelはオワコンという説もあります。その理由を解説します。

ガソリンスタンドが潰れる負のスパイラル

軽自動車が増え、さらにハイブリッド車の燃費向上は、給油回数と使用量を減少させました。
不採算スタンドをどんどん閉店に追い込んでいます。
首都圏ユーザーは、気付いていない可能性が高いのですが、過疎地や僻地では、自らの利便性を失う結果になっているのです。

ハイブリッドの優位性を唱えるタイミングを誤った

1997年の京都議定書とプリウス

このタイミング直後、少なくとも2000年代初頭において、ハイブリッド車の優位性を掲げるべきだったのです。「電気自動車より、ハイブリッド車のCO2排出量が最強であるとのロビー活動を展開すべき」だったのです。

明らかにタイミングが遅すぎました。こんな理論をメディアで掲げているのは日本ぐらいです。もう世界の潮流はBEV一択となり、ハイブリッド車が入り込む余地は、CAFE規制、ZEV規制など世界のルールから過去のものとされています。

2010年代初頭、欧州メーカーはハイブリッド車の将来性に見切り

メルセデス、BMW、VWグループなどの各社はハイブリッド車を数車種登場させています。
しかし、欧州は高速走行が多く、当時の日本製ハイブリッド車は、高速域でのパワー不足が目立ち燃費性能の向上に寄与しないことを悟ったのです。

2015年のパリ協定、世界市場はすでにBEV一択

この段階では、欧州製や中国製のBEVが生産台数を増やし、将来の主役とするロードマップに組み込まれた段階に入っていました。
この段階おいて、欧州や中国メーカーは、日本製ハイブリッドの性能に魅力を一切感じなくなっており、自国市場の高速域に合わないことを見切っていたのです。
一方、日本国内では、FCEVのMIRAIが未来の救世主であると本気で考えていた時代です。
まだまだ、日本製ハイブリッドが世界一であり、その次はFCEVが受け持つという虚構のロードマップを信じていた時期でした。

時すでに遅く、この時期以降のロビー活動など焼け石に水と言えます。

CO2排出量の比較

CO2排出量ランキング

製造から廃棄までを含めるとハイブリッド車が一番少ないとするメディアもあります。
しかし、クリーンエネルギーや原発の電力を用いた場合の試算を意図的に避けているのが、ハイブリッド車絶賛メディアの特徴です。
もはや、相手になりません。このような理論を掲げているのは日本メディアのみです。

CO2排出量が少ない順(製造から廃棄まで)

  1. BEV
  2. PHEV:日常、BEV走行主体であれば、BEVと同等
  3. FCEV:水素製造時に大量の電力を消費するため、本末転倒
  4. HV
  5. ディーゼル
  6. ガソリン

クリーンエネルギーとBEVの最強コンビ

太陽光や風力、水力といったクリーンエネルギーをBEVで利用し、CO2排出量をゼロにするという発想が根本にあります。

HEVが入り込む余地などない

バッテリー製造から廃棄までのCO2排出量を盾に、ハイブリッド車の優位性を唱えても意味はありません。なぜなら、製造や廃棄に伴う、大量の電力をクリーンエネルギーで賄えば、勝ち目など無いからです。

過去20年の意味

下記グラフは、乗用車のシェアが頭打ちになり、軽自動車ばかりが売れたという島国日本における非常に特殊な傾向を示しています。軽自動車が増えれば、排出量が減るのは当たり前ですね。

さらに、2020年に電動化が36%となっているかのような、グラフであり、全く正しくありません。

  • 欧米のBEVが増えている
  • CO2排出量が下がっていない

欧米との比較で「日本製HEV」の優位性を訴えることを意図するグラフの信憑性に疑問を感じます。
このグラフを毎度用いるメディアの信憑性は言うまでもないでしょう。

引用:一般社団法人日本自動車工業会

過去10年の意味

引用:IEA「CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION」2019 EDITION:経済産業省作成

欧米と日本で劇的な差はなく、イギリスで言えば、石炭削減の効果が表れています。
ここで、テスラ効果やBEV効果を挙げること自体、ナンセンスなメディア記事が散見されますね。

途上国は軽自動車よりも小型車優先

インドのマルチスズキは日本向けの軽や小型車をベースに800ccや1000cc版を出しています。
軽自動車のシステムが優れているからという理由でなく、インドの所得事情に応じて、安価な型遅れ車を流用している過ぎません。

インドのホンダがN-boxを市販化していない点を見れば、答えは出ています。
Honda Cars India | Check Latest Sedan, Hatchback Cars | Honda Car Prices (hondacarindia.com)

所得が増えれば大型車に流れる

アジアの諸外国を見れば、所得が増える段階で、小型車から大型車、高級車に流れていき、アジア圏においては、ガラパゴスな軽自動車規格の車など、見向きもされなくなる流れです。

軽自動車は、日本の特殊税制の産物に過ぎない

引用:国土交通省の自動車輸送統計年報

  • 軽自動車の安過ぎる優遇税制により、30年前から乗用車が低迷する歪な日本市場
  • 軽の比率が高まれば、燃費が良くなるのは当たり前、歪な日本市場
  • パワー不足だが、我慢できるレベル
  • 燃費は小型車に劣るが広さがカバー
  • バブル崩壊後、所得の伸びが止まった

日本では、自動車の利用自体が成熟した市場であるからこそ、軽自動車が市民権を得ていると言えます。軽自動車人気は、これらの特殊要件が重なった結果です。
途上国では、日本とは環境が全く異なり、軽自動車の優位性が感じられることは少ないと言えます。
よって、途上国ではコンパクトカーが、エントリーモデルのスタートになるのです。
価格や税金に差が無いなら、軽サイズより、コンパクトカーに流れるのは当たり前です。

よって、歪な日本市場と世界各国のCO2排出量を比べることなどナンセンスなのです。

ハイブリッドの優位性を語る時期はとっくに終わった:まとめ

2023年の今となっては、内燃車締め出しに向けてのCO2排出規制の包囲網が確定しています。
もう、完全に手遅れと言えます。
日本国内の世論が、ハイブリッド優位に傾いたところで、世界市場は何も変わりません。
CO2排出量でハイブリッドの優位性を語るのはとっくにオワコンなのです。というまとめになります。そのようなメディアは、EV出遅れに拍車を掛けるだけです。

オワコンは、EVでなくハイブリッド車なのか
世界のBEV市場で、全くシェアを取れていない日本車です。BEV販売にネガティブなニュースが流れると、メディアは一斉に「EVオワコン」「トヨタが正しかった」という論調となりました。これは正しいのでしょうか。独自の分析、洞察の内容を解説します。

敵は内燃機関温存であり、EV出遅れである

誤「敵は内燃機関ではなく炭素である」

正「敵は内燃機関温存でありマルチパスウェイである。もはや、海外でEV出遅れ日本は巻き返せない」

世界市場のCO2規制強化で、ハイブリッド車に残された時間は僅かとなっています。
現時点、世界の老舗自動車メーカーはBEVに傾注しており、その中で日本メーカーは、最高益を享受する棚ボタ状態です。この状態はしばらく続きますので、いきなり売れなくなるという時期が訪れる可能性が高いです。

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